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車椅子おばあちゃんのひとり旅?その3

東京駅を出発し、新横浜駅に停車すると、
新たな参加者の方達が乗車されてきました
5組9名+添乗員さんのご一行様になりました。

私の隣の席にも一人の年配の女性が座られました
「はじめまして」
「よろしくおねがいします」彼女もおひとり様参加の方でした。
わたしのようにリュックだけの荷物で身軽な感じです。
ちょっと歩くのが大変そうでしたが、車椅子は使っていらっしゃいませんでした。

新幹線が動き出しました。
目的の新神戸駅まで2時間余りの乗車時間、
はじめましての旅の仲間に私はちょっぴり緊張しています。

添乗員さんが一人一人に声をかけながら回っていらっしゃいます。
「ご紹介しますね、こちらは○○さんです。お一人で参加されていますのでお話ができればと、お隣の席にさせていただきました」
とのことで、ご紹介していただき、私たちはすぐにおしゃべりを始めました。お昼には駅弁が配られ、ますます旅気分が盛り上がります。
彼女は、障害になられた経緯や、今まで旅行されたいろいろな場所のお話などをたくさん聞かせてくださいました。
でも、なんだかあまり楽しそうではありません。
交通事故で何日も生死の境をさまよったあと、何度も何度もつらい手術を受けてやっと今のように旅行ができる状態にまで回復されたのですが、障害が残ってしまったそうです。幸い相手の方はきちんと保険に入っていられて保証は十分に受けられたとのことです。

「それで、お金はたくさんあるからあちこちに旅行三昧なの」

ちょっと、皮肉っぽい感じで笑って言いました。お金がいくらあっても、心は治療ができず、満たされていないのでしょうか、なんとなくさみしそうな笑顔でした。

本当に、世の中にはいろいろな物語があるのだと、まるでドラマや映画のような人生を生きてこられた方がいらっしゃるのだとおもいました。
出来るなら、参加されている方皆さんのお話をきかせていただきたいほどでした。2泊3日の旅の間に何人かの方とお話ができて、その方達の物語をちょっぴりのぞかせて頂けたことが旅の大きな収穫です。
それにしても、自分が生きてきた世界がなんて狭いのだろうと
あらためて気づかされた経験でした。

あっという間に新神戸駅に到着です。
とても良いお天気に恵まれて、駅を出る私たちを待っていてくれたのは
リフト付きの豪華な大型観光バスでした。
バスガイドさんまでいらして「ようこそ、こんにちは」と笑顔でむかえてくださいます。

「こんにちは!」
「よろしくおねがいします!」

手際よく、次から次へとリフトを使って車いすのままバスの中へ乗り込んでいきます。
普通のツアーは観光バスに一人で乗り込めないのでいつもあきらめていましたが、電動リフトで楽々車いすのまま載せて頂き大感激です。

さあ、これから「明石海峡大橋」を通って淡路島へ渡ります。
バスガイドさんの軽快な案内とすてきな歌声が響く中、私たちを乗せたバスは高速道路を快調に走ります。

バスの窓の外に瀬戸内海が広がりました

「うわ~、きれい・・・」

初めての一人旅。
言葉にならない何とも言えない感動に胸がいっぱいになりました。
一人なので何か話さなくちゃとか、話しかけられたりとかがなくて
思いっきり自分の世界に浸れます。
なんという解放感!

思い切り幸せな旅の始まりに
感謝感激の車椅子おばあちゃんです。

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