高校生の進路選択 その3 はるきさん(後編)「『海外でビジネスを学ぼう!』きっかけを振り返ると、嫌々ながら何となく参加した一連の課外活動だった」
対談記事は、「前編」「中編」「後編」の3回に分けて投稿しております。
後編では、はるきさんのヨーロッパでの学びと、進路に悩む中学生・高校生へのメッセージについてお聞きしました。
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はるきさん「未来を創造している起業家たちを目の当たりにした時に、心が動いた。イベントで終わらせずにその後半年もビジコンに挑む。更には受験直前まで生徒会活動に取り組んだ」
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・高校生の進路選択 その3 はるきさん(前編)「『海外でビジネスを学ぼう!』きっかけを振り返ると、嫌々ながら何となく参加した一連の課外活動だった」
・高校生の進路選択 その3 はるきさん(中編)「『海外でビジネスを学ぼう!』きっかけを振り返ると、嫌々ながら何となく参加した一連の課外活動だった」
・高校生の進路選択 その3 はるきさん(後編)「『海外でビジネスを学ぼう!』きっかけを振り返ると、嫌々ながら何となく参加した一連の課外活動だった」
多様な価値観を持つ生徒との議論やプロジェクトで、コミュニケーション能力が養われる
能登: はるきさんはイタリアの大学に進学しましたが、アメリカやアジアの大学にはない、ヨーロッパの大学ならではのメリットはありますか?
はるきさん: うーん、アメリカやアジアで学ぶメリットもすごく大きいと思うので、確たる答えを出せないのですが……
個人的には、文化的多様性のある環境で学べるという面で、とても大きなメリットがあると思います。ヨーロッパは色々な国の集合体。自分が通う Bocconi University(伊)はヨーロッパのさまざまな国から生徒が集まる大学で、彼らと意見交換をしながら学べる。文化が多様だと、さまざまな意見に接することができます。
これは自分の見方なので実際はどうか分かりませんが、文化の多様性という面からいうと、アメリカは文化が一つはっきりあって、またアジアは文化的要素がある程度共通しているように思います。
実際、ビジネスでも外部要因の一つとして文化的価値観というフレームワークがあり、それがどうビジネスモデルや企業の強み弱みに影響するのかが議論されている。
ヨーロッパ中から集まった多様な文化的価値観を持つ生徒と議論して、彼らの意見を受け入れたり、自分の意見をアウトプットしたりしていると、多文化を理解するにはとても適していると感じます。
能登: なるほど。ちがう文化を持った人の意見を聴き、理解して、自分の意見も相手に分かるように話す経験がたくさん積めそうですね。
はるきさん: はい。DECA JAPAN 生徒会にいたときも、生徒会には色々な地域の色々な学校、ちがう育ち方をしてきたメンバーが集まっていたので、大きな刺激を受けました。
学校はある意味閉鎖的な空間なので。学校の外で、色々なバックグラウンドを持つ生徒たちとコミュニケーションする機会が得られた。その経験から、相手が何を言いたいのか? 相手はどんな考え方をしているのか? その主張がなぜ出たのか? 傾聴力がとても養われました。
能登: ちがう学校の生徒たちと同じプロジェクトに取り組んだ経験が、ヨーロッパの大学での学びにも生かされているのですね。
なんとなくの興味でもいいので何かを始めれば、人とのつながりから進路のヒントが得られる
能登: ヨーロッパにもさまざまな大学がある中で、はるきさんが Bocconi University(伊)に決めた決め手は何だったのでしょう?
はるきさん: 実は日本にいたときはぜんぜん知らなかったのですが、この大学はヨーロッパでは非常に有名な大学で。どの大学に行こうか調べていたときに、「この大学を卒業すればその後のチャンスが格段にちがう」と分かったのが大きいです。
能登: 世界中から集まった周りの学生と、「どうしてこの大学を選んだの?」と話すことはありますか?
はるきさん: はい。でも実際、ヨーロッパ中から来た学生も「ランキングが高い大学だから来た」という人が多い(※ QS World University Rankings の Social Sciences & Management 部門で世界10位、Financial Time 誌のビジネススクールランキングでヨーロッパ5位)。
とくにイタリア人の学生はみんなエリートなので、ランキングを非常に気にしていましたね。
能登: 大学はある意味、将来のキャリアを作る過程だと思いますが、その過程ではるきさんが学びたいことは何ですか?
はるきさん: 自分は将来起業したくて、起業したときに必要な知識や理論を学びたくてこの大学に来ました。
起業、ビジネスといっても広いから、その中で自分は何を専門的にやりたいのか? そう考えて、Bocconi University の International Economics and Management(国際経済・経営学部)を選びました。
自分はミクロ経済学、数学、経営学、あとは論理的思考に関するセミナーを取っていますが、朝から晩まで毎日すごく忙しい。科目数は少ないのですが、とにかく量がすごく多くて速い。
例えば経営学は、企業のケーススタディーを数多く扱っていてとても楽しいのですが、組織論を2週間でこなし、それが終わると会計学で、2週間で企業の財務分析を学んだらそのまま試験があり、その後は損益分岐点の分析が始まる。と思ったら、すぐにぜんぜんちがう企業論が始まる、というすさまじいスピードで進むんです。
それだけたくさんの学びが得られるのと、大学がイタリア、ミラノにあるという立地が良い。ミラノはヨーロッパ経済の中心地のひとつで、これから台頭してくるヨーロッパ、EU 圏のマーケットで行われるビジネスのやり方や、EU 圏の市場を把握することができる。自分が将来何をやるにしても、Bocconi University で学ぶことはすごく良い基盤になると考えました。
能登: 将来やりたいことをすごく考えて、大学と学部を選んだのですね。
はるきさん: でもたぶん、自分が選んだ国際経済・経営学部というのは、ビジネスの中でも例えばマーケティングを大学1年生のときから専門的に学びたい、という人には合わないと思います。
ビジネス、経済は扱う範囲がすごく広い。広い分学べる大学も多いので、大学だけでも総合大学の商学部や経営学部もあれば、ビジネススクールや社会科学に特化した大学なども選択肢に入って来る。
学部を選ぶときにも、数学は苦手で経営を学びたいという人が経済学部に行くと数学で苦労すると思いますし。
大学と学部を選ぶには、どのような専門的なスキルを学んで自分が将来何をやりたいのかを基準に考えたらいいと思います。
能登: はるきさんは自分の将来像を課外活動で見つけましたが、まだ進路に迷っている人、課外活動といっても何をすれば分からない人はどうすればよいか、何かアドバイスはありますか?
はるきさん: 生徒個人としてできる課外活動としては、とりあえず自分で何かを始めてみるのが一番手っ取り早いです。そして、自分で何かやったことを Twitter や Instagram などの SNS にアップする。
色々なことをしている生徒や学生団体がたくさんあるので、SNS から人とつながっていくことができます。人とのつながりから、また新たな課外活動が見つかるはずです。
とりあえず何か興味があることがあれば、余計なことを考えずにやってみる。それができる高校生という時期は、大学生になったいま振り返るととてもいい時期なのだなと感じます。
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