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映画への恋文

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好きな映画監督、好きな作品についての愛を垂れ流します。 時々テーマに沿ってオススメもしちゃおうかしら。
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Old joy

Old joy

気づけば日も変わり、今年のクリスマスも過ぎて行ったみたい。靴下を忘れたせいでつま先は常に冷え切っている。30分おきくらいにケトルで湯を沸かしては紅茶を継ぎ足す。一回のパックで何回飲めるのか。貧乏臭くてやだな。でも仕方ない。たった数秒だけで捨ててしまうのも可哀想だし。

少し短い映画でもと前々からリストに入れてたケリー・ライカートのold joyを流す。映画なんて適当に流すくらいの気持ちで観ればいい

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独ソ戦と映画

独ソ戦と映画

いつから独ソ戦に興味を抱き始めたのか。あまり定かではないが、帰国後の隔離中に見たラリーサ・シェピチコ監督の「処刑の丘」の衝撃はいまだに覚えている。

ソ連は知名度は低いものの、かなり多くの傑作戦争映画を輩出している。恐らく世界に存在する戦争映画の中で三本指に確実に入る、エレム・クリモフの「炎628」。ちなみにラリーサ・シェピチコはクリモフの奥さんである。あとアレクセイ・ゲルマンの映画群も独ソ戦に無

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ドランに恋して

ドランに恋して

Xavier Dolan(グザヴィエ・ドラン)って天才がカナダにいる。彼の作品は全て観た。中には繰り返して観てるのもある。見るたびに「こういう天才って世の中にいるんだな」と思うし、つくづく映画は総合芸術であるのだと痛感させられる。今からそんな彼への僕の愛を、誰得の文章ではあるのだが、綴りたい。

初めて彼の作品に出会ったのは高三だった。ゲオでなんとなく「胸騒ぎの恋人」を借りたのだ。ただその時はドラ

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ハネケに恋して

ハネケに恋して

Michael Haneke(ミヒャエル・ハネケ)はオーストリア出身の映画監督であり、その独特で暴力的で暗鬱な映画スタイルから奇才と恐れられている。奇抜な映画作品であるが故に、評価は常に真っ二つ。彼の代表作品である「ファニーゲーム」が、史上最高のクライム映画でありながら史上最高の胸糞映画と評されていることは有名な話である。

そんなハネケは、カンヌ国際映画祭で最も権威ある賞『パルム・ドール』を、「

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