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エリートの、ふりしてアート「虚と実」

 一見、対象を正確に捉え、描写しているような絵画にも、現実にはあり得ない現象や物体が映り込んでいる作品があります。そんな”虚と実”が混同した作品を、今回は紹介したいと思います!


マグリット『光の帝国』

 街灯の光が、白壁の家と、道路を照らしています。家の窓から漏れる明かりは、水面に映り、揺らめいています。そんな夜の雰囲気とは対象的に、空は青く、雲が漂っているのです。


葛飾北斎『甲州三坂水面』

 北斎が河口湖を船で移動した際のスケッチをもとに、描いたと言われるこちらの作品。岩肌を露出させた夏富士が、堂々と鎮座している様子が描写されており、その姿から崇高さすら感じます。

 そして画面下半分、河口湖面には逆さ富士が描かれているのですが、これが虚!なんと、冠雪した冬の富士山が映し出されているではありませんか!!


ルドン『グラン・ブーケ』

 縦248.3cm、横162.9cmのキャンバスに、パステルで描かれた花瓶とそこに活けられた花々。それらは現実の花か否か、もはやわからない。

 描かれている対象が現実の物ではない、”虚”かもしれない。

 しかし、花と花瓶から感じる美しさは、神々しさを”実”に変えた肖像として、表現されているのではないでしょうか。


 今回は「虚と実」をテーマにして、見え方や対象の虚と実、現実の虚とイデアの実を対比した例を取り上げてみました。抽象化とキュレーションの一歩として、アートはビジネスにも役立つと改めて認識できました!







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