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どん兵衛の美味しさだけを何度も忘れたい

 雷が鳴っている。雷をこわがることがあざといみたいな風潮があるけれど、けっこう犬寄りの感覚で本当に怖い。犬より涼しい顔をしているけれど、内心書き順を間違えたスヌーピーみたいな顔でうずくまっている。たぶん、みんなそう。だって怖い。あんなにびかっと光って、それが時間差で爆音と共に落ちてくる。そう言いつつ、今どん兵衛を食べていますけれど。

 喉元過ぎれば熱さを忘れるって諺あるけれど、熱さをかんじるための人生なのかと思ったり。わざと熱くなりにいく人が多すぎてたまにそう思う。できれば私は熱さも眩さもオブラートに包んで飲み下して、どん兵衛の美味しさだけを何度も忘れたい。忘れて、求めたい。ああいう食べ物はかたまった美味しさがあって、その美味しさが楽しさと直結しないところがいい。

 夏は夜が長い。夜をのばしたがるからだ。ひたひたの天ぷらを箸ですくって、来月の電気代が恐ろしくなるほどガンガンにクーラーをいれた。


23.0719

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