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ゲストハウスに泊まる時はお菓子を持っていくべきな話。

大学4年の冬、縁あって長距離バス1万円で乗り放題チケットをゲットし、バスとゲストハウスだけで4泊5日の旅に出た。

つくばのアパートを朝4時半に出発し、東京→大阪→(夜行)→出雲(島根)に一泊。折り返して出雲→大阪(夜行)→東京→長野にまた一泊(ここまで4泊5日)。
そのまま長野駅からバスで志賀高原に向かい、スキー場で5泊6日のリゾバに合流するというハードスケジュールだった。

出雲大社
志賀高原の空は雄大だった。

ハードスケジュールとはいっても、夜行バスはともかく昼間の都市間バスは実に穏やかな移動時間で、思ったほど疲労はたまらない良い旅になった。

最初は宿代すらもケチって全て夜行バスで日をまたごうと画策していたが、恋人にやめなさいとたしなめられたため、渋々と出雲に1泊、長野に1泊ゲストハウスをとっていた。

結果的にこのゲストハウスが当たりで、駅前に3000円ほどで泊まれる上に、当時の旅行支援のクーポンまで飯代まで頂いてしまった。

しかも、長野のゲストハウスにはドリンクバーまで付いていて、妙に豪華なソファで洒落たマグカップで飲むココアが美味しかったのを覚えている。

ベッドルームは完全にドミトリーといった感じで、2段ベッドが大量に(かつオシャレに)点在する広いスペースだった。
スキーに来た美形のインバウンド達が多くのベッドを埋めており、ゲストハウスというものに慣れていなかった私は「ゲストハウスっぽい!」とよく分からない感想を抱いたものだった。

子供心くすぐる必要最低限のベッドスペース。
秘密基地と言わざるを得ない。

ベッドはカプセルホテルサイズだったがこれが意外と快適なもので、すっかり寝すぎてしまったのだが、それが良くなかった。

ゲストハウスというのは往々にしてセルフチェックアウトという形式が多く、朝は管理人さんが不在な場合が多い。

シーツや枕カバーは自分で回収して洗濯カゴへ入れておき、ベッドルームのカードキーは専用のポストに入れるという流れだ。

コートを着てリュックも背負い、忘れ物チェックもした。
あとはドリンクバーで起きがけコーラでも決めてから旅立とうと思ったのだが、ここで問題が発生。

沢山あったドリンクバーのグラスが、夜と朝の間に全て使われ、ひとつも残っていなかったのだ。
同じくグラスを探している方がうろついていたので、しばらく前に使い切ってしまったのかもしれなかった。

かといって、2階のキッチンスペースでグラスを洗ってくるほどのコーラ欲でもなかった。
少し出鼻をくじかれたが、諦めて出発しようとしたその時だった。

ヨーロッパ系? のイケメンなお兄さんが、プラコップをひとつ差し出してきたのだ。

英語を全く聞き取れなかったので定かでは無いが、多分、
「隣のコンビニで買ってきたんだ、ハハ、まったく困ったもんだよなブラザー!」
的なことを言ってた。
多分。

あの時ばかりは、
「oh……センキュー!」
としかいえなかった自分の英語力が憎かった。

お返しに何か、とカバンを探すが、あいにくと何も入っていない。
じゃがりこくらいは入っていたかもしれないが、プラコップ1つに対して過剰すぎるお返しは逆に迷惑か、とか考えてしまった気がする。

英語が喋れなくても、せめて飴玉かカントリーマアムの1つくらい、すっと差し出せる器量が欲しかった。

お兄さんの優しさでありつけたコーラは、起きがけの喉には少し刺激が強すぎたけど、ファミレスのコーラよりずっと大事な一杯で、ゆっくり一口ずつ飲んだのを覚えている。

あれからしばらくゲストハウスには行けていないが、次に泊まるときは配布用のお菓子を持参することにしようと思っている。
そして、英語で「良かったらどうぞ」くらいは覚えておかねば。

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