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プロデューサーの仕事を考える#1/提供領域〜ゴール設定について

はじめまして。
日頃マーケティングの中でも、企業や商品・サービス、ブランドのファンづくりに向けて活動しています。
職種はプロデューサーで、私はこの仕事が大好きです。とても可能性のあるポジションだと思うので、どんなメリットがあるか。やるとしたらどんな勘所があるか。を可視化して、プロデューサー自体の価値向上に貢献していきたいと思います。

私の定義。モノでなく、コトをつくるためのプロデューサー。そのコトづくりに推進力を出すこと。

プロデューサーという職種は、まちまちで、個々の立場によってスタンスやパフォーマンスは差があります。それはどの職種でも当たり前だと思いますが、とりわけプロデューサーはアウトプットが見えづらいので、割と意志を強くポジション取りに行かないと、「あれ、なんでいるんだっけ」になりやすいです。
私の定義は、広告代理店のプロデューサーということもあり、前述の「企業や商品・サービス、ブランドのファンづくり」がされるという「コトをつくる」役割を担っています。
コトづくりという言葉は前からありますが、意外に実践されてないことが多く、プロジェクトのゴールや目的がうやむやにモノづくり論に終始し迷走していることも少なくありません。そんなことにならないように、関係者の視点を俯瞰できるよう誘導し、プロジェクトをあるべき姿に整えて推進させていくのがプロデューサーの仕事だと考えています。

提供領域は、ゴール設計〜指針をつくり〜施策の実施評価まで。

これは、私の経験上ですが、プロデューサーが推進していく領域を可視化したもので、これからその領域を紐解きながら工程の意味を記載してみたいと思います(一度に書ききれないので何回かにわけて掲載していきます)。これらの工程が緩くすすんでしまうと、施策の実施にしわ寄せが行って、深刻なダメージが関係者全員に広がってしまうのでプロデューサーは各工程がしっかり握られているかに執着しないとダメだと考えています。

【主な工程】
▼コミュニケーションゴールをつくる←今回はこのパートを記載します
▼指針を整理する
▼施策が作用するグランドラインを描く
▼評価指標をつくる
▼施策を仕立てる
▼施策を評価する
▼ゴールづくりに戻って仕立てなおす

コミュニケーションゴールをつくる。

コミュニケーションを作用させるポイントを設定します。(図の赤のところです。)クライアントとその先のユーザーの関係性を動かしてどんな課題を解決すべきか。どれもクライアントの収益貢献につながるゴールであるべきです。これはコミュニケーションの根底になり、クライアントをはじめ関係者全員で目線を合わせなくてはならないとても大切な工程です。

コミュニケーションの対象がクライアントの商品やサービスになれば具体的な売上やマーケットシェアの拡大がゴールのケースは多く、企業やブランドだと定性的なイメージアップなどが設定されます。
プロデューサーが気をつけるべきポイントは「コミュニケーションゴールは、クライアントのマーケティング課題が解決されるもになっているか」「コミュニケーションのみで達成すべき(できる)ことなのか」という点です。

この気をつけるべきポイントを例を交えながら紹介してみたいと思います。

よくあるコミュニケーションに期待される例として、クライアントさんのオリエン時から「話題化させたい」ということがゴールに設定されているケースがあります。話題化というのは、そもそも定義付けがあいまいで、そう簡単になされることでもありません。(この話題化の定義の議論についてはまた別の機会に譲ります)

この場合に、じゃあ話題化させなきゃと盲目的にすすめるまえに、話題化するとクライアントのどんな課題が解決されるか考えてみる必要があります。実際どうでしょうか?
相性が良いのは、企業やブランド、商品の名称の認知不足が課題の場合だと思います。話題化がポジティブな状態で生まれると、その話題に付随している企業やブランド・商品の好意度は当然あがり、情報拡散という追い風も生まれて認知の量と質が飛躍的に高まります。

という要素をふまえてみると、「コミュニケーションゴール(話題化)は、マーケティング課題(認知不足)が解決されるものになっている」が成立しそうだと考えられます。ただし、認知の量は一定量の体力勝負も必要になるのと、話題が自走しやすいSNSやPR中心の勝負で勝ち目があるかも検討していく必要があります。(これらの点は次のパート「指針を整理する」に譲ります。)

もう1点、「コミュニケーションのみで達成すべき(できる)ことなのか」についても、同じ話題化を題材に考えてみたいと思います。
話題化をさせるがゴールのプロジェクトで進んでいったのに、本当は短期的な売上に効かせなければならず(話題化施策ではそのイメージはクライアントさん内では成立していなかったので)プロジェクト全体が見直しになる。ということは残念ながら珍しい話ではありません。私自身の経験でもありますし、プロジェクト途中でひっくり返った段階から我々のようなプロデューサー機能が投下されゴール設定に戻るということも多いです。

このような場合は課題(短期的な売上不足)と、手段(話題化)の因果関係が不明確な状態なので、本当にそれでいいかプロジェクト始動段階で関係者全員で目線を合わせていかねばなりません。

コミュニケーションの対象が低関与商材(お菓子など少額で買えるもの。購買決定の要素が少なく瞬間的な判断がくだるもの。)であれば、コミュニケーションと一緒に商品名や商品特性が話題にのぼると短期的に売りが動く可能性があります。
しかし高関与商材(車などのように高額で慎重な検討を経て購買の判断がされるもの。)では、表層的な話題化だけではまず売りが動くことはないので、競合ブランド・商品との検討段階でどのような差別化を図っていくか、どのような手法であればその差別化した価値を実感してもらえるかを設計していく必要があります。(この対象の商材の性質がどのようなものかも次項の「指針を整理する」の項で整理してみたいと思います)

この観点から考えていくと、対象が低関与商材ならコミュニケーションゴールを話題化としたまま短期的な売上獲得対策にしていくという選択もあると思います。瞬間的な購買判断がなされるのであれば、「今話題」の(聞いたこと見たことがあり興味をもった)というポジションをとれれば、ユーザーが商品を手に取る場所に訪れた時に買ってくれる可能性もあります。しかし話題化したことで商品の存在は好意的に知られたとして「商品は簡単に買えるのか(流通を介した商材は店頭の棚に充分入るのか)」や「商品の値段」「商品自体の良さ」というマーケティング上の変数を加味した上で、「コミュニケーションのみで達成すべき(できる)ものか」を判断していく必要があります。これらマーケティング上の変数が著しく悪いものでない限りですが、私の経験則では、話題の質に踏み込んでいくことで、商品自体の差別化する価値(ユーザーがその商品を選択するに値する価値)が話題の中心に据えられている状態をつくれれば、「コミュニケーションのみで達成すべき(できる)」ものとして、短期的な売上向上対策としての「話題化施策」は有効なコミュニケーションゴールになりうると考えています。

高関与商材だと、さらに「買っても間違いない」を積み上げていく必要はあるので、どの情報摂取場所で「間違いない」と実感していくのかを想定しながら、ユーザーの情報摂取動線に丁寧に仕掛けを作っていく必要があると思います。

コミュニケーションゴールの設定の仕方について、例として話題化というゴールがクライアントさんで設定されていた場合をもとに、どのような考え方でそのゴールの妥当性を検証していくかの流れを書き出してみました。
このゴール設定は以降につづく、「▼指針を整理する▼施策が作用するグランドラインを描く▼評価指標をつくる▼施策を仕立てる」の工程までセットで証明していかないといけないと考えています。各工程の紹介は次回以降、順々に進めていきたいと思います。
これらのご紹介を通じてコミュニケーション領域にとってプロデューサーに価値を持っていただけたらうれしいです。長文をお読みいただきましてありがとうございました。

▼ 続き公開しました:Vol.2 指針を整理する




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