りんもくさん

長野県黒姫山麓で有機自然農を営む つちから世界を教えられ循環を知りました。 100年先…

りんもくさん

長野県黒姫山麓で有機自然農を営む つちから世界を教えられ循環を知りました。 100年先も歩み続けられる社会を望んでいます。

最近の記事

農民目線の給食費値上げ

学校から給食費の値上げをお願いする手紙が届きました。食材価格が上がっちゃったから、すんませんが給食費の値上げをお願いします。という切実な内容でした。暇だったからしっかりと読んでみました。 米1.72円、パン14.25円、麺17.55円の増加で、合計の日割りが5.10円の増、これに牛乳の増加分が9.22円、両方を足した主食分の合計額が14.28円の増加。副食分は、これまでの基準価に物価上昇分の108.70%をかけて17円の増。主食副食の合計が31.2円くらい増えます。なもんで

    • お米の値段、野菜の値段

      専業農家をしているので米と野菜は、ほぼ自給をしています。お店で買わないから関係はないのだけれどネットニュースなどで『野菜価格高騰』等の見出しがあればよく読みます。ここ数年は特に野菜価格が乱高下している印象です。どうして、それだけ乱高下してしまうのか?を、農家目線で考えてみます。 下落を続けるお米の値段 昭和40年代、米の値段は30kgで10,000円くらいでした。当時の初任給は7万円くらい。グッと時代が下がって50年後の令和でも米の値段は30kgで10,000円くらいです

      • 米抜き塩抜き

        コメ抜き 世間では『米=太る』そんなイメージがあります。専業農家をしている僕からすると???な主張なのですが『米のデンプンが糖に変わって、カロリーがうんたらかんたら』なんて言われたりして、コメ抜きダイエットなんかが流行っていたりしています。今の日本人は、年間一人あたり平均で50kgくらいのお米を食べていて、この平均値は昭和37年の118kgをピークにして以降、一貫して右肩下がりを続けています。 一方コメを経済の中心にしていた江戸時代では、一石≒180㍑≒1000合≒150

        • ぼくの農業では、10人くらいしか生きられない

          30分の1  我が家の田んぼでは、毎年1500㌔くらいのお米が穫れます。耕作面積は4反弱(4000㎡弱)で、だいたいそれくらいになります。他方あたりを見回すと慣行栽培の専業米農家さんは、だいたいひとりで10町歩(1町歩=10反=10,000㎥)くらいを作付けしていて、(平均反収が7俵として)年間でだいたい42,000㎏=42㌧くらいを育てています。ざっと、まぁ、ぼくの30倍くらいを生産しているわけです。おなじ専業の農家なのに、僕は彼らの30分の1くらいしかお米を育てられてい

        農民目線の給食費値上げ

          腐海の蟲と畑の害虫

          田畑で作物を育てるときに、なぜ、農薬が必要になるのか?というと、病気や害虫の発生を抑制したいからです。じゃあ、どうして?畑や田んぼでは、病気や害虫が発生するのだろうか?その根っこの部分の私的考察。 野原の草と山の木々 野原の草に虫が大発生して、食べつくされている場面に出くわしたことはあるでしょうか?森の木々に病気が蔓延して、全滅してしまっている山を見たことはあるでしょうか?たぶん、あまりないハズです。松喰虫にやられて立ち枯れてしまった松林は、ときどき見かけない事もないです

          腐海の蟲と畑の害虫

          オーガニック原理主義

          有機農家をしていると毎年いろんなお客さんや来訪者に出会います。サラリーマンだったら会えなかったはずの人に出会える、有機農家をしてるご褒美のひとつかも知れません。経営の方は、農園主のぼくが、現代社会にまったくついて行けていないのでSNSを活用することができず、現代の利器をスマートに活用して、お客さんの関心を惹いて、たくさん集客をしている同業者を横目に見ながら恨まやしいと指を咥えている毎日です。しょっぱい農家です。 原理主義なお客さん ウチのお客さんのほとんどは、お客さんから

          オーガニック原理主義

          恋と農業 光と水と風と循環

          ド素人農家 大抵の農家は、作物をどうしたらたくさん収穫できるか、とか、甘くて美味しくできるか?とか、病虫害を防げるか なんて事を考えながら農業をしています。その為に、圃場(田畑)の土壌診断をして、作物毎の窒素やカリやリン酸がどれくらい必要か?足りないモノをどれだけ補充するか、と考えています。もっとぶっちゃけると田畑の状態は、ほぼ気にもせず、農協や普及所が作った施肥基準を元に、均一的に田畑へ投入する肥料量を決めている農家さんも結構います。考える前に使う事が当たり前と疑問にも思

          恋と農業 光と水と風と循環

          雪国の太陽光発電

          圃場(田畑)の多様性を大切にして、そのお陰で百姓を続けられている。だから、自分とは異なる考え方の人に対しても、なるべく許容したいと思っています。普段えらそーに多様性を謳っているのに、他人の考えを認めない、人間の多様性は否定しちゃう、ソレは恰好悪いと思っています。 自分の方が正しい、自分色に染めたい、と押しつけちゃうから圃場はバランスを崩し作物はやる気をなくします。これまで骨身に沁みて、経験してきた。自己満足の為に相手を変えようとしちゃダメ。きっと人に対してもおなじ。 かと

          雪国の太陽光発電

          恋と農業 多様性と農薬

          お米や野菜たちが元気で健やかに育ってゆくためには圃場(田畑のこと)の多様性が欠かせません。自然も作物も安定した環境を好み、急激な変化を嫌います。環境を安定させるためには、多種多様な命の助けが必要になってゆきます。今回は、そんな話を書いてみたい、と思いましたが...頭が微妙なうえに専門知識もないために説明が難しいです。う~んと唸ってから早々に諦めて、例え話に切り替えて進めていきます。諦めるの早! わかり易く単純で深みのない説明 例えば、100の容量がある場所に10種類の命が

          恋と農業 多様性と農薬

          恋と農業 車輪の方軸

          世の中には農業指南書が溢れかえっている。僕もときどき読む。 そこには肥料のつくり方とか配分の仕方、土壌状態の判別方法とか育苗のやり方、植えつけ方法から農薬の代わりになる嫌避剤の製造法、使用法など、ありとあらゆる事が書かれていて、とても勉強になる。 先人たちの役に立つ知識や技術がたくさん載っていて、その理論的なアプローチは、凝り固まったおっさんの脳みそのなかでも理解しやすくて、とてもありがたい。理論を知ることは、感覚の再確認にもなる。 でも、それらは車輪の方軸でしかないんじ

          恋と農業 車輪の方軸

          百姓直伝 家庭菜園の奥義?

          専業農家8年目 農家なのだから当たり前と思われるかも知れないけれど、これまでの7年間お米と野菜を育て、販売しながら生きてきました。少し前までは、ずぶの素人だったのに!人間って、すごいね! 農業スタイルは、俗に有機栽培とか自然農と呼ばれるものに近い。 なぜ言い切らない(言い切れない)のか?と言うと、有機JAS認証を受けてもいなければ自然農の定義やルール?をしっかりと理解してもいないから 細かな部分は、よく判らない。し、正直 形はどうでもいいと思っている。だけども7年間 自

          百姓直伝 家庭菜園の奥義?

          農業技術 中洞牧場さんの本を読んで考えたこと

          岩手県で自然酪農を営まれている中洞牧場さん著の『幸せな牛からおいしい牛乳』って本を読みました。テレビや雑誌などでよく取り上げられている農場なので、その名前を見聞きした方も多いと思います。 自然酪農とは、広大な山をそのままのかたちで切り拓いた牧場で昼夜、四季を問わずに牛を放牧する酪農スタイルになります。牛は誰に指示される訳でもなく、搾乳の時間になると勝手に山から下りてくる。野山に放牧された牛たちは自然に交配をし、自然に分娩と哺乳を行う。牛の生きるちからを信じた酪農です。 著

          農業技術 中洞牧場さんの本を読んで考えたこと

          アフリカ positiveに諦める

          有機農家になる前の18歳から30歳まで国内外をフラフラと漂っていました。自分探しの旅なんて格好良い話じゃなくて、むしろ真逆の自分を直視しないための旅を繰り返していました。目的意識もなく、全力でナニかから逃走する流浪の日々。drifter 19歳の春に旅先の沖縄からなんとなくの流れでアジアを放浪し、その後も根無し草のようにフラフラと気の向くままにいろんな国を訪れました。正直、20代半ばまでの前半部分の旅は、スタンプラリーみたいな意味のないものでガイドブックを読んでガイドブック

          アフリカ positiveに諦める

          自然ってなんだ?

          自給自足に憧れてはじまったぼくの農業。気がつけば10数年飽きもせず、農業を楽しんで土をいじり続けている。資本主義はその構造上 拡大し膨張を続けることがしあわせの前提条件になっているから今日よりも明日、明日よりも明後日と永遠に膨らみ続けなければ皆がしあわせになれないシステムです。ぼくらの住んでいる地球が無限の星であるならば、その構造でも問題は無いかもしれない。でも、そうではない。限りのある星で無限を求め続ける矛盾、その歪みがいつか表面化して取り繕うことができなくなる日が来ること

          自然ってなんだ?

          循環する田んぼ

          自給自足に憧れて借家の前の空き地を開墾していた頃から10数年、今年も稲刈りの季節になりました。たわわに実った稲穂が風に揺れて、黄金の海原のよう。しなやかに力強くうつくしい。 一条刈りバインダーで稲を刈り、一束ずつ拾い上げ、はざかけ棒にかける。刈り取って、拾い上げ、かける。黙々と淡々とおんなじ作業を繰り返す。農業は足し算と引き算の世界、掛け算も割り算もない。流した汗とおなじ分だけ喜びと充足を与えてくれる。刈り取って、拾い上げ、かける。単純作業の繰り返し瞑想みたいな仕事に疲れて

          循環する田んぼ