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オープンデータ活用研究vol7(経済センサス編) 京都おける飲食業の収益性分析から得られる新たなインサイト探索~データ分析編①~

お疲れ様です。ムロイです。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
学生や新社会人は新年度が明けてあっという間に1か月が経ちましたね。活動が順調な方も、高い壁に心折れそうになっている方も様々だと思います。人生100年時代と言われている昨今、まだまだこれからですの一緒に新生活を楽しんでいきましょう!

さて、前回はデータ収集編ということで、経済センサスよりデータ分析に必要なデータをようやく入手できました。今回は実際に入手したデータを使って、京都における飲食業や宿泊業の収益性分析を行っていきたいと思います。

収益性分析について

この収益性分析ですが、例えば上場企業の財務状況を知りたいと思った時は公開情報としてすぐに入手できる類のデータもあれば、前回のように対象となるデータセットを見つける作業はいつも苦労するところです。
分析作業の8割がデータ収集とデータ整形と呼ばれる前処理の作業に工数を費やします。残りの2割が分析にかける時間となりますが、分析していくとまた新たなデータセットが必要になりデータ収集に戻っていくというループ作業になりがちです。
データ分析作業が専任であるデータアナリストやマーケターであれば時間を割けるかもしれませんが、現場の営業や企画などに業務時間の多くを割かなければならない方には厳しい作業になります。ましてや収益性分析のようなより経営に近いところの地方の事業者となると、そもそも一人でこなす業務量が多いので事実上困難です。
ただデータ分析から新たなインサイトを得ることで新たなビジネスを創るというサイクルは今後あらゆる業種業界で展開されていくと思っています。これは事業規模問わずの流れで、先行する大企業と比較してまだまだ中小事業者に浸透していないのが実態です。一部の成長企業では小規模であっても新たなビジネスチャンスを虎視眈々と狙って、データドリブン経営を実践している点も見過ごせない実態です。

京都市の宿泊業および飲食サービス業の収益性

京都市の収益性は、以下の通りです。対象データセットは、産業分類を"M宿泊業,飲食サービス業"で絞り込み、当時は平成28年(2016年)になります。

  • 売上(収入)金額【百万円】:427,201

  • 費用 売上原価【百万円】:94,210

  • 費用 販売費及び一般管理費【百万円】:234,336

追加でいくつか収益性指標を個別計算してみましょう。

  • 売上高総利益【百万円】:332,991

  • 売上高総利益率:77.9%

まずは売上高総利益を計算します。売上ー売上原価です。
売上高総利益率は売上総利益/売上で計算します。

  • 営業利益【百万円】:98,655

  • 営業利益率:23.0%

次に営業利益を計算します。売上ー売上原価ー販管費です。
営業利益率は営業利益/売上で計算します。

ここから何が見えてくるでしょうか。営業利益率に注目です。営業利益率が20%を超える会社はだれが見ても超優良企業と言えます。2016年はコロナ前の時代ですが、京都市における飲食業や宿泊業のポテンシャルを感じる結果となりました。

京都市の飲食業、宿泊業のポテンシャル

さらに他の観点でも見ていきましょう。

  • 売上(収入)金額【百万円】:427,201

  • 営業利益【百万円】:98,655

  • 事業所数:7,548

  • 従業者数【人】:68,439

ここに指標を追加します。

  • 1事業所あたりの売上高【百万円】:56.5

  • 1事業所あたりの営業利益【百万円】:13.0

  • 1人あたりの売上高【百万円】:6.2

  • 1人あたりの営業利益【百万円】:1.4

一部の事業体が全体の数字を引き上げている可能性もありますので単純計算の結果にはなりますが、京都市において飲食店、宿泊業の事業で、年間1,000万を超える事業収入を稼ぐことも遠い世界ではないことが見て取れるのではないでしょうか。


今回は以上です。いかがでしたでしょうか。京都市の飲食業、宿泊業のポテンシャルをデータ分析から垣間見ることができたのではないでしょうか。

]次回は京都市のほか、近隣の大阪市や神戸市、名古屋市などの都市と比較して何か新たなインサイトがないかなどを見ていきたいと思っています。

ではまた次の機会に!


(おまけ)地方事業者向け気になるニュース紹介

今回も私が個人的に気になるニュースをピックアップしています。
地方事業者の目線で役に立つ情報を中心にご紹介です。

抽出期間:2022/4/10~2022/4/23
ニュース転載元:EnterpriseZine(エンタープライズジン)

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地方の事業者にとってデジタル化が最初の一歩になりますが、営業時の名刺は未だ紙名刺しかもっていないという方も多いのではないでしょうか。Sansanは有料版もいろいろ便利ですが、無料版のEightでもデジタル化は実現できます。私はどちらも使っていますが、ビジネスライフではもはや欠かせないツールの一つとなっています。

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記事の趣旨とは違う話ではありますが、企業の優先対応リスク7位に”製品/サービスの品質チェック体制の不備”が挙がっています。地方の事業者にとってDXによる売上拡大も大事ですが業務効率化も大事で、分散するデータを集約することのアウトプットとして品質管理の向上も目指すことができます。ここは機会を見て別に記事にしていきたいと思っています。

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おなじみのIT人材不足ネタの記事になります。私の周辺では長らくITど真ん中の仕事をしてきたのに就農した人やビル管の仕事したいので資格取得を目指す人、コンビニ経営を始めた人など。ITから違う分野に行く人が増えてきているように思います。新しいチャレンジ自体は応援対象ではありますが、どうも日本全体で需給バランスが崩れているなぁと感じる今日この頃です。

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