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そういうふうにできている/さくらももこ

さくらももこさんの妊娠・出産エッセイである。

 
身近な存在で姉が妊娠と出産を経験しているものの、私自身はどちらも未経験であるため
初めてこのエッセイを読んだ時から(今から17年前にあたる)
今に至るまで
貴重な妊娠や出産体験記である。

 
私も妊娠発覚前のさくらももこさんと同様、めちゃくちゃ子どもが欲しいわけではなく、「このまま子どもがいない人生も寂しいが、それはそれであり」と基本的には思っている人間だ。

 
基本的というのは、女にはめちゃくちゃ結婚したい周期とめちゃくちゃ子ども欲しい周期と今のままでいいや周期が存在するというのが持論だからだ。
子どもがいない人生もあり、と思っている私も一時期は結婚できなくてもいいからせめて子どもが欲しい!今すぐ欲しい!という思いにかなりとらわれていた。
いないならいないのもあり、と思っているわけで、いたらいたらでそれはそれは楽しいだろうなぁというのが私の本心だからだ。

 
第一章【妊娠】 
さくらももこさんの場合、結婚した頃は多忙を極め、妊娠は旦那さんの方が強く望んでいたようだが
いざ妊娠が発覚すると二人でテスターを手に涙したという。
テスターが陽性だった時はしばらくトイレから動けなかったというのはやけにリアルであった。

 
第二章【悪阻】
私はこれでつわりと読むとこの本で学んだ。
そして、十月十日と言われるものの実際は違うこともこの本で学んだ。
笑いありなエッセイだが、実に為になる。
悪阻というと食欲不振や嘔吐を思い浮かべるが、さくらももこのようにメンタルがやられる悪阻もあると知る。
哲学的な内容も含まれている。

 
第三章【便秘】
妊婦の80%以上が便秘になり、またそれにより病院にお世話になる人が多数いると初めて知った。
さくらももこさんは快便だが、妊娠中最悪最凶の
便と遭遇したことがこの章で書かれており
一番面白いのがこの章でもある。
非常に大変な事態をネタとして昇華する文才に拍手。

 
その後も帝王切開やマタニティーブルーや命名、粉瘤など
妊婦や出産を体験した人にはおそらく共感できる内容になっているだろうし
私のようにまだ未経験の人でも予習になるような内容となっている。
笑いの要素が多めだが、哲学的な内容も全体的に多く、考えさせられる。
電話の話でベルと無名の人に触れているが、それもまた印象深い。
粉瘤やホルモンには私も長年かけて振り回されており、頷きながら読み進めるページも多かった。

 
出産に対して押し迫る不安の中、さくらももこさんが大泣きをした時に旦那さんが言ってくれた言葉が胸に染みる。


 

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