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コロナ禍で卒業を迎える学生の声が想像以上の悲哀で満ち溢れていた

タイトルの通り、コロナ禍のまま卒業を迎える学生たちのリアルな声をヒアリングしてみたら、想像以上の悲しみで満ち溢れていたので、この場を借りて成仏させたいと思い書き始めたのがこちらのnoteです。

先に少しだけ背景をご説明します。僕の会社ではGoogleの「20%ルール」のように、自分たちの学びを兼ねた社員起点のプロジェクトやサービスをいくつか企画開発しており、昨年始めた、離れていてもみんなで簡単に寄せ書きムービーを作れるウェブサービス「Gifvie」(ギフビー:ギフトムービーの略)もそのひとつです。


メッセージ動画をスマホで自撮りするだけで、複数人での寄せ書きムービーを自動で編集・作成可能なサービスということで、当初は結婚や出産、転職、誕生日などの際に、友人知人や同僚同士で贈ってもらう「お祝いムービー」としてのニーズを想定していました。しかし、実際サービスを始めてみると、その他にも、手術に挑む友人にエールを送ったり、研修の修了時に講師に感謝の気持ちを伝えたりと、「寄せ書きムービー」としてのニーズもたくさんあることがわかってきました。

そして、サービスを開始して初めて迎える春は、学生たちにとって別れの季節。後輩たちから卒業する先輩に、卒業生からお世話になった先生に、卒業する学生同士での思い出づくりに、と、きっとたくさんの人に使っていただけるのではないだろうか。そう考えた僕たちは、3月末までの間、通常550円(高画質版は990円)するサービス利用料を完全無料にし、コロナ禍に苦しみながら学生生活を送り続けてきた若者たちにせめてもの気持ちとして、サービスを開放し、自由に使ってもらえるようにした「卒業・卒園応援キャンペーン」を開始することにしました。


が、しかしです。学生応援と銘打つのはいいものの、実際にこのコロナ禍の期間、学生生活を送ってきたわけではない僕たちでは、若者たちのリアルな学生生活の実態が見て取れません。もしかすると、僕たちの考えなど甚だ杞憂で、実際はとても楽しいスクールライフ、キャンパスライフを送っている可能性だってあるんじゃないか。

そこで僕たちはこのキャンペーンのプレスリリースを出すにあたり、実際にコロナ禍で学生生活を送り、この春卒業を迎える学生などのリアルな声を、友人知人づてに集めてみることにしました。

ちなみに調べたところ、大学生の場合、後半2年間の半分ほどが自粛期間に該当しました。


学生の声は次々寄せられてきたのですが、その内容は僕らの想像を遥かに超える、あまりに悲哀に満ち溢れたたものでした。プレスリリースにもその一部を掲載させていただいたのですが、その他にもたくさんのコメントが寄せられたため、急遽この場を借りてシェア&成仏させてあげたいと思います。

ということで、少し前置きが長くなりましたが、ここからは今を生きる学生たちのリアルを、いただいたコメントそのままの形でお届けします。特に、普段学生との接点があまりない方々に、若者たちの悲哀の声をお伝えできればと。


・・・


募集を開始して、最初に寄せられたコメントがこちらでした。

3年生から始まったゼミも結局最後までオンラインで行われるなど、本来の学生生活と比べて格段にリアルな交流が減った最後の2年間でした。卒業式も規模を縮小し、抽選で参加可否が決まるため、できれば当選して最後は同期と顔を合わせて卒業したいです。

by 大学生Aさん

唐突に脳天を撃ち抜かれた感じというか、いかに自分たちの想像が浅はかなものであったかをいきなり思い知らされたような気がしました。これがコロナ禍の学生のリアルなのか。

卒業式参加の権利が抽選ってどういうことですか。人気アーティストのライブじゃないんだから。受験の合格・不合格や、就職の採用・不採用の先に、またさらなる壁が立ち塞がっているかのような絶望感。当選した人も、逆に落選した人も、誰ひとり幸せになれないかのような、複雑な思いがコメントを通じて押し寄せてきます。


同じく、卒業式絡みではこちら。

学校にクラスの半分ずつしか通えなかったためクラスメイト全員との顔合わせと打ち解け合うのに時間が足りません。来年の卒業式までには顔見知りまでにはなっておきたいです。

by 高校生Bさん

この子は今、高校2年生なんでしょう。ということは、高校生活をここまでずっとコロナ禍で過ごしてきたことになります。「学校にクラスの半分ずつしか通えなかった」って、もはや「クラス」とは一体なんなのか、その定義さえ揺らいでしまうかのようなインパクトがあります。「卒業式までには顔見知りまでにはなっておきたい」というコメントの悲壮感もハンパない。普通、こういう際の卒業生たちの関係値って「親友」とか「一生の友だち」とかですよ。「顔見知り」って・・・



こういう類のコメントも目立ちました。

大学生になってから得られたはずの新しい出会いの場が少ないこと、オンライン交流では仲良くなれないことに悩まされた二年間でした。これからは一つ一つの出会いをより大切にしたいです!

by 大学生Cさん

学生だからこそ経験できるキャンパスライフが急に失われたため、当たり前とされすぎて大切にされないような経験を大事にしていきたいです!

by 大学生Dさん

なんでしょう、仏なんでしょうか? 悟りを開かれたのでしょうか? 「出会い」や「当たり前の経験」を大切にしたいって。何も考えずボーっと平穏な日々を享受してた自分の学生時代と照らし合わせたとき、非常時の今を生きる学生たちのあまりの達観具合に驚かされました。もはやもう、お願いだからとにかく幸せになってほしい。この経験を活かしてほしい。そんな思いが心の奥底から沸々と湧いてきます。


悟りとまではいかないものの、「つながり」を見つめ直すコメントも散見されました。

最後の二年のキャンパスライフといえば、研究会での活動以外でサークル活動も学祭もなかったので同じ組織に入っていても同学年とのつながりも薄くなり、後輩に至っては知り合いすら少ないです。繋がりを最後まで増やしていきたいです。

by 大学生Eさん

オンラインでの授業により、他の学生とのつながりが全くありませんでした。1人で過ごす大学生活はとても辛いので、コロナ禍での新しいつながり方を考えていきたいです。

by 大学生Fさん

もはや「つながり」とは、気づけば自然に増えていくものではなく、ある種の努力によって獲得していくものになってしまったのでしょう。本来楽しいものであるはずの学生生活を「孤独」とともに過ごしてきた若者たちの悲哀と、その中で少しでも前向きに生きようとする希望への執着がコメントから透けて伺えます。


ここまで書いていて、改めて悲しい気持ちになってきてしまったので、そろそろこの辺で最後にしたいと思います。最後を飾るにふさわしい、若者が生み落とした悲しみの爆弾のようなコメントを、どうぞ。

修学旅行がなくなり、貴重な時間と経験が奪われました。「代わりの行事がある」と言われましたが、何もないまま卒業します。高校生でしか作れない思い出をもっと作りたかったです。

by 高校生Gさん

「代わりの行事がある」と言われましたが、何もないまま卒業します。

なんですか、この計り知れないほどの絶望感。持ち上げるだけ持ち上げといて最後急に落とす、みたいな。勝手な大人たちの都合に対峙する無垢な少年少女の構図さえ思い浮かびます。でもきっと、「代わりの行事がある」と言った大人たちにも、悪意なんて1ミリもないのでしょう。むしろ学生たちのことを思いやって、それでもどうすることもできなかった無念ささえ感じられます。

そう、こんなに緊急事態が続くなんて、当時の誰にも予想できなかったことなんです。いつかは落ち着く。いつかは終わる。そうすれば、何かしら代わりになるような行事をきっと用意できる。そうみんなが思っていたはずです。大人も子どもも、誰一人悪くなんてないのです。スルメのように、噛めば噛むほど、読めば読むほど悲哀が次々と溢れ出てくる、そんな学生からの痛ましいコメントでした。


さて。

今回いただいた「声」は、ほんの一部のものでしかなく、地域や学校によって実情は異なってくるとは思いますが、わずか数日のうちに集まった想像を超える悲哀に満ちたコメントの数々に、Gifvieチームはとても驚かされることになりました。

自分自身の若い頃を振り返ってみても、学生時代は自由に使える時間が山ほどあり、勉学はもちろんのこと、部活に趣味にサークルに、青春時代を謳歌することができる、人生において大切でかけがえのない時間。特に大学時代は、「自分探し」などと勝手なことを言って旅に出て、これまでになかった価値観を得て、自分と改めて向き合う、本当に大切な時間だったような気がします。僕自身も、大学時代に訪れたインドでの経験は、今も昨日のことのように思い出す、人生の大切な1ページになりました。


それが、全部奪われてしまった。

これからの自分を形成していく上で、欠くことのできない貴重な体験や経験を積み重ねることができたはずの学生時代。海外にも行けず、バックパックの旅もできず、授業はほぼリモートで、この春、社会人1年目を迎える若者が、世の中にはたくさんいるという事実と改めて向き合わされることになりました。

「ミレニアル世代」とカテゴライズされる僕でさえ、多感な時期に同時多発テロやリーマンショック、東日本大震災を経験し、その後の価値観に大きな影響を与えられることになったわけですが、今を生きる学生たちの価値観が、この経験を経て(あるいは本来得られたはずの経験を失って)どう変わるのか。現在進行形でコロナ禍が続く2022年の今、僕には想像すらできません。

ただ、もし将来、渡航の自由が許されるようになった暁には、今よりももっと自由に、社会人となった若者たちに休みを与え、世界を見てまわる時間を取らせてあげたい。「旅に出たいんで、しばらく会社休みたいっス」とか急に言ってきた若者に眉をひそめず、むしろその背中を優しく押してあげられるような、そんな先輩・上司になってあげたい。

まもなく春を迎える2022年。そんな思いを強く抱きながら、学生たちの無念をここに綴ります。Gifvieが少しでも卒業生たちの心によりそってあげられますように。


<追伸>
コロナといえば、昨年会社の仕事で、老舗酒造の公衆衛生事業参入を支援させていただきました。巷にあふれる有象無象の"除菌液"とは一線を画す、厚生労働省お墨付きの、効果効能がしっかり担保された"指定医薬部外品手指消毒液"。病院とかで使われるクオリティのものを、なんと競合の1/3の値段で出すという、楽天モバイルもびっくりの価格破壊です。160年以上続くアルコールカンパニーの誇りを詰め込んだ、高品質・低価格な消毒液。ぜひ事業所などでご検討ください。



<このnoteを書いた人>
Daiki Kanayama(Twitter @Daiki_Kanayama
1988年生。大阪大学経済学部を卒業。在学中にインド・ムンバイ現地企業でのマーケティングを経験。ソフトバンクに新卒入社後、新事業部門に配属。電力事業や海外事業戦略など、様々な新規事業の企画、事業推進に従事。創業メンバーとしてロボット事業の立ち上げを経験後、専任となりマーケティング全般を担当。2017年からは事業会社を支える側に身を移し、ソニー新規事業のマーケティング業務を1年間常駐支援。その他、著名企業のCI戦略、SDGsプロジェクトの企画開発などに従事。現在はビジネスインベンションファーム・I&COの一員として、大手企業の新規事業、ブランディング、商品サービスの企画開発に携わる傍ら、個人としてスタートアップの支援も行なっている。

受賞・入賞歴に、Clio Awards、Young Cannes Lions / Spikes、Metro Ad Creative Award、朝日広告賞、グッドデザイン賞など。



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