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平成最後の7月6日にて

「「平成最後の夏」そんなことを言われると何か特別な事をしなくてはいけない気持ちにかられる。たとえ平成が終わらなくたって、今までもこれからも夏は特別な季節なのだけれども。」

「今年の梅雨は呆気なく終わってしまった。夏の準備なんてなにひとつ終わってなかったのに。まだ蝉の声が聞こえてこないのに。突然やってきた猛暑の中、ただただ息をすることだけで必死の毎日。」

iPhoneのメモに残された行き場をなくした2つの文。日付は、1週間前の2018/07/01。その先が思い浮かばずそのままにしていた2つのテーマの続きを、ニュースによって書き進められる事になるとは。

平成最後の夏、平成30年7月6日、梅雨空を突然思い出したかのような冷たい雨の降る中、オウム真理教元代表と元幹部ら計7名の死刑囚の死刑が執行された。この事件に関して、平成2年生まれの私には実体験としての記憶は何も残っていないけれど、まだ未解決な部分が残っているのにも関わらず、7人もが同日に次々と死刑執行されていく様は、明らかに異様だった。平成を終わらせにかかっているとでも言うような、とてつもなく大きな力が働いているようにしか思えなかった。その日は1日中無力感に心がざわついた。

西日本に大雨特別警報が出されたのは、その日の夜だった。この日記を書いている今も、救助活動が続いているし、死者の数も増えている。水に沈んだ街を写す空中写真やニュースは見ていられなくなって途中で消してしまった。何もできない自分と、自然に対する人間の無力さに息が詰まる。毎年被災地が増えていく日本で一体何ができるだろう。何が必要なんだろう。どうしたらいいんだろう。正直、東日本大地震の時は、まるで映画を見ているような感覚しか無かったけれど、今回は被災地についてかなり強く考えるキッカケとなった。そして、今までの災害に対する自分の関心と知識の乏しさに恥ずかしくなった。
雨は明日まで続く見込みらしい。心が苦しくなる。どうかどうか、これ以上被害が増えませんように。七夕の夜がこれ以上悲しい記憶にならないように。

#平成最後の夏
#梅雨明け
#エッセイ
#オウム真理教
#大雨特別警報

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