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【時間の有限】死の後、その人の生きた証が初めて現れるのではないだろうか

彫刻家の大黒貴之です。

30歳の時に父が他界し、それから「死」について考えることが多くなりました。

祖母が死んだ時、彼女の白骨を観て人のはかなさを知りました。

親父が死んだ時、初めて「死」について真剣に考え始める自分がいました。

「死」について考えることは「生」について考えることと同義なのかもしれません。

人生も中盤に差し掛かると知人の訃報を知ったり、病でその人と接することができる時間が差し迫っていることを感じることが増えてきました。

そのようなことを通じて、自分も刻一刻と確実に死に向かって進んでいることを感じます。

父親が死んだ歳から僕の歳を逆算するとあと12年ということになります。

この春、僕の街の周辺でも桜が開花し、ピンクと透き通るような空のブルーの風景が広がっています。それはなんとも言えない美しさです。

この風景をあと12回見た後、父親の歳になるのだと考えると、時間の有限さを強く感じることが多くなりました。

歴史上の人たちは死をどのように考えてきたのか?

仏教以前のウパニシャット哲学に輪廻転生という思想があります。
いわゆる人間は生まれ変わるという思想です。

「自分の周りで死んでしまった人たちはどこへ行ったのだろうか」
と真剣に自分に問うていた時期がありました。

僕の現時点の考えとしては生まれ変わりなどはなく死んだら「無」になるという結論に至りました。

「無」になるという言い方自体が不自然なのですが、たぶん、私たちが毎日寝るような感じなのだと思うのです。

そのまま永遠に眠り続けるか、次の日も心臓が動いていれば、また目が覚めるだけの違いなのだと思うのです。

「死んでから、どうなるなんて私に聴かれてもわかりませんよ。死んでからのことを考えるよりも、あなたが生きている、「今」をどうするべきか考えるほうが大切なんじゃないですか?」と、お釈迦さんもドイツの哲学者カントさんも同じことを言ったそうです。

ちなみに禅の思想でも物質的な輪廻というものはありません。

これらを参考にした僕の考えは、生命体の死後、私たちが生きる世界に残る「無意識のようなものの回転」が仏教でいういわゆる輪廻ではないだろうか。というのが僕の仮説です。

つまり、目に見えないその人の無意識のようなものが輪廻をしているのだと。

その無意識のようなものが、残った人へ受け継がれ、そしてまた、新しい時代へつながり時代が形成されていく。そうやって時代は回転していくのだろうと。

死んだ後、「物質としてのその人」は消えてしまいますが「その人が生きた足跡」は必ず残ります。

その軌跡が、直接あるいは間接的にでも関わった人たちに影響を与えるのです。

人が死ぬこと自体は、体が動かなくなることですが人が死ぬという様、もしくは死んだ後の見えない無意識に計り知れない意味があるのだと思うのです。

死んだらどうなるということを考えるのではなくて死ぬということの意味を考えないといけないと僕は思うようになりました。

死ぬということの意味とは、生きていた時の証であるようです。

人は死んだ時にその人が生きてきた結果が初めて現れるのだと思うのです。

だからこそ、今、この瞬間を大切に生きていく必要が私たちにはあるのです。

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