自己破産 No5 (債務整理)
|債務整理とは
自転車操業ということばがあるが、借金の返済のために借金を重ねる状態になった場合(これを「多重債務」という)、借金の返済に困難な状態にあるといえますよね。そのような状況に陥ったらならば、早急に債務整理を行うことが必要です。
債務整理とは、借金の減額、免除又は支払の猶予を目的として、利息制限法や手続について破産法等の関係法令を駆使して、債務の整理をして、債務者の経済生活を立て直していく手続のこと。
その方法としては、これまでnote記事にした自己破産手続きのほかに、①任意整理、②個人再生手続き、③特定調停の方法があります。
(1)任意整理
○ 趣旨・概要
任意整理とは、債権者と交渉することで将来発生する利息や遅延損害金をカットしてもらう手続きです。
弁護士、司法書士等の専門家に債権者との交渉を頼んで、債務の額を確定させて、支払可能な毎月の支払額を合意して支払っていく方法です。
賃借契約等においては、法定金利を超える高い利息で取引をしている場合などには返済金額が減ることや契約内容によっては返金を受けることもあります。
○ 任意整理の効果
あくまで利息をカットするだけなので元金は減りません。とはいえ、利息が減額されるなどで月々の負担を軽減できる可能性があります。
また、任意整理は手続きをする債権を選ぶことができるので、住宅ローンやカーローンを避けることで、財産を手元に残すことが可能です。
(2) 個人再生手続
○ 趣旨・概要
債務の返済に困っている場合に、一定額を返済した上で、残りの債務を免除してもらうことを目的として裁判所における手続を講じるもの。
個人再生手続きを裁判所に申し立てることで、借金を5分の1〜10分の1程度に圧縮し、それを完済する再生計画(原則3年)を立て、その計画を債権者の意見などを聞いた上で裁判所が認めれば,その計画に従った返済をすることによって,残りの債務が免除されるという手続。
この手続きをとる場合、借金は一部残ることになるが、家や車などの財産を手元に残せる可能性があるのです。
ただし、手続き後も返済は続くので、一定収入があるなど安定した収入が必要です。
○ 非免債権は対象外
個人再生でも、過去記事の自己破産で記載した「非免責債権」がある場合には非免債権は減額の対象外となる。
○ 合意の効果
債権者と債務者が合意して支払っていくことを目的とした裁判所における手続なので、両者で合意が成立し,これを調書に記載したときは,その記載は確定判決と同一の効力がある。
裁判所が仲裁役的として債権者と債務者の間に入り債務の額を確定させ、支払可能な毎月の支払額を決める。債務者としては,これに従って弁済すればよく,それ以上の取立てを受けることはない。
○ 個人でもできる
この手続は,十分な法律知識を有しない当事者でも,窓口に備え付けの申立書などのひな型を使って,自分で申立てを行い,手続を進めていくことができる。
当事者本人が出頭し,調停委員が事情を聴き,必要があれば事実の調査を行うなど,簡易な手続が設けられている。
○申し立てを行う裁判所
特定調停の申立ては,相手方(特定調停においては債権者を相手方といいます。以下同じ。)の住所,居所,営業所又は事務所の所在地の区域を受け持つ簡易裁判所に行います。
|自己破産できない場合も個人再生は可能
自己破産をしたいけれど免責不許可事由があり、なおかつ裁量免責を受けられる可能性がない場合は、個人再生手続きをとることができます。
個人再生が認可された場合、借金の全額免除はできないが、前記記載のように借金を大幅に減額(最大で1/10程度)することが可能になります。
また、個人再生は自己破産のように免責不許可事由がないので、何らかの事情があって自己破産ができない人でも、個人再生なら手続上の問題がなく行うことができます。
個人再生の認可決定は、減額後の残債務を再生計画通りに支払う収入があることが条件になります。
免責不許可事由はないが、安定的で継続的な収入がない場合は個人再生も認められません。
|非免責債権があっても債務整理は可能
非免債権は破産手続きにおいても免責が認められません。
しかし「非免責債権」以外の借金があれば、それを債務整理で解決することが可能です。
他の借金が免責され、または減額されれば、その分を非免責債権の支払いに充てられるので結果としてこれらをうまく活用することで、少しでも多重債務を返済し安くすることができます。
|債務整理にもあるデメリット
債務整理という手続きを行う場合にデメリットがあるのでその一端を記載します。
① ブラックリストに載る
自己破産で記載ししたとおり、ブラックリストに載ることになる。
ブラックリストに載るとそれ以降の借金はできない。なた、クレジットカードも作れなくなるなどのデメリットがある。
② 保証人がいる場合
保証人に迷惑をかけることになります。つまり借金等に保証人を付けてある場合、債権者は債務者から借金の回収ができなくなる可能性があるので保証人に請求をすることがあります。
特に、債務整理すると、債権者は一括請求できるようになるので保証人に一括で請求がいくことになり、債務者と保証人との関係が悪化することにつながります。
③ ローンが残っている物品が没収される
自動車などローンが残っているものがある場合に、その権利を失い返還を求められ没収されることになります。
④ 人間関係に悪影響が出る
債務整理手続きとして個人破産手続きをした場合のように「官報」に掲載されると、家族や友人、会社の同僚・上司などに知られてしまう可能性があります。
一般的に債務整理すると印象が良くないので、会社などでは昇進などに影響がでた事例もあるようです。
⑤ ヤミ金利用につながることがある
債務整理して一旦借金から逃れても、結局生活が回らなくなるという人も多いそうです。
しかしブラックリストに載っていると、その後ローンや借金が困難または不可能になることから、やむを得ずいわゆるヤミ金に手を出してしまう人もいます。
|まとめ
以上債務整理について記載しました。自己破産を含め本来は活用して欲しくはない制度なんですね。なぜなら健全な生活を送っていただきたいからです。
多くは浪費、ギャンブル・・などなど。
多くの国民は真面目に倹約しつつ生活しているのでこの制度のお世話になることはないかと思います。
とはいえ、万が一の事件事故や災害等を含め借金、ローンが膨らむことも考えれます。
そのようなときには、自治体の無料法律相談や弁護士等への相談などを通じて最善の策を講じる必要があります。何らかの形で制度を知る上でお役に立てれば幸いです。
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