村上大樹

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村上大樹

人 作家 小さな出版社「チイサイカイシャプレス」https://chiisaikaish.thebase.in/ chiisaikaisha@gmail.com お問い合わせはこちらまで

マガジン

  • 死ぬまでつくった人たち

    死ぬまでつくった人たちの人生から芸術、創作を論じます。アートだけではなく何かをずっと続けたいという切なる思いがある人に読んでほしい。

  • 家賃0円ハウス

  • 生きづらくない人 無料版

  • 生きづらくない人

    いまの窮屈な社会でも自由に生きている人がいる。ぼくはそんな「生きづらくない人」を想い出したりインタビューをして言葉にした。生きづらさに向き合うのに疲れた人たちに贈りたい。もしかすると生き延びるヒントが、この連載どこかにあるかもしれません。

  • 子どものような文の教室

    子どものように無邪気に、言葉を書くためのエッセイです。言葉で何かを説明するだけの人生に疲れた人は、気楽になれるかも知れないよ。全10回くらいの予定。

最近の記事

仮住間(カリスマ)第ニ回|世界に風穴をあける

 こんにちは。作家の村上大樹です。わたしはこのプロジェクト『仮住間(カリスマ)』の単なる窓口なんですが「窓」とはどういう存在なのか考えています。  わたしは絵を描いていますが、額に入って壁に飾られた絵も「窓」だと感じています。絵という窓か描かれた風景をわたしたちは眺めています。壁に飾られた絵は外に風穴をあける「風の通り道」になります。そしてわたしたちを外側にある開かれた世界へ連れていってくれるのです。  仮住間(カリスマ)の活動は、あなたがいま抱えている寂しさに光を届ける窓

    • 仮住間(カリスマ)|いろんな場所に依存して楽しく生き延びる方法

      このプロジェクトの名は『仮住間(カリスマ)』といいます。東京、神戸、尾道、鳥取と4つの街の各シェアハウスの部屋をあなたは自由に行ったり来たりできます。一つの場所や家にとどまるという概念を消失させて、スナフキンやしゃぼん玉のように旅するように暮らす。アドレスのパクリぽい企画ですが、まったく異質なところがあます。それは無料でお金まったくかからなくてもできる方法があるからです。 このプロジェクトは真面目になりすぎてしまって窮屈な社会の幅をゆるゆるとひろげるという戦わない抵抗です

      • 仮想⇆現実の幸福論|第1話|家族を楽しい共同体(ファンタジー)にする

        こんにちは作家の村上大樹といいます。うちの家は、ぼくと、妻のミワコちゃん、娘のユモちゃん、ぼくの弟のタカちゃん、犬のエマ、ワタとの、合計6匹(人)で住んでいる。2年前までは法律上も家族でしたが離散した。 ミワコちゃんは本名のキスミワコという名前に愛着を感じていた。ぼくと法律上で結婚していたときは村上ミワコになってしまった。大変な違和感を感じていたそうなんです。 「村上キスミワコに変名するねん!」 と裁判所にいって名前変更の申し立てをしましたが、前例がないという理由で却下

        • 死ぬまでつくった人たち|第1話|10ドルあれば映画は撮れる|ジャン=リュック・ゴダール

          去年、ゴダールは自ら命を絶って亡くなった。スイスの法律では利己的ではない理由の自殺は認められている。ゴダールは身体に複数の疾患を抱えていた。2、3年ほど前のインタビューで、2本の脚本を手がけていてその作品が完成したら、映画人生を終えてもいい、というニュアンスのことを語っていた。その脚本を書ききったときに 「さよなら映画」 と言える日が来ると。 ゴダールへの追悼の文が著名人たちから次々と寄稿された。蓮實重彦が書いていたことを要約すると、映画界に革命をもたらしたゴダール

        仮住間(カリスマ)第ニ回|世界に風穴をあける

        • 仮住間(カリスマ)|いろんな場所に依存して楽しく生き延びる方法

        • 仮想⇆現実の幸福論|第1話|家族を楽しい共同体(ファンタジー)にする

        • 死ぬまでつくった人たち|第1話|10ドルあれば映画は撮れる|ジャン=リュック・ゴダール

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          3本

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          死にたいときに読む本|第1話|白と黒の感情に苦しんでいるあなたへ

           友人Pが死んでからもうすぐ7年という時間が経過しようとしている。Pのカラダとココロは風が強い日に歌とともに大きな橋の上から河に向かって落っこちた。Pは自ら命をたったのか、事故だったのかいまだに死因はわからない。  ぼくはいまゴッホについて書かれた本や、ゴッホの弟テオや、ゴッホとゴーギャンの弟子であるベルナールに宛てた手紙を読み耽っている。ゴッホを生涯を残された言葉や少ない手がかりから推測すればするほど、Pはゴッホに似ている。Pはミュージシャンをしていて、いつも音楽に没頭で

          死にたいときに読む本|第1話|白と黒の感情に苦しんでいるあなたへ

          家賃0円ハウス|将来に悩む若者のために住まいを無料で届けたい

           こんにちは因島に住む作家の村上大樹です。おとなりの生口島・瀬戸田町で家賃0円ハウスというプロジェクトを開始します。9月29日から改装工事が始まります。  昨今の若者をふくめた日本国内の自殺の原因のほとんどは、鬱など精神的な健康の問題です。続いて経済や生活面のお金への不安を多いそうです。わたしはまず若い人たちのお金の不安を軽減して、土にふれたり、やりたいことや楽しいこと(鬱の軽減効果のあるもの、病理を超えた創造的なもの)に集中できる場所に0円ハウスをしたいと強く感じています

          家賃0円ハウス|将来に悩む若者のために住まいを無料で届けたい

          家賃0円ハウス|第4回|行動する or dieではありません

           いまジル・ドゥルーズの書いた『フーコー』という本を読んでいます。フランスの哲学者ミシェル・フーコーについてドゥルーズが独特の解釈で書いた本です。フーコーは「人間の死について何も悲しむことはない」と書いていたそうです。ドゥルーズはフーコーが何を書きたかったのだろう? とペンを走らせながら思索します。  とドゥルーズは問います。人間の力は外部からの攻撃(または攻撃されているという思い込み)とのネジれで群れの中に権力という輪郭を現します。その力を人間は神と呼んだり経済だと思い込

          家賃0円ハウス|第4回|行動する or dieではありません

          家賃0円ハウス|第3回|0円生活の楽しいお金儲けの話:初級編

           こんにちは。因島に住んでいる作家の村上大樹です。わたしは家賃0円の2つ借りています。アトリエの譲っていただいた家で0円でもらいました。  いまわたしは因島に家賃0円のシェアハウスをつくろうとしています。この場所の名前はそのまま「家賃0円ハウス」といいます。ソーラーパネルで発電して、ガスの変わりカマドをつくります。予定地の物件では井戸水が水道の蛇口からでます。まき風呂もついています。薪木は天使の大工さんC○さんが優しいので、現場からでた廃材をくれるはずです。土地は1000坪あ

          家賃0円ハウス|第3回|0円生活の楽しいお金儲けの話:初級編

          家賃0円ハウス|第2回|誰でも探せる0円空家の見つけ方

           キルケゴールの『死に至る病』でこんなことが書かれていました。  いまそのページを探そうと本をパラパラとめくっています。どこにもありません。隈なくさがても見つかりませんでした。もしかするとそんなこと書いていなかったのかもしれないです。わたしのつくり出したミュトス(創作物語)かもしれない。もしくは今、精神に浮かんだ神秘なのかもしれないです。    こんにちは。作家の村上大樹です。わたしはいま因島に家賃0円のシェアハウスをつくろと企画しています。光熱費もゼロです。まったくお金が

          家賃0円ハウス|第2回|誰でも探せる0円空家の見つけ方

          家賃0円ハウス |第1回|楽しくテキトーに生きるための設定

           これはプラトンが書いた『パイドン』のなかに登場するソクラテス先生の言葉です。詩人は不安や恐れに敏感ですが、恐怖で人々の意識を統治しようとはしません。詩人は森羅万象の神秘をミュトスによって言葉で表現します。  わたしは村上大樹という作家です。因島の家賃0円の家に住んでいます。もう一軒、家とは別にアトリエも持っています。アトリエも0円でもらった空家でした。さらにもう1軒、家を借りています。そこは広い庭と空き地つきの家です。空き地を畑にしています。この家も家賃0円です。ラッキー

          家賃0円ハウス |第1回|楽しくテキトーに生きるための設定

          散歩する幽霊たち

          1  ぼくは死んだ。実際のところは、何も憶えていないからわからない。  ロン婆さんが畑で種まきをしているとき、あぜ道を歩く何かを指差した。 「アウラは生きていたのか」  ロン婆さんはそう呟いた。  真夏の夜。夜は夏なのに真冬並みに寒い。満月は激しい黄を放っている。いままでに見たどの月よりも、大きな球を象っていた。ぼくに眼球はない。でもこれまでとは、どうやら違うカタチで世界を見ることができている。この感覚を説明する術をぼくは持っていない。  ニチは何故か、なかなか寝

          散歩する幽霊たち

          生きづらくない人| 第1回 |理解しえないことを肯定すること

           横浜にある家系ラーメン店。時代は八○年代だろうか。行列が出来ている。店主は五○代のおじさん。パンチパーマにねじり鉢巻。お店には行列が出来ている。ラーメン屋のおじさんは、店員さんがミスをすると蹴る。取材に来たアナウンサーにも怒鳴る。奥さんにも、子どもにもガミガミする。ぼくはネットでその映像を見ていた。  おじさんのあまりに大柄な態度に、胸くそが悪くなる。動画を消そうと思ったら、おじさんのインタビューが始まる。おじさんの背後にそびえたつ、一等地に三階建のビル。インタビュアーは「

          生きづらくない人| 第1回 |理解しえないことを肯定すること

          生きづらくない人 第10回 最終回 |村上ひろふみ | 楽しいことは、きっと上手くいくから

           ぼくはヒロさんを尾道のソクラテスだと思っている。ソクラテスは対話を好んだそうだ。文字を書き残すことをしなかった。大衆の前で演説することもほとんどなかった。街を歩いては、誰かを捕まえて一対一で話す。ヒロさんは大勢の前で演説するように話していることをあまり見たことがない。少人数での対話のときに、ヒロさんの哲学は炸裂する。  ソクラテスは一方的な発言を嫌った。聴衆は黙って聴くことしかできないからだ。ヒロさんがコミュニケーションの哲学者。尾道の珈琲屋さんで彼をインタビューしていた

          生きづらくない人 第10回 最終回 |村上ひろふみ | 楽しいことは、きっと上手くいくから

          生きづらくない人| 第4回 |夫婦は向き合わないこと

           ぼくたち夫婦は仲が良い。自慢したいくらいだ。うふふ。でも、ものすごーく険悪な時期もあった。これからだって、油断していたら泥沼にはまってしまうこともあるかも知れない。だからいま、何故仲良くいれるのようになったかを、健忘録的にまとめて書きたい気分になった。今回の『生きづらくない人』は番外編。ぼくたち「生きづらくない夫婦」について書きたいと思う。  本居宣長さんは、『古事記』に現れた神話をそのまま忠実に読んでみて、古人がどういうふうな神様の信じ方をしたか、だんだんと明瞭にしてい

          生きづらくない人| 第4回 |夫婦は向き合わないこと

          生きづらくない人 第5回|松葉有香|人生の運動を流れるままに感じる

           有香ちゃんにインタビューしたあと。ぼくの奥さんミワコちゃんの畑に、彼女と一緒に行った。そのあと、うちの犬2匹とゆもちゃんと、有香ちゃんとで海に散歩に行った。  ごつごつした石がたたずむ、でこぼこした夕暮れの浜。人間はぎこちなく歩くけど、犬たちは米粒くらいの姿に見える場所まで一瞬で走る。犬のエマとワタは、はしゃいで水と砂にまみれていた。  晩御飯をうちで、有香ちゃんと一緒に食べることに。帰ると泥まみれのエマとワタをお風呂場でミワコちゃんが洗った。家の床は外みたいに砂まみれ。

          生きづらくない人 第5回|松葉有香|人生の運動を流れるままに感じる

          生きづらくない人 第6回|遊亀山真照|この身体は、泡のようなものであり、永く存続することはない

           文殊は言いました。 「私の考えでは、すべての存在や現象において、言葉も思考も認識も問いも答えも、すべてから離れること、それが不二の法門に入ることだと思います」  そして、文殊菩薩は維摩居士に尋ねました。 「私たちはそれぞれ自分の考えを述べました。あなたの番ですよ。維摩さん、あなたの不二の法門へはどのようにして入るとお考えでしょうか?」  ところが……。  維摩はただ黙ったままでひと言も発しませんでした。それを見た文殊菩薩は感嘆して言いました。 「すばらしい! ひと文字もひと

          生きづらくない人 第6回|遊亀山真照|この身体は、泡のようなものであり、永く存続することはない