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家賃0円ハウス |第1回|楽しくテキトーに生きるための設定

〝もし本当に詩人(作る人、ポイエーテース)であろうとするなら、ロゴス(真実を語る言論)ではなくミュトス(創作物語)を作らなければならない〟

 これはプラトンが書いた『パイドン』のなかに登場するソクラテス先生の言葉です。詩人は不安や恐れに敏感ですが、恐怖で人々の意識を統治しようとはしません。詩人は森羅万象の神秘をミュトスによって言葉で表現します。

 わたしは村上大樹という作家です。因島の家賃0円の家に住んでいます。もう一軒、家とは別にアトリエも持っています。アトリエも0円でもらった空家でした。さらにもう1軒、家を借りています。そこは広い庭と空き地つきの家です。空き地を畑にしています。この家も家賃0円です。ラッキーだったとも言えるし、そんな単純に運がいいだけでは済まされないものを感じています。わたしたち家族は家が3つもあってすべて0円なのです。
 因島に来て5軒の0円空き家と出会いました。3つは家族で使っています。1つはもともとは展示やイベントをするスペースにしていました。今は友人家族が住んでいます。もう1軒も他の人の手に渡っています。これからも家賃0円の物件には出会うと直観しています。
 アトリエの一部屋が空いているので、家賃0円で貸し出していました。光熱費ももらってなかったので住人さんは居住にまったくお金がかかりません。今まで2人が住みました。しかしアトリエにはお風呂がなく、もっと環境が整った場所を新たにつくりたいと思っています。
 
 その場所は『家賃0円ハウス』という名前にしようと思っています。この連載は家賃0円ハウスの企画書です。まだ空想の段階です。場所すら決まっていません。企画書を越境したミュトスを創造するつもりです。

 わたしは0円ハウスの大家になりたいと思っています。家賃0円ハウスとはこんな場所です。シェアハウスのように4、5人ほどが1つの家に住みます。ちょっと大きめの空家が必要です。個別の部屋が4、5部屋くらい。1部屋が8畳くらいあれば最高です。キッチンが1つ。お風呂も1つ。共用にさせてください。この家賃0円ハウスは、名前のとおり家賃が0円のシェアハウスだと思ってください。最高でしょう。光熱費も0円にしたいと考えています。電気はソーラーパネルで発電をしましょう。ガスの替わりにキッチンに釜戸をつくってみましょう。冬は寒いので薪ストーブも導入しましょう。薪木はどうしますか? 大丈夫です。因島にはC○さんという、わたしより年上ですが少年のような心も持っている大工さんがいます。C○さんは天使です。彼なら現場からでた廃材を「薪に使っていいよ!」と快諾してくれると思います。
 水は井戸水を水道の蛇口から出るようにしましょう。トイレはコンポストトイレにしたら水洗代や汲み取り代もかかりません。これで家の光熱費は0円になりました。生きるために絶対に必要と云われている、お金がかからなくなりました。これはわたしがつくり出したミュトスです。あなたは資本主義がつくり出したフィクションとどちらを信じますか? わたしは楽しいほうを信じます。家賃を払うのは楽しくないです。会社で働くのも楽しくないです。人から命令されたくありません。人に命令するつもりもありません。この文章はわたしの単なる空想です。あなたはこの家賃0円ハウスに住みたくなりましたか? タダほど怖いものはない? その通説も誰かのつくり話かもしれません。わたしの家は7年ほど家賃が0円ですが、楽しいことしか起こりません。
 いろいろやることが増えてめんどくさそうですか? それならやらなくてもオッケーです。家賃0円ハウスの生活では完璧とか真面目は、有害な概念とさせてください。出来ないことはやらなくていいです。テキトーに生きましょう。文明の力を使ってもオッケー。ガスも使っちゃいましょう。その分はお金がかかります。手と足を使えばこの家賃0円ハウスでは、光熱費すら無料になります。あなたが楽しい方を選択してください。
 広い庭があればさらにいいです。庭で畑もできるようにしましょう。野菜を自由に育ててください。その野菜は自分で食べてください。多く収穫できたらお裾分けするのもいいです。何かを生み出して誰かに手渡すと何かが返ってきます。それが経済です。お金の交換だけではありません。経済の中心は人間でもありません。経済とは太陽のことなのです。詩的に書きたい訳ではありません。太陽がすべての始まりだったのです。原始からしか何も生まれません。太陽があるからこそ水や生物や人間や経済は生まれるのです。
 わたしは来年、狩猟免許を取る予定です。もし免許を取得できたら罠を仕掛けることができます。肉を食べたければ、自分でさばいてみてください。イノシシさんを解体できる設備も家賃0円ハウスに設置します。畑や解体施設の使用料金もいりません。0円ハウスでは食と住がすべて無料です。
 
 ここに住む人は家賃の代わりに敬意を払ってください。わたしに払う必要はありません。絵を描いている人は、絵に敬意を払ってください。料理が好きな人は料理に払ってください。太陽に敬意を払ってください。家賃は大家さんにではなく、もっと大きなものに払いましょう。なんでも構いません。毎日やっていて楽しいことです。太陽から派生するものです。この家賃0円ハウスは好きなことを毎日やってても怒られません。煙たがられません。好きなことが職業である必要もありません。誰にも評価されてなくても構いません。あなた自身が楽しんでいればそれが最大の価値です。楽しいことをこの家に住んで1年間やっていただきたいと思っています。お金の心配をしなくていい時間が手に入ります。とやかく口出ししてくる家族からも離れられます。のびのび楽しいことをやってください。
 この環境でもお金が心配な人にはバイトも紹介します。週に2日くらいならいいでしょう。そのお金を小遣いにして遊んでください。あんまりバイトしすぎる人は、この家から出て行ってもらいます。いっぱいバイトをするなら、家賃4から8万のアパートに住んでください。家賃や光熱費や税金を払うために労働するが苦しくて死にたくなっている人のために、この家賃0円ハウスはあるのです。バイトしすぎちゃ本末転倒です。バイトは週2日以上はダメです。わたしはあんまり禁止するのが好きじゃありません。だからこれを唯一の禁止ルールとさせてください。
 2階が居住スペースです。1階はリビングルームにしたいと思ってます。リビングには誰でも遊びに来れるようにしたいです。お店のようなイメージです。キッチンは営業許可も取ろうかと思っています。リビングは展示やイベントをできるスペースにしてもいいです。料理が好きな人であれば、ここをお店として使ってもオッケーです。もちろん使用料はかかりません、0円でいきましょう。誰でも使ってください。絵を描く人はこの場所を展示会場にしてほしいです。1年間お金の心配をしなくていい時間を手に入れたのです。ノープレッシャーのなかで、自分の作品や料理を販売もしてみてほしいです。バイトするより儲かるかもしれません。そうしたらバイトは減らしましょう。どうですか? 住むイメージが湧いてきましたか? イメージは大切です。イメージはフィクションを越えた現実です。わたしの心にはあたなが楽しそうにしているミュトスが湧いています。わたしの心のなかのソクラテス先生は、こう仰られてました。

「快楽と快楽を交換し、苦痛と苦痛を交換し、恐怖と恐怖を交換し、貨幣のように小さな情念とより大きな情念を交換するというのは、徳を得るために正しい交換ではないだろう。唯一の正しい貨幣とは、知恵であり、この知恵を基準にしてこれらすべての情念をそれと売買されるならば、あるいは、この知恵と共に売買されるならば、そのときに、本当に、勇気、知恵を伴ったすべての真実の徳が生ずるのではないか」

 わたしはソクラテス先生の教えに感化されています。わたしは家に住むために所有という大きな情念とは何も交換していません。
 わたしと妻のミワコちゃん、娘のゆもちゃん、わたしの弟のタカちゃん、犬がエマとワタが2匹がこの家に住んでいます。
 この家はわたしのおじいちゃんとおばあちゃんが建てた家です。2人が死んでから、10年ほど空家になっていました。取り壊すにも、山の中なので解体費用に200万円ほどかかってしまいます。わたしの母と叔父さん、母がたの従姉妹たちがこの家の所有者なのです。解体するよりかは、わたしたちに住んで使ってくれたほうがいいと言ってくれてます。年間に固定資産税は1万5千円くらいです。しかも、おばあちゃんの遺産が銀行にあって、そこから固定資産税は払っていただいているので、わたしたち家族はこの家に、一切お金がかかっていません。
 
 アトリエは0円でもらいました。家主さんに10万円くらい払おうと思ってましたが、受け取ってくれませんでした。
「もう誰も住まんけえ、壊すだけじゃし。タダでもらってほしい」
 と言ってくれてタダでもらいました。家主さんは大変に徳の生じた交換をしてくれました。家主さんはソクラテスだったかもしれません。
 家の譲渡には税金がかかります。家の不動産価値によって変わるそうです。家の評価額が100万円以下だと譲渡税も0円です。アトリエの評価額は200万円くらいでした。無駄な税金はなるべく払いたくありません。税務署に相談に行きました。「税金をどうやってすり抜けるか?」の相談は行った方がいいです。この質問、税務署の人は何故だか嬉しそうに答えてくれます。人は知恵と知恵を交換したいのだと思います。家の所有者を増やせばいいと教えてくれました。わたしとミワコちゃんとたかちゃんの3人で所有することにしました。それだと評価額の200万円を3で割った数字が課税の対象になるそうです。66万円くらい、100万円以下になりました。これで譲渡税がかからなくなりました。詳しい譲渡の税率はわかりませんが、アトリエの物件では20から40万円くらいはかかったと思います。またも20から40万円分の情念と交換せずに済みました。わたしたちが払ったのは不動産取得税だけです。4万円くらいでした。あとは年間に固定資産税が1万5千円ほどです。
 
 もう1軒は広い庭と空き地付きの家なので畑にしています。母屋は改装中でいずれミワコちゃんがお店にするかもしれません。この家は大家さんのご好意で家賃は0円です。こちらの大家さんとも徳の高い知恵を頂いています。彼女はソクラテスのさらに師匠であるディオデマかもしれません。

 この生活めっちゃ気楽なんです。もうかれこれ7年ほどこの生活をしています。一度も生活に行き詰まったことがありません。ここに住む前は東京の世田谷で、家賃14万円の3LDKマンションに住んでました。7年間で1176万円もの家賃を払っていたことになります。大きな情念と交換してしまっていました。しかし、いまは家賃ゼロです。それを7年続けているので、家族で1176万円分の知恵が貯まっています。知恵は湧き水です。水が流れるように生活していると自然に知恵は貯まります。知恵は集中力を高めます。手に力が宿ります。その手を使って何かを創り出せます。その何かは生活を支えてくれます。野菜やお米や肉や料理になるときもあります。芸術になるときもあります。お金になるときもあります。知恵の貯蓄は何とでも交換可能です。全く難しくありません。はっきり言って簡単です。知恵の貯蓄をするだけです。誰でもできます。今苦しい人は環境を変えてください。会う人を変えてください。それだけで知恵は貯まります。
 田舎だろうが、都会だろうがどうでもいいのです。丁寧な暮らしを提唱する気もありません。ただわたしは、知恵の貯蔵をしたいと思っているのです。それには時間が必要です。頭と体を空っぽにできる時間です。太陽の光を感じる時間です。  
 人間は何故か社会的なことをしないと不安になります。それは他人の目を気にしすぎているのと、毎月4から8万円も家賃を払っているからです。その生活が楽しい人はどんどんやってください。否定するつもりはありません。ただし苦しい人は家賃を減らしましょう。わたしはまずそこから始めました。家賃0円になっただけで最高にテキトーで楽しい気分になりました。ただ狭い薄汚いワンルームマンションとかに住んでしまってはだめです。安けりゃいいってもんじゃありません。それなりに広く風通しのよい場所でないと、知恵は貯まりません。生活水準を下げろって話ではないのです。むしろ生活は豊かにして、家賃をゼロにしようと考えてください。まずその練習をわたしがつくろうとしている家賃0円ハウスでしてください。
 7年前に因島に来たとき。月に家族で3万円くらいで生活できました。3万円あれば死ななかったのです。3人で住んでいたから、1人1万円です。1万だけ月に捻出すればよかった。月の平均は食費1万5千円(父やご近所さんが畑の有機野菜をくれていた)電気3千円(ソーラーパネル1枚分だけ発電)、ガス4千円、水道0円(井戸水)、汲み取り3千円(のちにコンポストトイレに)、インターネット4千円で総額2万9千円です。千円余ったので携帯(ガラケー月千円プラン)を持ちました。iPadとMacBook Airで自宅やWi-Fiがつながっている所で仕事はできます。水は美味しいし、有機野菜は0円でいただけるので最高の暮らしだと思いました。お金はなかったけど満ち足りていました。月に1万円だけ稼ぐが目標。すぐにできました(わたしがお金を稼いだ方法は次回以降の連載で紹介します)。年間12万円の収入ですので、税金はほとんど免税されます。確定申告は基礎控除が35万円あります。つまり収入が35万円以下なら、所得税は全額免除です。年金も住民税も免除です。保険だけ免除されません。低所得だと月に5千円くらいだったかな。月に1万5千円ほど。そのお金があれば生きていけました。免税されているので税務署に行けば納税証明書ももらえます。しかも消費税を10パーセントも払っています。こうすればあなたも立派の納税者です。税金を払えなくなるのを恐れてやりたくない労働に明け暮れることはありません。堂々しましょう。しっかりと給付をもらってください。困ったら生活保護を受けてください。税金とは富の再配分の装置であるべきです。セーフティーネットであるべきなのです。お金を持っていない人から掠め取る仕組みではありません。あなたの暮らす国に民主主義はなくなりかけています。政府は税金を吸い取りやすい人間をつくり出そうと必死です。辛い人はそこから外れてください。気持ちとお金に余裕が出たら払うのでいいんじゃないでしょうか。若い人が社会に出ていきなり背負わさる負担が大きすぎます。ご両親が経済的に余裕があるのなら遠慮なく頼りましょう。苦しいのであれば保険も払わなくて大丈夫です。今、お金で路頭に迷ったりこの社会に将来が不安だらけの若い人たちは、まずはそこから始めてください。楽しく逃げてください。保険証がなくても病院には行けます。納税しろと偉そうに官僚は言います。ですが保険は7割くらいしか負担してくれません。大金を払ってる割には全額保証でもないのです。骨が折れたら保険証なしで病院に行きましょう。費用は金額はあなたが年間に払っている保険料とそんなに変わらないはずです。直接、病院にお金を納めているのですからむしろその方が立派な振る舞いです。そのお金も払うのが難しいのならわたしがクラウドファンディングでお金を集めます。公共の出発点は個人です。わたしはその原点に返ってさらに深遠な変化をしたいです。

 一つ忘れていたことがあります。まだ家賃0円ハウスの物件が見つかっていませんでした。イメージがしっかりあったので、見つかった気になっていました。ふふふ。因島に空家の情報がある人は連絡をください。尾道か向島でも大丈夫です。家はボロボロでもオッケーです。その家をわたしが安く買わせていただくか、もしくは譲渡していただきたいです。大工さんに頼んでしっかりと補強と改装をしてもらいます。改装費用はこの連載を本にして稼ごうと思ってます。クラウドファンディングをするかもしれません。そのときは何卒よろしくお願いします。本をつくるのが何よりも好きなので、すでにワクワクしております。ワクワクは世界の湧き水です。ワクワクとは情熱です。情熱を持続できると誰でも天才になれます。持続をみんな「難しいっ!」と思ってるでしょ? 果たして本当にそうでしょうか。わたしは、はっきり言って簡単だと思ってます。才能ってキレキレのセンスでも高い技術や経験によって生まれるものではないのです。ただただバカみたいに毎日を楽しくつくっていればいいだけなのです。クオリティは無視してください。創ればいいだけです。誰かに感動してもらいたいと思う必要はありません。まずは自分を感動させてください。その感動は誰かにきっと届きます。世界と手の運動だけに気を配ってください。テキトーな気持ちになれば運動の気配は掴めます。わたしには技術もセンスもありません。ただし持続は得意です。どうやったら毎日楽しく書けるのかばかりを考えています。
 作家の保坂和志さんが書かれていたことに、大きなヒントがある気がしました。

 危険な山を登りきるのは、つぎの三つの中でどの登山者でしょうか?
 ①高い技術を持っている人
 ②経験が豊かな人
 ③楽観的な人

 この問題に正解はありません。ただし保坂和志さんは、それは③だとスルッと思い込める人が作家になれると書いています。つまり、自惚れではなく、すでに売れている人や文芸誌などに載っている作家よりも「おれのほうが凄い」と楽観的に思い込める人が作家になれるのです。作家だけではありません。すべての活動に当てはまると思います。すべての行動をテキトーにする必要があると思ってます。この「楽観性」がこれからの社会を生き抜くヒントになると思ってます。
 それでも、まだ不安な人のために家賃0円ハウスをつくろうと思ってます。ここに住めば幾分は、心配もへるんじゃないでしょうか。ひとまずお金の不安はほとんどなくなります。シェアハウスなので不安を話せる仲間もいます。わたしも使い放題です。いくらでも悩みを聞きます。悩み相談はわたしの趣味なのです。仲のいい珈琲屋さんのマスターには「大ちゃん(わたしのこと)は、人の悩みを食うバクじゃ」と高笑いされました。そうなのです。みんなの悩みはわたしのエネルギー源なのです。湧水に変わるのです。あなたが悩みを打ち明けてくれると、わたしたちの知恵の交換は起こっているのです。わたしがあなたにお礼として対価を100万円くらい払わなければいけないくらいです。残念ながらそんなお金を払えるほどの稼ぎがわたしにはありません。だからせめてものお礼に家賃と光熱費を0円で住んでほしいのです。わたしも若いときから最近まで散々、人に甘えてきました。困っているときは堂々と甘えましょう。今の社会には若者に対する投資がなさすぎます。社会に出ていきなり奨学金で平均300万円くらいの借金を背負わされます。滞納すると延滞金まで課されます。はっきり言って気が狂ってます。月に1万5千円払って20年でやっと返せます。若者が42歳になってしまいます。物価は上がっているのに初任給はむかしとそんなに変わらないし、給料が減っている会社もあります。社会は最初から借金を全額返済できるような仕組みにつくられていません。会社に投資するのと、若者の教育に投資するのを同じ方法でやらないでください。大学という仕組みも学生に頼りすぎています。教育は0円でなされるべきです。わたしは無料で本を配布しました。出版費用と1200部の利益は全部クラウドファンディングで集めました。支援額312万円でした。この本『めにみえぬものたち』は心が揺らいでいる人に向けて本を書きました。感銘を受けてくれた心ある人たちが支援してくれました。生きることに息苦しさを感じているには0円で届けました。無料にすべき人とお金を払ってくれる人のはそれぞれ別々の崇高な存在なのです。そう感じると社会はなめらかになります。どう考えても教育を受けたい若い学生にお金を払わせるべきじゃない。
 という訳で、わたしも瞬時に行動をすることにしました。大学の勉強も少しは役に立ちますが、一番重要なのは友だちと遊ぶことと、自由なぽっかりあいた時間があることです。若い人たちにその時間をプレゼントさせてください。家賃0円ハウスで自由な時間を感じてください。わたしはまず書くという運動を始めようと思ってます。それでこの連載を始めました。思えば、わたしの人生は書くことで太陽に近づいたのです。アトリエでこの原稿を書き始めて数日。天気がよかったので、玄関のドアを開けて外に出ました。鳥の鳴き声がします。空は青くて大きな円を描いてわたしを包んでいました。うちは山にある住宅地。ちょっと上のほうで、大工のC○さんが手すりの取り付け工事をしていました。わたしは早速、C○さんに話しかけて家賃0円ハウスのアイデアを語りました。C○さんは大工さんなので、因島で一番といっても過言ではないほど空家の情報を持っています。

「たぶん、ボロボロでもよかったらすぐに見つかると思うけえ、知り合いに聞いときます」

 わたしはもうこの家賃0円ハウスの相棒を見つけてしまいました。家探しはC○さんに任せたらいいとさえ思えてきました。わたしは書くだけです。家賃0円生活の楽しさをどんどん書きたいと思います。そしてもう1人この計画には右腕がいます。いや右腕というより、わたしにこの家賃0円生活の楽しさを再認識させてくれた師匠というべきでしょう。それは鳥取で汽水空港という本屋さんをしているモリテツヤという男です。彼もボロボロの空家を2、3軒改装して家賃0円で住んでもらう計画を進めています。はいそうです。わたしの家賃0円ハウスはモリくんのパクリです。モリくんにマネしていいか承諾を得ると即「オッケー!というか大樹さんも元々やってましたよね、笑」という返事がきました。運動が起こってますね。モリくんは鳥取で、わたしは因島でそれぞれのカタチでやりましょう。彼はクラウドファンディングをして空家の購入と改装費用を集めようとしています。わたしは面白いと思ってしまったのです。自分から無料のコンサルをかって出てモリくんのクラファンの相談を受けました。考えれば考えるほど、面白いし、社会的な意味のあるプロジェクトです。彼は家を「共通資本」だと捉えて行動しようとしています。素晴らしいです。空いている家は、もう誰のものでもないのです。
 「困っている人に住んでもらいたい」
 モリくんの公共的な態度が素晴らしいと思っています。

さて次回の連載時には空家は見つかっているでしょうか? こうご期待ください。みなさんからの空家情報もお待ちしています。SNSでメッセージください。

もしくは

 090ー6735ー5815
 chiisaikaisha@gmail.com

まで連絡をお願いします。因島、向島、尾道あたりでいい物件があればと思っています。あと家賃0円ハウスに住みたい人も募集しています。若い人でなくても構いません。テキトーに楽しくお問い合わせください。これはわたしの使命かもしれません。

 ここで連載の1回目を終えるつもりでしたが、ちょっと寄り道させてください。よく道草をする連載になると思います。終わったと思ったらさらに新しい問いが生まれる。それが生きているってことだと心底に思っています。
 何故、話を戻したかというと先ほどわたしが書いた「使命」ということを考えたくなったからです。この使命というワード、最近よく耳にしませんか? 社会が混乱するとこの言葉を耳します。311の震災後にもよく耳にしました。この使命という奇妙な概念は数年ごとに、浮かびあがってくるんです。わたしは直観で「使命はない」という設定で行動しようと思い直しました。
 先日、娘のゆもちゃんにせがまれて観に行った『鬼滅の刃』でも「使命」という言葉を聞きました。友だちのやすくんが監督した映画『ジャイビーム! インドとボクとお坊さん』でも聞きました。日本人でありながらインド仏教の最高指導者である佐々井秀嶺氏を追ったドキュメンタリー。どちらの映画も面白く拝見しました。しかし「使命を持て」って誰かから押し付けられるには、ちょっぴり違和感を覚えました。だからわたしの人生の設定からは無くしてみようと思っています。
 『鬼滅の刃』の世界では、主人公たちは敵(鬼)と永遠に戦い続けなければなりません。鬼を一人倒したとしても、新たなもっと強い鬼が現れます。佐々井氏も「世界が燃えているんだよ! じっとしていられるか」と仰っていてずっと何かと戦っています。この世界は地獄だとも言っていました。わたしも311の震災以降は、ずっとそういう設定で生きていたんだと思います。不安を煽って群れを統治しようとする人が、大きな天災や疫病などが満映したときにやってきます。わたしはこういう人の言葉と使命を一切信用しないことにしました。危機から守るために発生する連帯は、全体主義に繋がっていくのです。それに真面目すぎて楽しくありません。「鬼」も「地獄」も人間が創り出した幻です。使命も幻です。どこにもありません。現実にあるんだった見せてほしいです。国家という概念そのものが、鬼や地獄であるともいえるでしょう。国家も国民も実体はありません。日本国民の全員とテーブルを囲んで食事はできません。わたしたちは想像力によって国民や国家や貨幣を創り出しているのです。国家という概念が生まれたのはたかだか200年前です。それまでは誰も日本人だなんて思ってなかったのです。惑わされてはいけません。わたしたちは国民ではなく森羅万象です。もっと自分の直観を感じてください。太陽の光に体をさらしてください。土にふれてください。社会全体ではなく自分自身を大切にしてください。
 

 日本の政府はボンクラです。首相も大臣も議員も、新しい政党も、これから政権を握ろうとしている人たちもすべてボンクラです。全く期待してません。アベくんでもスガくんでも変わりません。立憲やましてや、れいわになっても政府はボンクラのままです。わたしは1ミリも期待していません。新しい政治家が現れたらちょっとだけましにはなりますが、経済のことを税金の仕組みと思っている人がやるなら誰がやってもまた酷くなります。
 ただしいまの日本の政府はボンクラでよかったと思っています。ボンクラさでは底抜けに秀でています。政府は人間をも優先してくれませんでした。本気で貨幣経済のことをウイルス対策だと思っているようです。海外で優秀な国は、都市封鎖をして国民に十分な生活ができる給付を与えています。ですが優秀といっても政府機能ではこれ以上の対応はできないのです。優秀な政府は国民の自由を制限しました。刑罰とは「死刑」「罰金」「移動の制限」で行われるのです。人に迷惑をかけてはいけないという思想のもと、移動の自由を奪われた世界は監獄のようです。
 日本の政府は海外に比べてボンクラでした。GO TOキャンペーンとかやってます。海外からもボロカスに批判されています。それでいいのです。移動が制限されることもありません。非常事態宣言は一度出ていましたが、電車は動いていました。隙だらけでしょう。笑ってしまいます。しかし、わたしたちはこの国で自由に振る舞って刑罰を受けることはないのです。ボンクラ天国です。恐ることはありません。どんどん素直に生きましょう。誰もあなたを殺そうとも罰せようともしません。監視してくる人がいる? たぶんそれもテレビやネット上に存在する妄想です。あなたの家族が口うるさく行動を制限してくるなら、その言葉も妄想に惑わされているのです。幻影に惑わされてはいけません。あなたの知恵が淀みかかっている証拠です。もっと魂を喜ばせてください。自分を歓喜させてください。それはワガママではありません。世界へのギフトに溢れる行為なのです。太陽が経済であることを感じてください。お金のことを経済と思っているから、ウイルス対策がマスクとか消毒とか自粛とか三密とか給付とかGO TOキャンペーンとかになってしまうのです。ワクチンで撃退するのは貨幣経済です。PCR検査も貨幣経済です。陽性の検査結果を感染者にするのも貨幣経済です。ウイルスが体内にいるだけで感染者になるはずがありません。ワクチンを摂取しようとウイルスは体に侵入します。ワクチンをうったけど陽性反応が出たから隔離しますか? 人類は誤った概念を暴発させています。こんなバカバカしい感染封鎖ゴッコをいつもで続けているんでしょうか? こんなことでは太陽と知恵を中心とした経済は誕生しません。ウイルスは太陽から発生したものの一部です。ウイルスを自然に取り入れて免疫を高めることが共生経済です。いま社会から間違って出た火のような概念は鎮火するのに時間がかかります。反対運動をしても炎は勢いを増すだけです。誰も変えようとはせずに、わたしは世界とともに変化したいと思います。社会を無視したいと思います。目の前の牧歌的な風景を楽しみたいと思います。素朴に生きることを興奮したいと思います。

 緊急事態宣言が出たとき、今年の4月くらいでしょうか。山にある住宅地のわたしたちの家。夜はいっそう静かになりました。フクロウの鳴き声がします。わたしは初めて家の近くでフクロウの声を聴きました。ほうほう。月夜にエコーのかかったフクロウの声がひびきます。この家に子どもの頃住んでいた母にフクロウとことを言いました。母はなんだか懐かしそうな顔で「わたしが小さな頃はフクロウが夜になると鳴いていたわ」と呟きました。たった1ヶ月ほど人々が移動しないだけで、母の幼少期からめっきりいなくなったフクロウが帰って来たのです。鳴き声は音楽です。音は太陽から派生したものの一つです。音を楽しんでください。そうすると音楽になります。血の流れはドクドクと音を鳴らしています。心臓もリズムを刻んでいます。呼吸はメロディです。あなた自身が音楽なのです。自分を楽しむ。それが音楽です。人間にもし使命があるとしたら、自分を楽しむことだけです。すると世界も楽しくなります。太陽の光とともに人間の活動を楽しみたい。この大自然の運動は何も自粛する必要がありません。太陽の光に手を当ててください。土の中に手を入れてください。声を出して踊ってください。アルコール消毒する必要もありません。手にある大切なものが死んでしまいます。その手で畑の土を触れくないのです。消毒液にまみれた野菜を食べたくないです。いま心に浮かんだ素直な答えがわたしの声です。

 楽しくテキトーに生きる。これがいまのわたしの人生の設定です。

 まずは家賃0円ハウスに住むことをオススメします。自由にポッカリと空いた時間と太陽の光と水と土と空気と音が、あなたの体と精神をどこまでも楽しくひろげてくれます。
 コロナやそれ以外でも、家や職が失われそうな人も連絡ください。家賃0円ハウスはあなたを受け入れたいと思います。

 自分で家賃0円生活をつくれそう! という人は最高です。そんなあなたも完璧を目指さなくても大丈夫です。家賃が今より1万円でも下げることができたら大成功です。家の窓から見える景色が落ち着くのなら、それで苦しい人生は変化します。ハードコアに行きたい人は次回以降のこの連載を参考してください。細部まで0円生活のつくりかたを書きたいと思ってます。極端なだけで難しいことはしていません。

 では1回目の連載はこのあたりで。魂の喜ばせかたについても、じっくりと語っていきたいと思います。ソクラテス先生は魂を喜ばせるのが得意でした。それには知恵が必要だと仰っています。次回はもっともっと実践的に書こうかと思っています。それではまた。


※家賃0円ハウスの企画に共感してくれた方は下記のリンクからわたしが運営しているチイサイカイシャプレスの本やオンラインサロンに参加していただけるとうれしいです。売り上げの一部は今後の家賃0円ハウスの活動費用にさせていただきます。


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