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新入生として参加した新歓で孤立したことがあるか?俺はある。

新入生歓迎会。略して新歓。

新人・新入生を歓迎すること。新歓(しんかん)とは - コトバンク

人によって新歓のイメージは異なるだろう。新しい出会い。楽しい時間。

だが、人見知りにとって新歓とは地獄。歓迎は歓迎でも、行きつく先は地の底。ウェルカムようこそ地獄へ。

全員知らない人の中に、薄ら寒い愛想笑いだけで突撃するのだ。戦場に爪楊枝1本で挑むようなもの。それは勝ちの見えない戦。

人見知りで鳴らしている僕も、大学時代にはサークルに入ったため、そんな地獄を体験している。

大学1年、テニスサークルへ入る

僕が入ったのはテニスサークルだった。たまたま高校の先輩であるHさんが部長をしていたサークルがあったため、そこに参加することなったのだ。
そもそもサークルに入ることすら難儀していたので、Hさんがいなかったら僕はサークルに入ることすらなかったと思う。奇跡の出会いであり、地獄の始まりだった。

新歓前に訪れた見学で見せつける人見知り

新歓の前に、一度サークルの活動を見にいったことがあった。日曜日の朝10時、河原近くのテニスコートで20名ほどの男女が仲良さそうにテニスをしていた。僕はテニスコートの中に入らず、フェンスの外で眺めていた。

Hさんが気を遣って「入ってきなよ」と声をかけてくれたが、丁重にお断りした。テニスコートに入るまではHさんがエスコートしてくれるだろうが、そこから先は自分でなんとかしないといけないことを理解していたから。

そもそも僕は男子校出身なので、人見知り以前に女子と会話する能力が皆無だった。大げさじゃなく、顔を赤くして黙り込んでしまうのだ。知らない人とは話せないし、女子とはもっと話せない。そんな僕にコートに入る力量はない。自分のことは自分が一番分かってる。その日はフェンスの外から一通り活動を見て帰った。薄ら笑いの男がフェンスの外から長時間、自分たちを眺めていたらどう思うんだろう。

こうして僕の最初のサークル活動は終わった。

新歓当日、集合すら難易度Sクラス

さて、サークルの活動に1度参加した(?)僕は、その後無事に新歓に招待された。当日、まずは集合場所に向かったが、似たような大学生の集団が多すぎて、どれが自分のサークルなのか分からない。

当たり前だ。フェンスから遠目に見ていただけなのだから、誰がサークル員なのか分かるはずがない。一人オドオドしていると、Hさんが見つけて声をかけてくれた。

無事合流したものの、ほぼ全員知らない人なので店までの道中、無言でついていく。新歓への参加は自分で決めたことだったが、憂鬱で仕方がなかった。だって知らない人だらけだもん。無理無理ほんとムリ。

そんなことを考えながら歩いていると、店に到着。会場の店は地下にあり、入り口に繋がる階段はまさに地獄が口を開けているようだった。実際、店はやたらと照明が薄暗く、気持ちはより一層暗くなった。

店は貸し切りで、テーブルが8つほど。サークルメンバーが新入生と先輩方をごちゃまぜにして8つのグループに分けられ配置された。僕のテーブルは僕と新入生男子1人、先輩女子2人と、Hさんの5人席。Hさんがいてくれてよかった~と心から安堵した。

始まった2時間の会、2分で終わる

会が始まると、Hさんが僕のことをイジりながら面白おかしく紹介してくれた。それに合わせて、ヘラヘラしながら2分ほど自己紹介をしたのだが、2時間の会の中で唯一僕に訪れたターンだった。

たった2分。それがこの会で新入生の僕にスポットライトが当たった時間。その後、そのテーブルでは相槌以外打っていない。僕以外の新入生男子は既に何度もサークルの活動に参加しており、僕だけがアウェーだったのだ。みんなで楽しそうに会話する様子を、至近距離にいる観客として眺めていた。

気が付くと頼みの綱のHさんも別のテーブルに移っており、僕はテーブルで知らない人たちが話す知らない話題に耳を傾けながら、定期的に運ばれてくる料理を口に運ぶ人形になり果てた。

そして訪れる、本当の地獄

その内、各自席を移動するフェーズに入った。確かに、ずっと同じ席で同じ人と話してしまっては新歓の目的は果たされない。至極合理的だ。

しかし、それぞれが移動する中、僕は移動しなかった。なぜなら、みんな移動してしまっては上手く混ぜることは出来ない。移動する人と残る人が半々になった方が効率的だろ?これも非常に合理的。僕に死角はない。

そうして5分後、僕は5人掛けのテーブルに一人で座っていた。

おかしい。僕の判断は間違っていないはずだ。どういうことだ?

これから新歓を経験する人たちには知っておいてほしいのだが、どうやら新歓では1席に1人が座るというお行儀の良いルールなど無いらしい。1人分の席に2人で座ってぎゅうぎゅうになったり、席などなくても楽しいテーブルに参加するため立って集まったりする。つまらない無口なやつのそばに無理に寄り添う必要はない。みんな、各々楽しめばいいのだ。つまり、人気なテーブルと不人気なテーブルができてしまう。こいつは想定外。

5人がけテーブルに一人取り残された僕は、初めて食べる揚げパスタを貪り続けていた。パリパリ。ポキポキ。

気がついたら、テーブルに運ばれてきた揚げパスタは5人分だったのに、全て食べ終わっていた。一体どれだけの時間がたったのだろう。しかし、パスタが無くなってしまってはダメだ。揚げパスタがなくなってしまっては、同時に僕がここにいる理由もなくなってしまう。ここまでは揚げパスタを食べたいがために一人で席に座っているクールな新入生だったが、これからは場に溶け込めないから一人取り残されたイケテナイ新入生になってしまう。このジョブチェンジははまずい。まず過ぎる。

そう思っていると、Hさんが話しかけに来てくれた。良かった助かった!これぞ救済。神様、仏様、H様!蜘蛛の糸をたらされたカンダタもこんな気持ちだったのかな、と思った矢先

「あのさ、一人でいるとみんな気を遣っちゃうから、うまく溶け込んでくれない?」

あ、そっか。言葉って、刃物になるんだなぁ。

ヘラヘラ謝りながら心を殺し、僕は知らない人たちが楽しそうに会話するテーブルに、会話の邪魔をしないけれど参加もしない距離感で近づき、残りの時間を消化した。

人見知りにとって、新歓とは地獄だ

ちなみにこの時、男の先輩と女の新入生の距離が異常に近いことにかなり驚愕し、大学のサークルって噂通りかなりハレンチだな・・・と衝撃を受けたのだが、この話は人見知りとは別の話なので今回はやめておく。

新歓。

それは新入生にとって、知らない人間と強制的に話さなくてはいけない地獄の時間。ウェルカムようこそ地獄へ。

誰か、新歓をうまく乗り切るコツを教えてくれ。

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人見知り克服のために色々なチャレンジしてきます。