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辻村深月『かがみの孤城』が良かった。人が抱えるアンビバレントな気持ち。自分は「話の通じない人」とは違うって言いきれない。

パートナーさんが強くお勧めしてくれて読んでみた。良かった。

子ども(というよりも人)が抱えるアンビバレントな気持ちをよく描いている作品だった。

「住む世界の違う」人たちに対して「言葉が通じない、そういう人たちに時間を奪われた」と感じる気持ち。
でも子どもの頃は「住む世界が違う」って言えないし思えない。「みんな仲良く」っていう呪いをかけられているから。向こうは破ってくるのに。

自分がこれからどうなるか、いつまでこのままか分からない中で、前に進んでいる人を見ると無性に苦しくなる気持ち。

学校に行けなくなったり大人に全てを話せなくなってしまったりする子どもが、どうしてそうなるのか。
それに対する「学校の先生」のような大人がどんな風に対応してしまいがちなのか…。
自分だってこの話に出てくる「話の通じない先生」と同じにならない自信がない。

「この一年近く、ここで過ごしたこと。友達ができたことは、これから先もこころを支えてくれる。私は、友達がいないわけじゃない。この先一生、たとえ誰とも友達になれなかったとしても、私には友達がいたこともあるんだと、そう思って生きていくことができる。」

「私のことだけはリセットしないで、と、心の中で呟く。呟いてから、すぐに打ち消す。別に、忘れてしまってもいい―と。私がその分、覚えている。萌ちゃんと今日、友達だったことを。」

「死にたくない。まだ、死にたくない。どうだっていい―はずなのに、まだ、何もしていないと思ってしまう。自分が何かをやりたいんだと、気づいてしまう。…まだ死にたくない。みんなにも、まだ死んでほしくない、と思っていることを。」

「狼に食べられて、死ぬほど怖かったから。もう、バカな真似はしないよ」

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お読みいただきありがとうございます。

毎日の日記の中から一部を抜き出して、こちらに載せています。

明るい考えも暗い気分も、毎日なにかあって、日々とはすごいものですね。それをちゃんと受け取りたいなと思います。

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