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自己破産 その6 (自己破産に係るQ&A)


自己破産に関するQ&Aを掲載します。
 ⇒ は参考回答です。
なお、最高裁判所のHP等を参考にしています。

① 自己破産した場合、将来年金を受け取れないことがあると聞いたのだが本当ですか?
⇒ 自己破産を理由に、年金の支給対象から外されることはないです。
厚生年金に加入している人も国民年金に加入している人も、老後に年金の受給は可能です。

現在年金を受給していますが停止されますか?
 現在年金で生活している方が債務超過により自己破産したことが原因で年金支給がなくなることはありません。

(筆者撮影)

③ 年金を借金のカタに差し押さえられることはありますか?
 年金(国民年金・厚生年金など)は法律で差押えが禁止されているので、借金を滞納しても年金を受け取る権利それ自体を差し押さえられることはない。ただし、年金が銀行口座などに振り込まれた場合、その「預金」を差し押さえられる可能性はあります。

④ 選挙権は停止されるのですか?
 選挙権は、18歳以上の日本国民であれば、誰にでも認められている権利。自己破産しても選挙権はなくならないので、手続中も手続後もこれまでどおり投票できます。

 自己破産すると海外に行けなくなるし、パスポートも作れなくなるのでしょうか?
 自己破産の手続が完了すれば、海外に行くことが制限されることはないですが、手続中に居住地を長期間離れる場合は、事前に裁判所の許可などが必要です。
なお、手続中は、仕事のために海外に行かないといけない、別居している家族の看病に行く必要があるなど一定の要件が必要であるので要注意。

⑥ 自己破産によりクレジットカードが使えなくなるが、妻のクレジットカードも使えなくなるのですか?
 自己破産しても、クレジットカードが使えなくなるのは、あなた(自己破産者)だけです。
配偶者の方は、これまでどおり買い物にクレジットカードを使ったり、車の購入のためにローンを組んだりできます。

⑦ 自己破産したことが会社にバレて解雇されるのではないか心配だが?
 自己破産したことが会社の人に知られるケースとして、以下の2パターンが考えられます。
もちろん裁判所や弁護士から会社に対して、あなたが自己破産したことを知らせることは通常ありません。

また、仮に会社に自己破産したことを知られたとしても、解雇されることは法律上許されません。
会社の人が官報を読む(ただし官報を読む人はほとんどいないと考えられる)

⑧ 戸籍や住民票に自己破産したことが記載されるのでバレてしまうのですか?
戸籍や住民票に自己破産したことが記載されることはありません
そのため、それらの書類を通じて自己破産したことが知られる心配は不要です。

⑨ 自己破産すると、一生カードが作れない、ローンも組めないと聞いたが本当ですか?
⇒ 自己破産したことが原因で借入をできなくなるのは、信用情報機関に事故情報が登録されている(いわゆる「ブラックリスト」に載っている)期間のみです。

そしてその期間は、5年から7年(※)と一時的です。
自己破産して5年から7年が経過すれば、事故情報が消されるため、自己破産したことが原因で審査に落ちることはなくなります。
※ 2022年11月以前の場合は5年から10年。

(筆者撮影)

⑨ 一度自己破産すると、その後は自己破産手続きがとれない(自己破産は1回だけ)と聞いたが本当ですか?
 7年以内に自己破産して、免責許可をもらった方は、原則として再度の免責許可はでません。
7年を経過していれば再度免責許可も可能です。ただし審査が厳しくなるとも考えてください。

⑩ 自己破産した場合、生命保険は解約になりますか? 
⇒ 生命保険を解約するかどうかは、保険を解約した際に、保険会社から戻ってくる金額によって異なります。
戻ってくる金額によっては、高額な財産とみなされて保険が解約となる可能性があります。

東京地方裁判所の場合、生命保険を解約して、保険会社から20万円以上戻ってくる場合は、解約する必要があります。

なお、生命保険に限らず、学資保険やがん保険などのいわゆる積立型の保険も同じく、解約すると保険会社からお金が戻ってくることがあり、その金額によっては解約しなければなりません。

どうしても保険の維持を希望する場合には、その必要性を裁判所に説明して、解約返戻金と同じ金額を破産管財人(破産者の財産などを調査する人)に支払うことで例外的に維持できる可能性があります。

⑪ 両親が自分(破産者)の名義で積み立てた貯金はどうなりますか?
⇒ ポイントは、本人の資産であるかどうかです。
両親の収入から積み立てられた破産者名義の貯金は、裁判所に本人の資産であると認定された場合に借入先へ分配されることになります。

まとめ

以上ザックリと質問と回答を記載しました。
この種はケース・バイ・ケースであり、両当事者の和解、債務整理、自己破産などそれぞれの立場でそれぞれの債権整理方法が選択できますので基本的なルール・内容を理解した上で対応することが大事ですね。


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