【波田大和選手】両親がモチベーション。課題に向き合いさらに成長するアジア王者
波田大和選手ってどんな人?
★OPBFスーパーフェザー級王者、WBCスーパーフェザー級19位、WBO Asia Pacificスーパーフェザー級6位
所属:帝拳ジム
生年月日:1997年1月18日 (27歳)
身長:171cm
出身:埼玉県草加市
デビュー:2015年10月3日
通算成績:17戦15勝(14KO)2敗(1KO)
スタンス:左ボクサーファイター
ベテランの"圧"を迎え打ちアジア王座獲得。
忘れられないリング上からの光景とは?
――前回の試合でOPBF王者になりましたが、試合を振り返っていただいてもいいですか?
対戦相手の坂選手は、ベテランでプレッシャーが強くてパンチ力のある選手でした。そういう相手に圧で負けて下がるだけではなくて、迎え打つ感覚で試合ができたことは大収穫だなと思っています。下がって距離をとりつつ、相手に打つ気がないと思われないように迎え撃つ感覚を練習から意識していました。
それはカルロス・トレーナーとの練習が影響していたと思います。メンタル的にもいい影響があったと思います。カルロスさんの身体が大きいので、普段のミットでパワー負けしないように鍛えられていますね。パートナーとして一緒に練習できたことで押し負けない力を身に付けることができたと思います。
――王者になって周りの反響はどうでしたか?また、ご自身の中で変化はありますか?
勝者の名前が呼ばれた瞬間、リングの上から父と母の嬉しそうな顔を見れたことが忘れられないですね。でも試合後に父から「今回の相手で負けたら終わりだった」と声を掛けられたので、次こそは褒められるように頑張りたいなと思いました。
叔父の旭道山からは、デビュー戦から「1発には気をつけろ」と言われていて。その言葉のおかげで危ないパンチをもらってもダメージを最小限にできたんじゃないかなと思っています。試合が終わってからは、「ベルトを獲れたのだから自信を持って」と言ってもらえましたね。
自分の中では、良くも悪くも焦りは出てきているかなと感じています。「チャンピオンだったらもっと頑張らないと」と自分を追い込みすぎてしまうことが多くなりました。常に「しっかりやらないと」という気持ちが前のめりになっている感覚ですね。
――前回の試合が終わってから、力石政法選手(大橋)や同門の尾川堅一選手がランクインされているWBC世界ランクでは19位に入りましたね。WBCのベルトを狙っているのでしょうか?
何のベルトが欲しいとかは特にないです。もし、僕が世界チャンピオンになって両親が喜ぶのであれば、その目標に向けて頑張りたいとは思っています。両親に褒めてもらえるなら世界を目指したいですけど、まずは今のベルトを防衛することだけを考えています。「世界チャンピオンになりたい」と口だけで言うのは簡単なことなので、口だけにはしたくないですね。
「試合をすることが仕事。目の前の試合で勝つ」課題に向き合う練習に取り組む次戦。
――今回の試合は防衛戦ではないノンタイトル戦となりますが、どのように感じられていますか?
正直に言うと、防衛をして自分の価値を上げたいので、なぜ防衛戦ではなかったのかな?とは思いました。でもボクサーは、試合の位置付けとかは関係なく「試合をすること」が仕事だと思っているので、目の前の試合で勝つことだけを考えていますね。裏でどれだけトレーニングしていても、リングの上でしか強さを証明できないので。「勝って反省」が大前提ですね。
学生時代から「目の前のことをやるしかない」という気持ちが強いです。どの試合にも意味があると思っているので、次戦で世界ランキングの順位を上げようとかも特に考えていないです。相手が強くて自分が不利な状態であっても、言い訳せずに今後も勝ちにいきたいと思っています。
――まさに"プロ意識"ですね。今回対戦するプレスコ・カルコシア選手(フィリピン)の試合は見られましたか?
保田克也選手(大橋)との試合動画を観ました。待ちの姿勢の印象が強かったんですけど、相手を効かすフックが何発かあったので気を付けたいなと思いました。前戦の経験を活かして、反撃できる体制で迎え打つことが目標です。
――スパーリングで対策を練られているのでしょうか?
そうですね。今回は、ワタナベジムの秀先輩(宇津木秀選手)とやりました。帝拳では麗王(齋藤麗王選手)と彪我(宮田彪我選手)とやっていますね。
秀先輩は、花咲徳栄高校時代の先輩なので高校時代から何度かスパーをしていました。秀先輩が1階級上なので、押し負けないように耐えようとする実戦がメンタルトレーニングにも繋がりましたね。スパーリングだとグローブのozが試合とは違うのでそのギャップにやられて、相手にボコボコにされることが多いです…。
麗王と彪我とのスパーリングでは1発のパンチに頼らずに攻め続けることを意識して戦っていました。あとは、パンチを当てる場所にこだわって力む癖があるので、こだわりすぎないように2人とのスパーで落とし込んでいる段階ですね。カルロスさんからも「トランキーロ(スペイン語で「焦るな」)」や「スワベ」(スペイン語で「リラックス」)とよく言われるので試合でも意識できればな、と思っています。
――実戦を通して課題を克服している最中なんですね。
そうですね。自分自身をコントロールができる選手になりたいので練習から意識はしています。でも、自分の得意なトレーニングや技しか今までやってこなかったので、課題と向き合うのは正直難しいです(笑)
カルロスさんに「得意なことだけでは強くならないよ」と言われてからは大好きなドラムミットだけではなくて、小さいミットで細かいパンチを出す練習もし始めました。田中繊大トレーナーにも「F1の車やフェラーリでも運転しているのが赤ちゃんだったら運転できないだろ」と言われたことがあって、すごく納得しましたね。
――流石、田中トレーナー…。何か他に特別なトレーニングに取り組まれていますか?相撲の部屋に行ったり?
相撲も部屋の移動などがあって練習に行けていないので、代わりにプールへ通い始めました。試合が終わってから、父親に「ボクシングだけではなくて他の競技で他人より倍の練習量をこなせ」 とふと言われたんです。そこで水の中で息を止めることが良いトレーニングになるんじゃないかなと思って、プールを選びました。ひたすら泳ぐだけではなくて、25mを息継ぎなしで休憩も挟みつつ何本も泳ぐという練習をしています。
刺激し合う帝拳ジムの仲間たち。天才的な分析力を持つ選手は一体…?
――王者になってから他の帝拳のベルトを獲られている選手とも話されましたか?
同じOPBF東洋太平洋のベルトを獲った幹士さん(中野幹士選手)とは試合前の辛さについて語りましたね。試合を想定したラウンド数のスパーや走り込みを色々重ねていくと、メンタル的にもしんどくなってしまうので。「試合よりも練習の方が辛かったよね」と試合後に2人で話していました。
スパーリングが終わった後、幹士さん(中野幹士選手)に感想を聞きに行くことが多いんです。幹士さんは、1つ質問しただけで打開策をすぐに教えてくれるんです。その通りに実戦したら幹士さんの言う通りになることが多いので分析力が天才級だなと思いましたね。
――練習仲間ならではの会話ですね。今回の興行に一緒に出場される選手についてお聞きしても良いでしょうか?
陸(増田陸選手)は、練習時間が被るのでよく話しますね。陸のすごいところは、次戦の相手の特徴を伝えただけで「こういうパンチが当たりそうですね」とすぐにアドバイスをくれるんです。幹士さんと同じように分析力に驚かされますし、武士みたいな感じが漢らしくて憧れます。
高見(高見亨介選手)は、弟みたいな存在ですね。生意気な奴だなとは思いますけど、なんだかんだジムを賑やかにしてくれます。高見は僕のことをどう思っているかは分からないですけど…。
――高見選手は以前「波田さんは帝拳1、2を争うハードパンチャー」と褒めていらっしゃいました!
ええ、本当ですか!?今まで言われたことがなかったので、いじっているんだと思いますよ(笑)高見は、練習中もカルロスさんの真似をして「大和頑張れ」と呼び捨てしてくるので、絶対僕のこと舐めてます(笑)でもハードな練習になってくるとそういう高見の明るさがなんだかんだ支えにはなっていますね。
――いい仲間ですね。ちなみにこの4か月間で多くの帝拳ジムの選手がタイトルマッチに出場されましたね。刺激を受けた試合はありますか?
1番刺激を受けたのは翔吉さん(岩田翔吉選手)の試合ですかね。ここだというタイミングでアッパーを繰り出していたので痺れました。翔吉さんのアッパーって独特で、翔吉さんにしか打てないものだと思うので、すごく格好良かったです。「こういうボクシングしてみたいな」とイメージが沢山湧いたので、10/13(土)14(日)は大収穫の2日間だったなと思います。
ゲームとアニメで息抜き!好きな声優が出演するアニメを全制覇することが目標!?
――ゲームがお好きとのことでしたが、最近は何のゲームをやられていますか?
最近もPlayStation5のゾンビゲーム、Switchのマリオパーティーを交互にやっていますね。ゾンビゲームをすると夢にまでゾンビが出てくるので、無意識にストレスを感じていると思います(笑)
――ゲームの影響が出ていますね(笑)以前話されていた「ONE PIECE」も見続けていますか?
1日1話ぐらいのペースで見ていますね。新しいアニメも沢山出てくるので、見たいものが増えて大変です。最近のアニメだとリメイクの「らんま1/2」が1番好きで、コラボ商品とかも近々出るので、Tシャツとかも買いたいなと狙っています。
――「らんま1/2」良いですよね!高橋留美子さんの作品がお好きなんですか?
作家さんというより声優さんから探りますね。
僕はリヴァイ兵長の声をやられている神谷浩史さんという声優さんが声が渋くて好きなんです。最近の作品も沢山出られているので、チェックに追われていますね。
――声優さんがお好きなんですね!初めて神谷さんの作品を知ったのは何の作品だったんですか?
「ONE PIECE」の映画に出てくるトラファルガーローというキャラクターでハマりました。「ONE PIECE」のアニメを見始めましたのも神谷さんの出ている作品を片っ端から見ようと思ったことがきっかけです。
最近だと「ハイキュー!!」を見終えました。バレーボールのことを知らないでバレーボールアニメを見るのは失礼かなと思ってバレーボールを少しやってみたんですけど、アニメみたいにはいかなかったですね…(笑)
――スポーツへの尊敬の念が伝わりますね。同門の豊嶋亮太選手も「ハイキュー!!」お好きでしたよね?
そうですね。「ハイキュー!!」についても豊嶋さんと話すことはあるんですけど…。豊嶋さんはサポーターやボールとか全部揃えているので僕とは違って本物のオタクですね(笑)
――豊嶋選手との関係性もいつか深堀させていただければと思います!
本日はありがとうございました!
★U-NEXTでの視聴はこちらから
11月2日(土)17時30分配信開始
17時45分試合開始
https://video.unext.jp/freeword?query=WHO%27S+NEXT&lc=LIV0000006771