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金星が魚座で溺れた時に生まれた

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金星が魚座で溺れた時に生まれた

最近の記事

恋と夕暮れ

西の空がピンク色に染まる。夏のてっぺんを超えた空は、日没の時刻がだんだんと早くなっているとはいえ、午後6時半を超えてやっと夕暮れがやってくる。駅前に停めた自転車に跨って家へ帰る。いつも通りの帰り道。よれよれのYシャツが日中の熱を含んで温く体にまとわりつく。Ipodのシャッフルが銀杏BOYZの恋は永遠をかけてくれる。夏の夕暮れみたいな曲。そう、まさにちょうど今みたいな曲。口ずさみながら賑やかな商店街を抜けると、途端に静かな住宅街が広がる。迷路のように入り組んだその道を、いつも通

    • レモン・ジンジャー・マーマレード

      絶望の中に迷った君を、ひとさじのレモンジンジャーマーマレードで救えたら。 “希望という感情は絶望の後にしか現れない”、読書中そんな一文に出会った時、あるバンドが思い浮かんだ。彼らはいつも絶望と希望の間を行ったり来たりしていた。神聖かまってちゃんというバンドだ。特に、「天使じゃ地上じゃちっそく死」と、「美ちなる方へ」というこの2曲の絶望と希望のコントラストがとても綺麗で印象に残っている。自作のPVの含めて、こんなにも切実でリアルで美しい芸術を私は知らない。 レモンと

      • 平成最後の7月6日にて

        「「平成最後の夏」そんなことを言われると何か特別な事をしなくてはいけない気持ちにかられる。たとえ平成が終わらなくたって、今までもこれからも夏は特別な季節なのだけれども。」 「今年の梅雨は呆気なく終わってしまった。夏の準備なんてなにひとつ終わってなかったのに。まだ蝉の声が聞こえてこないのに。突然やってきた猛暑の中、ただただ息をすることだけで必死の毎日。」 iPhoneのメモに残された行き場をなくした2つの文。日付は、1週間前の2018/07/01。その先が思い浮かば

        • AIとBIはいかに人間を変えるのか / 波頭亮

          AIとBIによって、未来はどのように変わっていくのか。AIとBIの持っている可能性を踏まえ、それによって社会や人々の生活、価値観がどのように変化していくのかを予測する。 分かりやすく、ポイントを網羅してあって、メリットだけでなく問題点についても言及してあり納得できる。素直に未来にワクワクできる内容だったし、友達にも勧めたい本。明確な三部構成に、各部のバランスも良く、ボリュームも結構あり、お得。こんなにたくさん教えてくれるんだ…!!すごい!!みたいな気持ちに。 iPhone

        恋と夕暮れ

          PERFECT DAY 04

          今月初めにプーケットに旅行に行った。約5年ぶりの海外旅行。最後に行ったのはハワイ。ハワイの"ハワイ感"の徹底振りにときめいた記憶を頼りに、他の国のリゾート地も見てみたいという事でプーケットへ。 オフシーズンだったこともあり、ビーチ沿いではなく山奥ののんびりと過ごせるホテルを選んだ。山の高台に建つホテルからは、向かいに山並みと、その先に海が少しだけ見えた。その風景が、子どもの頃に住んでいた湯河原の家から見える景色に似ていて、なんだか良くわからないけれど、ホームシックになってし

          PERFECT DAY 04

          神聖かまってちゃん10周年に寄せて

          午前4時半。風の音で目を覚ます。瞼を開けると、開いた窓から覗くピンク色に染まった空と目があった。しばらく見惚れていると、まだ完全に起きてない頭は夢の続きを探しているようだった。夢の中で、最近アップされた神聖かまってちゃんの「33歳の夏休み」を口ずさんでいたことを思い出して、朝焼けを見ながら彼らの曲を聴き返す。 少し目を離していた隙に、彼らは本当に"ポップロックバンド"になっていた。本当に素晴らしい事だし、目を離していた事を悔やむ。 神聖かまってちゃんとの出会いは19歳。2

          神聖かまってちゃん10周年に寄せて

          自由について考えてみる

          五月晴れの月曜日。雨に隠れてたけど、もう夏は来ていたみたい。夏の夜を味わいたくて、いつもよりゆっくり歩いて帰る。 「本当の自由を得るためにはルールが必要」と書いてあったのはどの本だったっけ。こんな夜道を歩くのにはなかなかいい題材を思いついたと思った。 自由にピアノを弾けるようになるには、ある程度の音楽のルールを身につけないと弾けないし、自由に泳げるようになるには正しい泳ぎ方を身につけないと泳げない。そんな具合に、自由はルールの上に成り立っている。 一方で、何の知識

          自由について考えてみる

          牡牛座に天王星がやって来て思うこと

          ここ2週間ほど、突然自分を見失って途方に暮れてしまっていた。 本当に、自分でもどうしたの?と思うほどに自信を無くしてしまって、全くどうしたもんかという感じだったのだけれど、どうやらちょうど私が悩みはじめた頃、先月の5月16日に、7年間かけて牡羊座を旅していた天王星が牡牛座に到着したらしい。こんな事を書くと、こじつけだよと私の心の中の理系が馬鹿にしてきて恥ずかしくなるのだけど、心の拠り所を自分で見つけられて自分で立ち上がれる事は、我ながら十分立派な事だと思う。 天王星が牡

          牡牛座に天王星がやって来て思うこと

          The Scent Of Peace / Bond No 9

          何故、香りは思い出をこんなにも鮮明に閉じ込めてしまうんだろうと思うことがしばしばある。 セントオブピースも例外ではない。 若い頃付き合っていた恋人にこの香水を選んで贈ったことがある。当時グレープ味のガムにはまっていた恋人はいつもグレープの香りをさせていた。元々、私自身が気に入ってつけていたセントオブピースが、そのグレープ味のガムの香りと重なったら可愛いだろうなと思って贈ることにした。いつでも平和主義な恋人にぴったりの香水だと思った。その恋人とはあんまり長くは続かなかった

          The Scent Of Peace / Bond No 9