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#5 もう一つの時間

将来の息子へ宛てて。今は三歳。だんだんガチになってきました。いつか読んでくれる日が来たら嬉しいです。

今日は幼稚園の個人面談でした。担任の先生と机越しにお話をさせて頂きましたが、大人同士が話すには不自然なサイズの園児用の机と椅子。。。「こんなに小さいヤツで普段工作をしたりご飯を食べたりしているんだねぇ」と当たり前ではあるのですが、とても新鮮でした。

先生とは持ち時間が15分のところ、最後の枠だったせいか気づけば25分。時間オーバーしちゃって申し訳なかったです。

さて。今日はキミの幼稚園の先生と個人面談だったよ。事前にキミに「先生に何か伝えておくことはある?」と聞いたら、キミは「パウパトロール(カナダ制作の子供向けアニメ)が好きだよ、と伝えて」と言うものだから、お父さんは約束を守って伝書鳩のようにそのまま先生に伝えたよ。先生は「そうですか、、、」と仰っていて、その後何の会話の広がりもなかったことをキミに伝えておこう。お父さんは25分も持ち時間を頂いておきながら、こんな会話に時間を割いてしまったことを後で恥じることになったのも重ねてキミに伝えておこう。

お父さんは普段キミがお昼にお腹がすかないように、三段弁当をいつも作っているけど先生曰く「ちょっと多い」ようだ。。。キミは「よし食べるぞ!」と張り切って残さず全部食べてくれているようだけど、途中で疲れて寝てしまったり、時間が凄いかかったりしているみたいだね。いつも帰宅後には空っぽになっているお弁当箱が嬉しくてお父さんはパツパツにおかずとご飯を詰めていたけど、キミのお昼休みがそれで削られていることを初めて知ったよ(笑)。先生とお父さんの結論は「二段で充分だろう、、、」だ。

キミは体操でも工作でもモリモリのお弁当でも「よし頑張るぞ」と言って何にでも一生懸命取り組んでいるようだ。自燃型というやつだね。昔「好奇心の持たせ方はどんな優秀な先生でも教えられない」というような話をどこかで誰かから聞いて、なるほどーと思ったことがある。「興味持てよ!」と言われても、興味がないものはない。色んなものに興味を持てることはこれからの人生を豊かにすると思うよ。

星野道夫さんの「旅をする木」という本にお父さんは学生の頃、たまたま出会った。その中で「もう一つの時間」というくだりがあったので紹介するね。

「ぼくたちが毎日を生きている同じ瞬間、もうひとつの時間が、確実に、ゆったりと流れている。日々の暮らしの中で、心の片隅にそのことを意識できるかどうか、それは、天と地の差ほど大きい」

著者の星野道夫さんがアラスカでザトウクジラに会ったときの話を引用したものだ。お父さんはサッカーばかりしているように思っているかもしれないが、そして実際にそうだが笑、キミが生まれるずーっと前はかなり山や海に通っていたんだよ。その頃に読んだ本。因みに山や海はただ「興味」があって始めたんだよ。

北海道の知床半島をカヤックで1週間かけて周ったことがあるのだけど、学生の頃だね、電線も食べ物も何もなく、全く人の暮らしがない地域でそこに住むヒグマたちがどでかい石をごろんごろんしてカニを探していたたりとか、アザラシを捕獲していたりとか、そんな光景が普通にあった。都会に住んでいると想像できないことを目の当たりにして衝撃を受けたよ。それはスナップショットのように強く脳裏に焼き付いて、「想像を超える(=知らない時間が流れている)ことがある」という極めて当たり前なことを、今までにないズシンとした質量を感じて学んだ。これは知床のヒグマが凄かったのもあるけど、時を同じくしてたまたま出会ったこの本の「もう一つの時間」という概念が、その後「目を見開く」きっかけになって今も生きている。これは「興味」から始まったことだよ。

まだよくわからないよね。この話題はキミが大きくなったら自分自身で解釈できるように、十分な余白を残してここで書き止めることにしよう。

これから羽ばたくキミへ。パウパトロールのカナダにもお父さんは興味を持ったよ笑。


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