どうすれば実務レベルで使える企画スライドを生成AIツールで作成できるか試してみた件
生成AIの登場を皮切りに、プレゼンスライドもAIで自動作成してくれるようなツールも出てきました。
どこまで自動作成してくれるのか。
そう期待して使ってみた方も増えてきたのではないかと思います。
かくいう私もその1人でした。
その凄さを体験してみたい。
そう思い、いざ試しに適当なテーマを入力してスライドを作成してもらった結果見事にスライドを自動で生成してくれました。
しかし、正直その時感じたのは、
”すごい、すごいけれど、これだと中身が薄すぎて企画書としては使えない、、、。”
といったことでした。
ただ、これはツールに全てを依存してしまった結果。
うまく使いこなせばちゃんと有効に使えるはずと思い、今回の検証をしてみました。
ツールを使って企画書作成をできるだけ楽にしたい。
生成AIが組み込まれたツールで実際に使える企画資料をどうすれば作れるのか、コツはあるのか。
こんな気持ちを抱かれた方に向けての記事です。ぜひ最後まで読んでみてください。
スライドの作成工程を分解する
それでは実際に検証に入る前にスライドを作成する工程を分解してどの部分に生成AIツールを当てはめるべきかを考えてみましょう。
上記のイラストにまとめてみましたが、スライド作成は
① スライドに書く材料を集める
② スライドの構成を考える
③ テキストやデザインを入れ込みスライドを作成する
の3つの工程に分けることができます。
それぞれを順に見ていきます。
まず、”① スライドに書く材料を集める”です。
ここに関しては生成AIに任せずに面倒くさがらずに人が集めるほうがいい部分だと考えています。
その理由は”生成AIは標準的な意見には長けているが、現場に眠っている情報はとらえられない/持ち合わせていない”からです。
もう少し詳細に考えていきます。
まず生成AIですが企業専用の情報を追加で学習させていない限り、基本的にはインターネット上にある情報をもとに学習されています。
しかし、企業内のデータ化されていない情報や人間の心の機微・リアルなニーズのような情報はまだ持ち合わせていません。
一方で、業務で採用される企画の元のタネになるのは、これらの企業内のデータ化されていない課題やあるいは対象のユーザーの潜在的なインサイト・ニーズだったりするケースがあります。
そうすると、生成AIでは持ち合わせていない情報が基点となっているため、生成AIから引き出すことは難しく、むしろこちらから情報を提供していく必要がある部分です。
おそらくここが、スライドの自動生成でとりあえずテーマを入れてスライドを作成してみたけど、実用に耐えないギャップにガッカリしてしまう原因なのだと思います。
もちろん、情報を提供して情報を元に生成AIに整理してもらうことにはガンガン利用したほうがいいのですが、まずそのための情報を集める部分に関しては人が丁寧にやることが重要と考えています。
次に”② スライドの構成を考える”です。
ここに関しては人がちゃっちゃっとやっても生成AIに整えてもらってもいい部分かなと思います。
企画書であれば最低限必要な5W2H(Why,What,When,Who,Where,How,How much)やリーンキャンパスをベースに整え、他に必要となる要素を生成AIに確認すると効率的です。
例えばこの記事では以下の内容をこの後スライドにしようと考えています。
営業実績レポーティングダッシュボード
企画目的:
・レポート作成の自動化による工数削減と担当者の他業務へのアサイン
課題背景:
・事業の営業の売上に関わる数値指標のレポートを毎週担当者が作成している。
・しかし、データ抽出、Excelでの加工、可視化で4時間を要している作業であり、
週次でのレポート作成だけでなく、月に2-3件レポートにはない条件での結果を
知りたい依頼が他部署から発生するため、その都度ごとに2時間の時間を要している。
・また、最近サービスの認知率を上げるためにSNSでのPRに挑戦したいが採用に
苦戦しているため、社内のレポートを作成していた担当者をそちらにアサインしたい。
解決策:
・営業の実績レポート作成をBIで自動化する
※最近入社したデータアナリストが開発経験があり、データ自体はデータベースにテーブルとしてあるため、内製開発を行う
ROI:
5年間で200万円+αの効果を見込める。
その上、同じ事業部内に類似した課題が最低5つはあるため横展開し工数削減をしていった場合の積み上げ効果は大きいと考える。
コスト
開発人件費 40万円/人月*0.5人月
企画人件費 40万円/人月*0.5人月
運用保守費 40万円/人月*0.01人月*10ヶ月分
開発用アカウント費 5000円/アカウント・月
開発者 1名
プロジェクトリーダー 1名
開発期間 2ヶ月
合計 初年度90万円 次年度以降10万円
5年間 133万円
ベネフィット
レポート作成人件費 2500円/人・時間
レポート作成時間 4時間/回
レポート作成回数 4回/月
月数 12ヶ月
臨時レポート作成時間 2h/回
月あたり発生回数 平均3回/月
合計 66万/年
5年間 約330万円+SNSでのPRで得られる効果(未定)
※BIは他事業部で契約していることがわかり、こちらの部署でも必要な分だけのアカウント費用を払えば使わせてもらえることになった。
社員には閲覧用のアカウントが既に配布されているため、今回は開発と運用保守にかかる費用だけを考慮する
期間
2025.1.10~2025.3.10 の約2ヶ月間
担当部署
AA事業部営業企画部
プロジェクトリーダー:流石 五右衛門
AA事業部システム部
データアナリスト:次元 算術郎
この内容をChatGPTに投入し、他に必要となりそうな要素を確認すれば以下のように返答が返ってきます。
確かにダッシュボード作成の際は、上記であげた企画書以外にデータ面での要件定義書や画面要件定義書、完成した後の運用保守体制なども併せて考えていくので、かなり妥当な補足をしてくれています。
とはいえ、これらを今回入れてしまうとそれこそ一案件分の作業工数がかかるので今回は省かせてくださいw
ただ、構成を考える部分に関しては
慣れている方なら自分で整えてしまって、生成AIに補填してもらう使い方、未経験に近い方は先に生成AIに企画書の構成のたたきを作ってもらって、それをもとに埋めてみるような使い方がいいのではないかと感じます。
最後に”③ テキストやデザインを入れ込みスライドを作成する”です。
ここの部分か今回特に生成AIを産み込んだスライド作成ツールによる効率化を狙うことができる部分かなと思います。
これまでもスライド作成を効率化する部分においてはCanvaやデザインパワーポイントなどを使うことができました。
慣れている方はもちろんこちらを活用してもらってもいいと考えています(私もすごくお世話になってます)。
最近現れたスライドを作成してくれるAIツールもこれらと同様にデザインやスライドを作る手間を省いてくれる1つの選択肢であるとともに、
これらと違うところは、内容を入力すれば半自動的に配置やデザイン、テキスト入力をやってくれる部分かなと感じます。
人によってはやはりデザインを考えるのが苦手であったり、スライドに凝ってしまって数時間使ってしまうといった方にとってはここの部分を効率化できるのは嬉しいことです。
特に、スライドの中身や構成は相手を納得させるために重要な部分ですが、
スライドのデザインに関しては相手を惹きつける部分ことに貢献してくれるので蔑ろにはできず、下手に自分で作るよりは断然任せてしまったほうがいい部分かもしれませんね。
かくいう私もこれらのツールにデザインは頼りまくっておりますw
実際にツールを試してみる
それでは、ここからは実際に生成AIでスライドを作成する検証をやっていきます。
企画の内容は既に記載したBIダッシュボードの企画書で、今回はCopilotのPowerPointとスライド生成AIツールとして有名でもあるGAMMAを試してみました。
Copilotはこれからに期待
まずスタートはCopilotから試してみました。
Copilotのパワポを起動すると、右側にCopilotへの指示を出すチャットが現れるため、まずはそこに先ほどのBIダッシュボードの企画文をそのまま入れてみました。
結果は以下のように多い文章量を一気に入れてもうまく受け取ってくれることはなかったです。(これからに期待したいですね)
文章量が多いならと企画を構成ごとに分割して入力してみました。
小分けにして作成依頼するとスライドを作成してくれました。
この後も企画書を分割して入力しましたが、多くは内容の要約をテキストで配置してくれているのとそれに応じた写真やイラストを入れてくれるといった感じです。
また、Copilotはノートの部分に話す内容を文章として入れてくれています。
ROIのような数字が入るものはデザインはどうなるか試してみましたが、
おおよそデザイン構成は変わらずでした。
ここの数字の計算を表として入れてくれたり、強調してくれたりするといいなと感じつつ最低限の内容をまとめてくれている感じでした。
とはいえ、Microsoft製品なので今後どんどん改良していくのではないかと期待しています。
GAMMAを試してみる
個人的にはもう少しデザインや入力の手間を省きたいなという欲があったので、他の生成AIでのスライド作成ツールを探ってみました。
その中で初期から話題になっていたGAMMAを試してみました。
初めに400トークンもらえ、その範囲であれば無料で使えたのでみなさんも試してみてください。
GAMMAは登録をしてスライド作成をする際に3つの選択肢(テキスト貼り付け、1から作成、ファイルのインポート)があります。
今回はテキストにしていたのでテキストに貼り付けるを選び、手順に沿って進めていきました。
すると先ほど手動で分けていた企画書をうまく構成ごとに分割してくれながら、自分で編集できます。
作成の際にこういったUIがあるのは個人的には嬉しいものです。
ここからデザインをテンプレから選んだりしていくとGAMMAの方で
自動作成が始まり、3-5分程度で以下のようなスライドが返ってきました。
正直少し舐めてました。
そう思うくらいデザインや構成がある程度相手に出してもガッカリされないレベルでスライドが作成されています。
内容も表や数字などをうまく取り入れてくれていて間違ってないです。
欲をいうのであれば表での計算や複雑なイラストなどが自動で入ると嬉しいのはありますが、そこの修正は全然人の手で後からできるので、これまで1-2時間くらいは使っていたデザインや配置、テキスト入力をただの10分くらいの作業でできてしまうのは大きいと感じました。
スライド全体を眺めてみた結果やはりROI計算の部分はAppendixでも表形式で整えたいと感じたのでここはExcelで表を整え、あとはGAMMAで作成したスライドにコピペして整えてみました。
このような流れで
内容や構成は人が丁寧にやり、
スライドのデザインや作成を生成AIツールに任せてしまう。
残りの足りない部分や整えたい部分で追加で人が手を加える
という流れで行えば、実務でも耐えられそうな企画書のスライドができそうです。
GAMMAで作成したスライドのサンプルも添付しておくので気になる方は参照してみてください!
まとめ
今回、生成AIのスライド作成ツールで実務にも使えそうなスライドを作る上でのポイントなどをまとめてみました。
これからさまざまなツールが出てくるかと思いますが、うまく活用して業務の効率化に繋げたいですね!
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