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農民目線の給食費値上げ

学校から給食費の値上げをお願いする手紙が届きました。食材価格が上がっちゃったから、すんませんが給食費の値上げをお願いします。という切実な内容でした。暇だったからしっかりと読んでみました。

米1.72円、パン14.25円、麺17.55円の増加で、合計の日割りが5.10円の増、これに牛乳の増加分が9.22円、両方を足した主食分の合計額が14.28円の増加。副食分は、これまでの基準価に物価上昇分の108.70%をかけて17円の増。主食副食の合計が31.2円くらい増えます。なもんで給食費30円の値上げをお願いできますか。

要約するとこんな内容でした。丁寧でわかりやすい計算式です。でも、農家目線で読むと結構やばい内容です。

国産のお米は1.7円しか上がっていないのに、輸入に頼ってる小麦は14.2円とか17.5円あがってます。で、牛さんのお乳も値上げしてます。食べてるもんのほとんど外国産の穀物飼料やからしょうがないです。しかし、なんで牛乳が主食扱いなんでしょうか?学校で子牛を飼っているんでしょうか?発電原価計算の揚水発電とおなじカラクリですか?牛乳じゃなくて、飼料を買わせたかったんじゃないですか?

子牛を飼っていないのなら牛乳はやめて、ついでに週一回のパンと月一回の麺もやめたらいいんです。主食はお米だけにしたら食費はずいぶん安くなります。単調な食事で子供たちがかわいそう?僕もそう思います。でも米農家さんのほうがもっとかわいそうです。

世の中の物価がどんどん上がっているのに米・農産物だけが取り残されています。販売ルートが別の有機農家をしている門外漢の僕が言うのもなんですが、慣行の米専業農家さんは、もう随分前からギリギリの薄利多売でやっています。限界でやっているところに肥料も農薬も燃料も資材も全部値あがって、これ以上どこを削ればいいのでしょうか?いちばん安定した自国産の主食を育ててくれているのに少しずつ窒息をさせられてゆく農家がどれだけいるか。

自給率30%台の日本の農業。国も農水省もパンがなければ米を食えばいいとおもっているのかなぁ?お偉方が別の揚力で推進した畜産や粉食が成り立たなくなる時代を想像できていたのか?その自給率30%台すらも輸入原料や輸入燃料に頼り切ったうえで成り立っています。それが高騰したらどうなる?買えなくなったらどうなる?農民はもはや風前の灯火です。農民が倒れたら、つぎは消費者の番です。

安いがいちばん大事とみんなで農民を苛め抜いてきた。その結果が国外の事情で簡単に左右される不安定な日本の胃袋になってしまった。生きる基本をおろそかにするから、こうなっている。農産物はボタン一つで簡単に増産はできません。

諫早湾の開門訴訟で高裁が出した開門命令を無効化する最高裁の判決がでました。国民の大多数にとって『正しいか正しくないか』ではなく、推進した側のメンツと意志を最高裁は支持しました。SDGs?持続可能な社会?真逆を走る国と利益の享受者が強欲の為に巨費をかけて干潟を潰し、自然を破壊して嘘に嘘を塗り重ね、更に錬金術を駆使しようとしている。司法もそれをはっきりと支持・追認しました。日本中そんな事案だらけです。人よりもお金が大切ですって、意思表示をしました。こうなるまで他人事と反意を示さなかった僕もおなじ舟に乗ってます。徐々に窒息をさせられてゆく世界で嘘も覆い隠せなくなってきました。本番はこれからです。




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