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夜明けが長い夜

 最近じわじわと自分のダメさ加減を再認識する出来事が増えている。

 つい先日も会社に向かうバス停までの道すがらで本を読んでいたら、思いの外バスが停車する時間が近づいてきていて、あ、急がなきゃ、急がなきゃ! と思って走ったところ、時間には間に合ったものの、乗る直前でスマホが手元にないことに気がつく。

 あれ、おかしいなと思って一度家に戻って探してみるも見当たらない。そして記憶を巡らすと、何やら玄関を出てくる時に直に手で持っていた記憶がある。そんなバナナ、と思ってバス停までの道端を戻って行ったらコロンとスマホが道路に落ちていて、ことなきを得た。ポンコツ人間なり。

年相応に感じいること

 実を言うと、仕事が忙しくなってきて、自分の中でうまく消化できていないことも原因かもしれなかった。同じ会社の中でも私はいろいろ職種を変えてきているので、割と転職せずとも多様な経験をできていることにより、今の会社でなんとはなしに働き続けているのかもしれない。

 ただ、気がつけば今の会社に入ってからそれなりに年月が経っていることもあり、立場もそれ相応のものになってきている。昔のように、「こんなのはなっていません!」と噛みついていた自分のことを左頬と右頬2回ずつペチンペチンと叩きたいくらいである。

 とにかく今のこの立場が苦しいところは、上からも下からも竹槍で突っつかれることである。はーい、突っつけ突っつけ、わっほいわっほいと頭の中でよくわからない音頭が流れるくらいには、少し私のネジも外れてきている。わあ私どうしたらいいの……と混乱しきりであるが、今の会社の人たちは心根は優しい人たちばかりなので、そういった意味では私の経験不足である部分もたぶんに余りあるくらい補ってもらっていると思う。一緒に働く人って大事よね。

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 私のことをよく面倒を見てくれていた上司が、今年8月の終わりに退職をすることを知った。実は噂には聞いていたものの、なんとはなしに自分から接触しづらいなと思っていた。というのも若気の至りといえば聞こえはいいが、どうしても当時納得できないことがあって(今思い出せば自分の未熟さ故の出来事)、それで上司にカミツキガメのごとく噛みついた。浜で助けられた亀が浦島太郎に向かって敵意をむき出しにするようなもんだ。恐ろしい。

 それがあったのでどうすればいいのかわからなかったが、むしろ上司から最後退職の挨拶を私に送ってきてくれて、それまで連絡することを躊躇していた私は自らのこれまでの行為を大いに恥じた。すぐさま電話したらその方は応答してくれて、「頑張れよ」と言われて本当に泣きそうになった。その人が私に声をかけてくれなかったら今の自分はなかったし、確かに救われた。どうして、どうして自分はこんなに未熟なんだろう。歳を重ねるたびに、過去の行いを振り返って壁に投げつけたい気持ちになる。

水中で私はいまだにもがいている

 とまあ、忙しい忙しいとは思いつつも、近頃言葉を書く習慣を復活させようと思っている。流石に情熱に溢れていた頃のように、うまく筆が走らないのは悲しいのだが(当時はどうやって言葉を紡いでいたのか、謎)、最近やっぱり文章を書くことによって一定の安らぎを得られることを発見した。

 気が向いた時に「夜ふかしの読み明かし」というPodcastを聴いているのだが、これがまたよくて、きっかけは永井玲衣さんが執筆した『水中の哲学者たち』という本だった。元々にわか哲学にいっときハマっていた私は、このPodcastを聴くことがちょっとした楽しみになっている。

↓本について、以前紹介した時の「#愛について語ること」シリーズ

 元々図書館で借りた本だったのだが、これは手元におきたい! と思ってAmazonでポチる。が、その後数ヶ月付き合った恋人に貸したまま戻ってこないといういわくつきのものではあったのだが、その後「夜ふかしの読み明かし」の現地イベントがあるときいて、すぐに申し込んだ。

 そして実際にPodcastでいつも喋っている永井玲衣さん、大島育宙さん(芸人)、西川あやのさん(アナウンサー)の3人が目の前に実際に登場して思わず涙をこぼしそうになった。たぶん推しのアイドルが目の前に現れる瞬間ってこんな感じなんだろうなぁとしみじみ共感した。

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 基本、「夜ふかしの読み明かし」では二つの回がある。

 1つは「読書回」。割と毎回スタンダードというか、誰でも読んだことがありそうな作品が取り上げられる。有名なところだと村上春樹の『ノルウェイの森』など。当時英米文学を専攻していた私は、論文で研究する上での一つの参考書籍として取り上げていた。が、改めて3人の話を聞くと、あ、あれってそういうことだったのかーと新たな発見があるのです。

 もうひとつが「哲学回」。例えば、嘘と冗談の違いは何とか、なぜ人は嫉妬するのかとか。ちなみに、哲学の回は通称「哲学対話」という名前がついており、3つルールがある。

  1. よく相手の話を聞くこと

  2. 人の言葉や先人の言葉を引用しない

  3. 相手が言った言葉を否定しない

 この哲学対話は、普段Podcastで聴いていると新たな発見をすることが多く、もし今後私がメンバーシップを開講するとかってなったら哲学対話、やってみたい。そういう普段はスルーしているけど、よく考えたら違和感ありまくりやなぁと思うことを本気でメンバーの人たちと語り合えたらいいな、と思ったりもする今日この頃(あと、読書対話もやってみたいな、真面目に)。

 不思議なのだが、人は必死で働く一方でそれが過度にならなければ、むしろ良い感じに他の物事に対しても情熱が湧いてくるのかもしれない、と漠然と思ったりしている。割と最近は考えさせられる小説やら映画やらを見たりしているので、また別の記事で触れることができたらと思っています。

追伸)
なんとなく今の心境的に話したいと思っていること
・誰かと別れる時、悲しいのはなぜか?
・缶よりも瓶の方が美味しく感じるのはなぜ?
・自己中心的なのは悪いことなのか?
今の脳みそだとこれくらいですが、また追加があれば別途。


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