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オープンデータ活用研究vol9(経済センサス編) 地方都市比較による宿泊・飲食業の収益性分析から得られる新たなインサイト探索~データ分析編③~

お疲れ様です。ムロイです。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。

最近雨の日が続いていて、なんだか気分まで沈んでしまいますよね。たまに晴れた日は気持ちがグッと高まってよしやるぞ!って気持ちになります。早く夏が来て、強烈な日差しを思う存分楽しみたいです。

さて、前々回で京都の飲食業の収益性分析を行い、前回は京都市と比較する形で隣接する大阪市、神戸市を見てきました。分析するというタスクにおいて比較するという観点は非常に重要と思っています。

今回は総集編という形で、その他の地方都市を含め、全国地方都市をランキング形式で収益性比較をしていきたいと思います。飲食業に限定して、売上・営業利益の指標をみていきます。地方事業者のみなさま、新たに宿泊・飲食業を始めたいと思っておられる方にとって役に立つ情報になれば幸いです。

1. 経済センサスデータを振り返る

少し時間が経ちましたが、そもそも元データとして経済センサスのデータを使っています。対象データ収集に苦労したところの雑なまとめ記事をログで残していますので、データ収集領域も興味のある方はこちらの記事も是非参考にしてみてください。

2. 経済センサスデータの加工

全国一律で見ると1,700もの市町村を見ていかないといけないので、各都道府県単位で中核都市であろう県庁所在地に絞ってみていきます。
また全国を視野にビジネスを検討している地方の事業者は稀有な存在だと思いますので、なるべく近接エリアに絞っていきます。具体的には日本をいくつかのブロックに分けてみていきます。

  • 北海道&東北ブロック

  • 関東ブロック

  • 中部&北陸ブロック

  • 近畿ブロック

  • 中国&四国ブロック

  • 九州&沖縄ブロック

それぞれのブロックの中で、県庁所在地である〇〇市の売上、営業利益をランキングしていきますが、ここから少し留意事項です。
各都市で飲食業における突出した事業者がいた場合、全体傾向としては外れ値になる可能性が高く、正確な伝え方が難しいと思っています。
この点につきましてご留意いただき、あくまで参考程度にみていただければ幸いです。なお実務のデータ分析作業ではこのあたりの事業者の存在有無の確認や全体に与えるインパクトから外れ値として扱うか否かなども慎重に見極めていくことになります。が、当然時間も手間もかかる話なので今回はスコープ外と判断しています。

3. 地方都市の収益性ランキング(北海道&東北ブロック)

このブロックで対象となるのは、札幌市、青森市、盛岡市、仙台市、秋田市、山形市、福島市の計7都市です。

これらの都市を抽出条件にして、経済センサスデータから関連データを抽出します。具体的には、売上(収入)金額【百万円】、費用 売上原価【百万円】、費用 販売費及び一般管理費【百万円】です。これらを元データに売上原価から売上総利益率(粗利率)、販管費から営業利益率を算出します。

★売上ランキング
①札幌市(512,171)
②仙台市(206,385)
③盛岡市(52,433)
④福島市(42,825)
⑤秋田市(41,879)
⑥山形市(44,480)
⑦青森市(32,396)

★売上総利益率ランキング
①山形市(77.7%)
②秋田市(76.3%)
③盛岡市(76.1%)
④札幌市(74.7%)
⑤福島市(74.0%)
⑥青森市(72.5%)
⑦仙台市(69.4%)

★営業利益率ランキング
①山形市(36.9%)
②青森市(32.5%)
③札幌市(30.6%)
④盛岡市(28.6%)
⑤秋田市(28.0%)
⑥仙台市(24.6%)
⑦福島市(24.4%)

4. 北海道&東北ブロックの考察

売上ランキングでは北海道が圧倒的です。別のデータで従業員数のデータも見ていますが、売上と強い相関があります。ホテル・旅館が他県と比較して多いでしょうし、北海道といえばグルメですから、飲食業で生計を立てている事業者が多いということかなと思います。

売上総利益率と営業利益率のランキングでは山形市が他を圧倒しています。特に営業利益率36.9%は、前回の神戸市37.9%と同レベルです。一般企業からしても超優良企業です。神戸牛、山形牛など地域特産のブランディングが功を奏しているということなんですかね。

あと注目したのは青森市です。売上や売上総利益率ランキングでは下位に甘んじていましたが、営業利絵率では32.5%とかなりのハイスコアです。販管費を抑えた超効率経営を行っている事業者が多いということです。企業努力を重ねておられると思います、すばらしいですね。


今回は以上です。いかがでしたでしょうか。比較の軸をさらに増やしていくことで見えてくるインサイトでビジネス可能性や仮設設定もできることを実感いただけたのではないでしょうか。

次回は関東ブロックで何か新たなインサイトがないかなどを見ていきたいと思っています。

ではまた次の機会に!


(おまけ)地方事業者向け気になるニュース紹介

今回も私が個人的に気になるニュースをピックアップしています。
地方事業者の目線で役に立つ情報を中心にご紹介です。

抽出期間:2022/5/8~2022/5/20
ニュース転載元:EnterpriseZine(エンタープライズジン)

DATAFLUCT×primeNumber、「リードスコアリング」に関するソリューション開発に着手

リードスコアリングの自動化はビジネス・マーケティング領域におけるAI活用領域として期待できると思っています。専門家がいないとデジタルマーケティングできないなんて不公平ですから、まさにAIの出番と思います。ただ事業者サイドのみなさんはデジタル化が必要ですので、AI活用に向けた計画・準備をお忘れなく。

企業のデータ活用による意思決定はわずか4割 スノーフレイクが調査結果を発表

前述と矛盾しますが、AI活用が出来たとして、最後にビジネスの意思決定をするのは人間なんですよね。経営者なのか、事業責任者なのか、現場担当者なのか、あらゆる場面で意思決定が求められるわけです。業界専門家のような立ち位置の人は今後事業者の意思決定を支える仕組みづくりが求められてくるんじゃないかなと思っています。


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