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Facebook の検閲におけるイスラエル愛 〜 その深刻なまでの愚かさ

1. Facebook の検閲とパレスチナ/イスラエル問題

Facebook のパレスチナ/イスラエル問題における極めてイスラエル寄りの姿勢は随分と以前から知られており(私自身これまでに複数回パレスチナとイスラエルに関わる問題に触れた Facebook 上の投稿を削除されたことがある)、そうしたパレスチナ問題、イスラエルの政策に対する批判に関わっての Facebook の(イスラエル政府、時にイスラエル・アメリカ両国政府の要請に沿っての)不当な検閲や Facebook による一部ユーザー(アカウント)に対する抑圧・弾圧については、これまで数多くのメディア上の記事においても取り上げられている。

以下に挙げるのはその中の一部の例に過ぎないが、順に、1) 2016年9月25日付 Al Jazeera, 2) 同年10月25日付 The Independent, 3) 2017年12月30日付 The Intercept, そして 4) 昨年 2020年5月6日付 Middle East Eye の記事である。

1) Facebook ‘blocks accounts’ of Palestinian journalists 〜 Account suspensions come on heels of agreement between social media giant and Israel to team up against “incitement”. (September 25, 2016, Al Jazeera)

2) Facebook ‘deliberately targeting’ Palestinian accounts after meeting with Israeli government, rights groups say 〜 Social media giant accused of disabling accounts of activists and journalists following talks with Israeli ministers last month on how to tackle ‘incitement’ on the platform (October 25, 2016, The Independent)

3) Facebook Says It Is Deleting Accounts at the Direction of the U.S. and Israeli Governments 〜 The Silicon Valley giant says it deleted the accounts of the Chechen Republic’s tyrant — followed by 4 million people — because the U.S. government required it to do so. (December 30, 2017, The Intercept)

4) Facebook deactivates dozens of accounts of Palestinian journalists and activists 〜 At least 52 Palestinians have been affected by Facebook's deactivation sweep, according to data collected by Middle East Eye (May 6, 2020, Middle East Eye)

2. そして今 〜 Zionist という言葉を使った(シオニストひいてはイスラエル)批判すら封じようとしている Facebook

最初に至極当然のことをまず書いておくと、シオニストはユダヤ人とイコールではない。ユダヤ教徒ともイコールではない。イスラエル人ともイコールではない。ユダヤ人もしくはイスラエル国籍を持つユダヤ人にも、そしてユダヤ教徒の中にも、シオニズムに対して批判的な人はいるし(それどころか近年その数は明らかに増えているものと思われる)、ユダヤ人全体ということで言えば、反シオニストの立場を明確に取る人の数は決して少なくない。しつこくもう一言添えておくと、「反シオニスト」とまで言わなくとも、自分自身がシオニストであるというアイデンティティを持つユダヤ人は果たしてどれだけの数いるだろうか。要するに、シオニストはイコール、ユダヤ人ということでは全くなく(一方でアメリカの現大統領ジョー・バイデンのように非ユダヤ人でありながら「私はシオニストです」という人も珍しくない)、本来言うまでもなく、シオニスト批判・シオニズム批判はユダヤ人に対する偏見でも差別でもないし、「反ユダヤ主義」などという人種差別的な思想とは無縁のものである。

さて、先月来、Facebook がイスラエル政府やその支持者たちの求めに応じて、「シオニスト」すなわち "Zionist" (については次章以降においても記述) という文言そのものを Facebook の反「ヘイトスピーチ」ポリシーにおいて保護されるべき対象の中に入れ、シオニスト・シオニズム批判ひいてはイスラエル批判に関して言論統制することを検討中であることが、世界のパレスチナ/イスラエル問題や広く人権の問題に関心を持つ人たちから深刻な懸念を持って注目され、これに反対する声が巻き起こっている。

Zionism というのは 19世紀末以降広まったシオン(旧約聖書にも登場するエルサレム地方の歴史的地名)の地にユダヤ人国家を作ろうという一部ユダヤ人の思想・運動であって、Zionist は政治思想、社会思想における「〜 主義者」の一つにしか過ぎないにもかかわらず、Facebook において、これはこれで当然ながら Communist (共産主義者), Socialist (社会主義者), Islamist (イスラム教徒もしくはイスラム教主義者, イスラム原理主義者のニュアンスで使われることもある), Islamic [Muslim] fundamentalist (イスラム原理主義者), あるいは Christian fundamentalist (キリスト教原理主義者) などへの批判は可能であり、さらに(ヘイトスピーチでない限り)Muslim, Christian, Buddhist 等(の行為等)への批判、またこれまた当然のこととして、そうした宗教のそれぞれの教義や「聖典」の内容に対する批判も可能でありながら、その一方で、Zionist という言葉を使ったシオニスト批判やイスラエル批判、占領地パレスチナにおける違法入植者への批判などを「ヘイトスピーチ」扱いして封じようとすることは、言論・表現の自由という基本的人権の観点から、極めて深刻な問題を孕む言論統制であると言わなければならない。

以下の 1) にリンクを置いた Jewish Voice for Peace (ユダヤ系アメリカ人の NGO) を含む様々な団体によるアピールにある簡潔なテキストが問題を的確に言い表わしているので、下に引いておきたい(筆者自身は先月末 1月27日に賛同者として名前を加えた)。

なお、1) には "Dear Mark Zuckerberg and Sheryl Sandberg" として Facebook 経営側の両名への公開書簡が添えられている。Facebook の創立者(創立 2004年)で現在も CEO (Chief Executive Officer) である前者と、2008年から現在に至るまで Facebook の COO (Chief Operating Officer) を務める後者は、共にユダヤ系アメリカ人であるが、Facebook が国境のみならず政治思想や宗教の違いなどを越えた世界の市民が参加する SNS, 人的交流のプラットフォームであるのなら、当然ながら「ユダヤ人の国家」を標榜するイスラエルという国(実際には 1948年「建国」以来、というより同年以前からのアラブ系住民, 1967年以降のイスラエルによる違法占領地 [東エルサレム・ヨルダン川西岸地区およびガザ地区] でなくいわゆる 48テリトリー内に住むパレスチナ人も国民の一部を構成しているのだが)の言わば「建国」の背景にある思想についても、他の政治思想・社会思想と同様に批判対象として公正に扱うことが求められる。

彼ら二人の経営者がユダヤ人であることをこうしたかたちで取り上げつつ、彼らが運営する Facebook によるイスラエルへの偏向姿勢を批判すると、イスラエル支持者の多くはまさしく「鬼の首でも取った」かのように「お前は反ユダヤ主義者」だと大声を上げて批判の声を封じようとする可能性があるが、筆者はもちろん anti-Semitism つまり「反ユダヤ主義」などに与してはいない。筆者にはユダヤ人の知識人・アーティストなどの中に幾らでも尊敬する人たちがいるし、そもそも Jewish Voice for Peace にしても「平和のためのユダヤ人の声」という文字通りの「ユダヤ人による」組織である。

以下、1) の後半部(下部)に掲載された Mark Zuckerberg と Sheryl Sandberg へのアピールのレターの上部にあるテキストからの 3パラグラフを引いた上で、1), さらに 2) は同じく Jewish Voice for Peace による 1月27日付のインスタグラム投稿、3) は 2月2日付の Jewish Voice for Peace によるインスタグラム投稿、4) は 2月13日付の Jewish Voice for Peace によるインスタグラム投稿とツイート(内容は同じで 8ページもしくはスレッド・8ツイート, 今回の問題の核心をよく突いた内容)、そして 5) は Jewish Voice for Peace の Deputy Director である Rabbi Alissa Wise (Rabbi はユダヤ教の律法学者もしくは宗教指導者, 師などを意味する称号: 因みに Jewish Voice for Peace のメンバーはユダヤ教信者も少なくないと思われるが、その組織自体は宗教的な主義主張をする団体というものではなく、世俗団体である) によるイギリスの The Guardian 紙上に寄稿されたオピニオン記事(2月11日付, ヘッド:"Facebook might censor criticism of Zionists. That’s dangerous", リード:"By making ‘Zionists’ a de facto protected category, Facebook would shield the Israeli government from accountability and harm efforts to dismantle antisemitism")をシェアした Jewish Voice for Peace のインスタグラム投稿、ツイートおよび該当記事、最後の 6) は同団体とは別組織によるもので、反シオニストのユダヤ系アメリカ人によるメディア Mondoweiss による記事(1月27日付)である。

The Israeli government and some of its supporters are asking Facebook to add “Zionist” as a protected category in its hate speech policy — that is, to treat "Zionist" as a proxy for "Jew" or "Jewish.”
Facebook, we need to talk — and you're not letting us. So we're launching a campaign to make sure you do.
Cooperating with the Israeli government's request would undermine efforts to dismantle antisemitism, deprive Palestinians of a crucial venue for expressing their political viewpoints to the world, and help the Israeli government avoid accountability for its violations of Palestinian rights.

1)

2) 要スワイプ。

3) 要スワイプ。

4) 要スワイプ。

スレッド(合計 8ツイート)。

5) 要スワイプ。

スレッド(合計 7ツイート)。


6)

3. シオニスト, シオニズム 〜 パレスチナ/イスラエル問題との関わり

以下、前章の 4) にリンクを置いた Jewish Voice for Peace のインスタグラム投稿およびツイート(日本時間 2月13日付, 内容は同じ)が、今日のこの note 投稿で中心の問題として取り上げている "Zionist" を含むシオニスト批判・イスラエル批判に対する検閲の問題の核心を突いているので、これをあらためて本章の 1) として置き、2) にはシオニズムに言及しつつパレスチナ/イスラエル問題の歴史を概観するための筆者のテキストを掲載する。

1) 

Jewish Voice for Peace のインスタグラム投稿(8ページ)とツイート(スレッド、計8ツイート)。

ツイートはスレッド(合計 8ツイート)。

2) 

以下は、一昨日 2021年2月15日に筆者が note に投稿した「アメリカのイスラエル愛 〜 バイデン政権になろうが変わらぬその愚かさ」と題するテキスト(今日のこの note 投稿の最後にリンクを付す)における第8章「そもそもエルサレムは, パレスチナは, イスラエルは..」からの転載。

ここでは、「シオニズム」もしくは「シオニスト」に直接触れている部分を太字にしておくことにする。

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エルサレム(注:シオニズムの「シオン」とは旧約聖書に登場するエルサレム地方の歴史的地名)の国際的地位については第2章(注:一昨日の note 投稿の第2章)で述べた通りだが、ここでは、その背景等の説明を兼ね、パレスチナ/イスラエル問題の「そもそも」論を書いておきたい。

問題の原因となったものをざっくり箇条書きすれば、1) 欧州における長年のユダヤ人差別、2) それによって勢いづくことになったシオニズム(によるユダヤ人のパレスチナへの移民・入植の運動)、3) イギリスの俗に言う三枚舌外交 〜 すなわち、1915年10月のフサイン=マクマホン協定(中東地域におけるアラブ諸国独立の約束)、1916年5月のサイクス・ピコ協定(フランス、ロシアと結んだ同三ヶ国による中東地域の分割支配を目論んだ秘密協定)、そして、1917年11月のバルフォア宣言(イギリスの当時の外務大臣アーサー・バルフォアが表明した、イギリス政府によるシオニズム支持表明) 〜 当然ながら中でもバルフォア宣言、そして 4) ナチス・ドイツによるユダヤ人弾圧・大虐殺「ホロコースト」(の結果としてのシオニズム強化、ユダヤ人のパレスチナへの移民運動の急拡大・移民人口の急増)、5) 1947年11月のまだ設立2年で欧米諸国が支配的だった当時の国際連合の総会における不当な内容のパレスチナ分割案決議(いかに不当・不公平だったかについては以下のテキスト内で言及)、イスラエル「建国」前から始まっていたシオニスト組織によるパレスチナ人追放・民族浄化作戦と1948年5月のイスラエルによる一方的な「建国」宣言、以降の70年余にわたる 6) 世界の超大国アメリカ合州国によるイスラエルへの一方的支援・国連安保理(拒否権発動)などにおける徹底的イスラエル擁護、などが挙げられる。  

次の次からの 8段落分は、筆者が昨年10月27日に「『兵役拒否』(イスラエル映画, 2019年) を観て 〜 あらためて」と題して note に投稿したテキスト(*1)の中の、"A2. 「"敵"は軍隊さえ持っていない」(兵役拒否者 アタルヤ)、「ユダヤ人大虐殺がなければ状況は違ったかもしれん」(祖父)" という見出しを付けた章、および "A4. 「私達はシオニズムのために殺さないし 死なない」(イスラエルの「占領」政策に反対するイスラエル人のグループ)" という見出しを付けた章からの、筆者自身の文章からの転載(前段で箇条書きした6項目の中の少なくとも一部に触れているので、あらためて記しておきたい)。

なお、映画「兵役拒否」は、2017年に実際に兵役を拒否し、母国イスラエルの軍事刑務所に110日間にわたって収監された後に兵役免除を勝ち取った当時19歳のイスラエル人女性 Atalia Ben-Abba の例を取り上げた、イスラエルのドキュメンタリー映画である。

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1894年のドレフュス事件(世界史に残るユダヤ人差別事件、フランス)をジャーナリストとして取材した、ハンガリー・ブダペスト(当時オーストリア帝国の一部)生まれのユダヤ人テオドール・ヘルツルがその事件を切っ掛けにヨーロッパにおける長年のユダヤ人差別の深刻さを改めて思い知り、そのことでシオニズム(言葉自体はオーストリアのユダヤ系思想家ナータン・ビルンバウムが考案)に目覚め、その指導者として第1回シオニスト会議をスイスのバーゼルで開催するのは1897年のことだが、それから21年後の1918年時点のパレスチナ(という言葉は紀元前からあった呼称だが、16世紀以降その地はオスマン帝国の支配下、そして同国が第一次世界大戦で敗戦国となった後は1918年からイギリスが占領、1920年から1948年までは Mandatory Palestine (British Mandate for Palestine), つまり「イギリス委任統治領パレスチナ」)における人口は、同年実施したイギリスの人口調査によれば、アラブ人(今日言うところのパレスチナ人)が 700,000人に対してユダヤ人は 56,000人と、前者の 1/12以下に過ぎなかった。

それが、1947年に当時まだ欧米諸国が支配的だった国連総会で「国連パレスチナ分割案」(同案の中で国連の信託統治領とする計画だったエルサレムを除くパレスチナ全域の土地の 56%を、アラブ人=今日言う「パレスチナ人」の人口の半分に満たないほどの人口だったユダヤ人の国家の土地とするという、極めて不当かつ不公正かつ不公平な分割案)が採択される際の国連の報告書では、当時のパレスチナにおける人口は、アラブ人(同上、パレスチナ人)とその他(アルメニア人などの少数を指すと思われる)が 1,237,000人、それに対し、ユダヤ人は 608,000人で全体の33%程度になっていた。

つまり、翌1948年のイスラエル「建国」の直前の年であってもパレスチナにおける絶対少数派ではあったユダヤ人なのだが(数十年間で急拡大したシオニズムによる運動で人口が急激に増えた結果であったため、ユダヤ人側の土地所有率にいたってはパレスチナ全域のわずか 7-8%程度に留まっていた)、それでも、その時点でパレスチナにおけるユダヤ人の人口は、上に記した 20世紀初期と比べれば、ほんの30年程度の間に絶対数として 10倍以上に急増していたことになる。

もともとヨーロッパにおける長年にわたるユダヤ人差別の歴史的背景があって、19世紀末以降、シオン(旧約聖書にも登場するエルサレム地方の歴史的地名)の地にユダヤ人国家を作ろうというユダヤ人の運動が広まったわけだが、その後の「イギリス委任統治領パレスチナ」時代のパレスチナへのユダヤ人の移民の動きの加速度的拡大、その結果としての同地におけるユダヤ人の人口急増の最大の要因として、ナチス・ドイツによる「ユダヤ人大虐殺」= ホロコーストを考えるのは、ごく自然な発想であろう。

念のために常識レベルのことを補足しておくと、ホロコーストはナチス・ドイツが行なった人類史に残る反人道的・人種差別的な犯罪・殺戮であって、当時パレスチナに住んでいたアラブ人(パレスチナ人)にとっては全く預かり知らない犯罪である。

さて、上に書いたように、当時はオーストリア帝国の一部であった現在のハンガリー・ブダペスト生まれのユダヤ人テオドール・ヘルツルが、1894年のフランスにおけるユダヤ人差別(冤罪)事件をジャーナリストとして取材し、ヨーロッパにおける長年のユダヤ人差別と当時の反ユダヤ主義的な動きという時代背景のもとシオニズムに目覚め、1897年には第1回シオニスト会議を開くことになるのだが、そのシオニズムという言葉自体は、同時期つまり1890年代にオーストリアのユダヤ系思想家ナータン・ビルンバウムが考案したものだった。

当時はオスマン帝国の支配下にあり、第一次世界大戦における同帝国の敗戦以降は「イギリス委任統治領パレスチナ」となる同地域(「パレスチナ」という呼称自体は遥か紀元前からあり、同地域に住んでいたペリシテ人の名が由来と考えられている)へのユダヤ人の移民を促すことになる「シオニズム」という思想のその名前は、旧約聖書のゼカリヤ書にある文言から発想されたものだった。

「主はこう仰せられる。『わたしはシオンに帰り、エルサレムのただ中に住もう。エルサレムは真実の町と呼ばれ、万軍の主の山は聖なる山と呼ばれよう。』」(旧約聖書, ゼカリヤ書 8章3節)

..................................

参考リンク 〜 筆者の過去の note 投稿から

以下、*1 は上記 8段落分を引用した昨年10月の筆者の note 投稿、*2 はその前篇。*3「イスラエルの高校生60人が兵役を拒否し、1948年イスラエル『建国』に伴うナクバ(7, 80万人のパレスチナ人が故郷を失う)に言及」の冒頭の章でもこの歴史について書き、*4「イスラエルのメディカル・アパルトヘイト 〜 あらためての ユヴァル・ノア・ハラリ批判とともに」の冒頭の章でもエルサレムの地位・帰属に触れながら、歴史に触れた。また、上記の文は、*5「パレスチナ/イスラエルが 『民主主義的な一国家』 になるという未来の 『現実』 を想像する」の第2章「ユダヤ人差別とシオニズムと、1948年のイスラエル『建国』 〜 そして、パレスチナ/イスラエル問題」に書いた筆者の文章から、ほぼそのまま引用した。

*1

*2

*3

*4

*5

4. シオニスト/シオニズムに関わって 〜 反シオニストのユダヤ系アメリカ人学者の言葉、そしてイスラエルをひたすら擁護することで今や「著名な」日本人のツイート

以下、1) 2) は反シオニストのユダヤ系アメリカ人学者の言葉、3) は上記の通りの「何が何でもイスラエル支持派」活動家と呼んであげたくなるような一分界隈で「有名な」日本人のツイートの紹介。

1) 

前章「シオニスト, シオニズム 〜 パレスチナ/イスラエル問題との関わり」の中の 2) に掲載した筆者のテキストの終盤で記したように、

1948年のイスラエル「建国」の背景にある思想である「シオニズム」の「シオン」とは、「旧約聖書」(つまりいち宗教のいち「聖典」)に登場する、その「旧約聖書」が記述する時代当時の「エルサレム」地方を指すことになるのだが、

これに関わって、ユダヤ系アメリカ人政治学者で反シオニズム活動家でもあるノーマン・フィンケルスタイン(Norman Finkelstein, 因みに彼の両親はワルシャワ・ゲットー、ワルシャワ蜂起、そしてホロコーストの生存者:その点は次項にてあらためて) の言葉を紹介しておきたい。

画像1

2) 

以下はシオニズムに直接関わる言葉ではないが、やはり前項で取り上げたユダヤ系アメリカ人政治学者で反シオニズム活動家でもあるノーマン・フィンケルスタインの重要な言葉を、YouTube 上のヴィデオから紹介する。

まずは前章「シオニスト, シオニズム 〜 パレスチナ/イスラエル問題との関わり」の中の 2) に掲載した筆者のテキストから、以下の 2段落分をあらためて引くこととする。

もともとヨーロッパにおける長年にわたるユダヤ人差別の歴史的背景があって、19世紀末以降、シオン(旧約聖書にも登場するエルサレム地方の歴史的地名)の地にユダヤ人国家を作ろうというユダヤ人の運動が広まったわけだが、その後の「イギリス委任統治領パレスチナ」時代のパレスチナへのユダヤ人の移民の動きの加速度的拡大、その結果としての同地におけるユダヤ人の人口急増の最大の要因として、ナチス・ドイツによる「ユダヤ人大虐殺」= ホロコーストを考えるのは、ごく自然な発想であろう。
念のために常識レベルのことを補足しておくと、ホロコーストはナチス・ドイツが行なった人類史に残る反人道的・人種差別的な犯罪・殺戮であって、当時パレスチナに住んでいたアラブ人(パレスチナ人)にとっては全く預かり知らない犯罪である。

以下、YouTube 上のヴィデオより、前項で紹介したノーマン・フィンケルスタイン(Norman Finkelstein, 1953年ニューヨーク生まれ, ユダヤ系アメリカ人の政治学者・作家・反シオニストの活動家)の言葉。

なお、ノーマン・フィンケルスタインの両親は共にナチス・ドイツによるワルシャワ市内のユダヤ人隔離地域であったワルシャワ・ゲットー、そしてユダヤ人がナチスに対して絶望的な蜂起をしたいわゆる「ワルシャワ蜂起」の生存者で、母親は更にナチス・ドイツがポーランドに建設したマイダネク強制収容所の生存者でもあって、父親は更にアウシュヴィッツ強制収容所の生存者でもある。

その彼が、(反)ナチス、(反)ホロコースト等に言及してイスラエルを「擁護」する人たち、そんな特にイスラエル人もしくはユダヤ人に向けて語った言葉を、以下のヴィデオで聴くことができる。

(英語、英語字幕付き)

3) 

以下は、本章見出し「シオニスト/シオニズムに関わって 〜 反シオニストのユダヤ系アメリカ人学者の言葉、そしてイスラエルをひたすら擁護することで今や『著名な』日本人のツイート」及び冒頭部分で触れた日本人のツイートの件。

まず先に、前章の中の 2) に掲載した筆者のテキストの終盤から、その 3段落分を以下にあらためて転載する。

さて、上に書いたように、当時はオーストリア帝国の一部であった現在のハンガリー・ブダペスト生まれのユダヤ人テオドール・ヘルツルが、1894年のフランスにおけるユダヤ人差別(冤罪)事件をジャーナリストとして取材し、ヨーロッパにおける長年のユダヤ人差別と当時の反ユダヤ主義的な動きという時代背景のもとシオニズムに目覚め、1897年には第1回シオニスト会議を開くことになるのだが、そのシオニズムという言葉自体は、同時期つまり1890年代にオーストリアのユダヤ系思想家ナータン・ビルンバウムが考案したものだった。
当時はオスマン帝国の支配下にあり、第一次世界大戦における同帝国の敗戦以降は「イギリス委任統治領パレスチナ」となる同地域(「パレスチナ」という呼称自体は遥か紀元前からあり、同地域に住んでいたペリシテ人の名が由来と考えられている)へのユダヤ人の移民を促すことになる「シオニズム」という思想のその名前は、旧約聖書のゼカリヤ書にある文言から発想されたものだった。
「主はこう仰せられる。『わたしはシオンに帰り、エルサレムのただ中に住もう。エルサレムは真実の町と呼ばれ、万軍の主の山は聖なる山と呼ばれよう。』」(旧約聖書, ゼカリヤ書 8章3節)

要するに、シオニストシオニズムの「シオン」、"Zionist", "Zionism" の "Zion" は、ユダヤ教の聖典でありキリスト教の聖典の一つでもある「旧約聖書」にある言葉に由来している。

さて、以下が、件の日本人のツイートである。BDS Japan Bulletin の引用ツイートが全てを言い表わしている(つまり厳密に言うと、件の「何が何でもイスラエル支持派」活動家と呼んであげたくなるような一分界隈で「有名な」日本人のツイートは、以下のツイートに引用されているもの)。

*なお、件の「ユダヤ人と日本」なるアカウントによるその他の頓珍漢なツイートについては、以下のツイートの下にリンクを置く筆者の過去の note 投稿 2点や、次章「イスラエル批判に関わる言論・表現活動への統制について 〜 関連 note 投稿へのリンク」で紹介する同じく筆者の過去の note 投稿(3点のうちの 2) 3) の 2点)などでも取り上げている。

以下、本章 3) における関連 note 投稿 2点。

*1

*2

5. イスラエル批判に関わる言論・表現活動への統制について 〜 関連 note 投稿へのリンク

以下、筆者の過去の note 投稿より 3点。

1)

2)

3)

付録: アメリカのイスラエル愛 〜 バイデン政権になろうが変わらぬその愚かさ


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