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日本が世界に誇る最新鋭主力大型ロケット「H3ロケット」の全てがわかる!スペックから打ち上げ成功への軌跡まで!!

JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)は2024年2月17日、次期主力大型ロケット「H3ロケット」の試験機2号機の打ち上げに成功したと発表しました。

JAXAは2014年からH3ロケットの開発を進めてきましたが、2023年3月7日、試験機1号機の打ち上げに失敗しています。しかし、その後、原因を究明し、対策を実施。ついに今回の試験機2号機の打ち上げに成功しました。

今回は、このH3ロケットについて、スペック、開発のコンセプト、打ち上げ成功までの経緯などについて解りやすく解説したいと思います!

まずH3ロケットのスペックを解説!


H3ロケットの全長は約63mにもなります。ほぼ21階建てのマンションに匹敵します。ビックリ!

まるでタワマンですよね。ちなみに筆者が住む熊本では田舎なのでなんと10階建て以上のマンションをタワマンと呼びます。こっちもビックリです!

直径は約5.2m、重量(全備重量)は約575tになります。

静止軌道に2~7tの衛星を乗せることができます。

日本が世界に誇る主力大型ロケットH3ロケットのプレミアムカラーイラスト。JAXAの画像は勝手に使うと怒られるので筆者が2時間かけて自作!©飯銅画伯。この画像についてはクレジット表記「©飯銅画伯」を入れていただければご自由に使用されてかまいません!連絡不要です!!

H3ロケットは、衛星フェアリング(3)、第1段ロケット(1)、第2段ロケット(2)、固体ロケットブースター(4)などから構成されています。

まず衛星フェアリングは打ち上げのときに衛星を保護するためのカバーでH3ロケットの先端にあります。その下に第2段ロケット、第1段ロケットと続きます。

第1段ロケットには液体燃料エンジン「LE-9」、第2段ロケットには液体燃料エンジン「LE-5B-3」が搭載されています。

ただ、液体燃料エンジンは制御しやすい反面比較的に推進力が弱いため、推進力が比較的に強い固体燃料エンジンで推進力を補う必要がある場合があります。そこで使われるのが固体燃料エンジンを搭載した固体ロケットブースターです。

H3ロケットでは、固体燃料エンジン「SRB-3」を搭載した固体ロケットブースターはオプションになっていてつけることもできれば、つけないこともできます。

H3ロケットの開発コンセプト

H3ロケットは①経済性②柔軟性③信頼性の3つをコンセプトに開発されました。

まず、経済性について、H3ロケットの生産では、民生部品の活用、ライン生産の活用、点検の自動化、部品のモジュール化などによって、本体価格をこれまでの約半分にすることに成功しました。たとえば、H3ロケットでは、電子部品の約9割に自動車用部品が使われています。なお、モジュール化とは、部品を機能ごとにまとめてユニット化することで設計の効率化や生産の効率化を図る手法をいいます。

次に、柔軟性について、H3ロケットでは、さまざまなオプションを用意することで、性能・価格を柔軟に設定できるようになっています。たとえば、衛星フェアリングはSサイズとLサイズの2つから選べますし、固体ロケットブースターも0本、2本、4本から選べます。そしてなんと第1段ロケットの液体燃料エンジンLE-9(メインエンジン)まで2基と3基から選べます!至れり尽くせり!!

最後は信頼性です。これまでJAXAは「H2-A」では41号機まで打ち上げて成功率97.6%、「H2-B」では8回打ち上げて成功率100%です。この信頼性の高さはH3ロケットの運用においても生かされていくことになります。

JAXAでは、これらに加えて、ライン生産などによる納期短縮なども鋭意図り、年間6機の生産体制を実現。世界の民間衛星打ち上げ市場にガンガン食い込んでいきたいとしています。

2023年3月7日の打ち上げ失敗から2024年2月17日の打ち上げ成功まで

それでは最後にH3ロケットの2023年3月7日の打ち上げ失敗から2024年2月17日の打ち上げ成功までを時系列にそってみていきましょう!

JAXAは、2023年3月7日、H3ロケット試験機1号機の打ち上げに失敗しています。成功の見込みがなくなったため、自爆命令を送りました。このとき、積載していた先進光学衛星「だいち3号」も同時に失われました。

その後、JAXAでは、対策本部を設置し、原因の究明にあたりました。その結果、打ち上げ失敗の原因が、電気系統の故障により第2段ロケットのエンジンに着火しなかったことにあることを突き止めました。

そこで、絶縁性を強化したり、検査を強化するなどの対策を実施。

そして、ついに、2024年2月17日、H3ロケット試験機2号機の打ち上げに成功しました。

なお、JAXAは、2024年7月1日、H3ロケット3号機を使って、先進レーダ衛星「だいち4号」の打ち上げに成功し、「だいち3号」のリベンジを果たしています。

ちなみにだいち4号はレーダを使って地球を観測することになっています。電波を使って、地殻変動、地球環境の変化、災害の状況、海洋などを観測します。

まとめ

宇宙開発関連産業における調査で世界的に定評があるアメリカのBryce Techの「2022 Global Space Economy at a Glance」によれば、全世界における宇宙開発関連産業の経済規模は約54兆円に達するといいます。

また、アメリカ金融大手モルガン・スタンレーの予測によれば、宇宙開発関連産業の経済規模は2040年までに140兆円に達すると予測されています。

このように将来的に大きな成長が見込まれる宇宙開発関連産業に日本も官民一体となって食い込んでいく必要があると思われます。

H3ロケットはその切り込み隊長となることが期待されています!

【参考URL】

https://fanfun.jaxa.jp/countdown/h3/files/h3_factbook.pdf
https://www.rocket.jaxa.jp/rocket/h3/index.html
https://www.rocket.jaxa.jp/rocket/h3/outline.html
https://www.rocket.jaxa.jp/rocket/h3/system.html
https://www.jaxa.jp/press/2023/03/20230307-1_j.html
https://www.jaxa.jp/press/2024/02/20240217-1_j.html
https://www.jaxa.jp/hq-disclosure/h3-tf1/files/H3-tf1_report_01.pdf
https://www.jaxa.jp/press/2024/02/20240217-1_j.html
https://www.satnavi.jaxa.jp/ja/project/alos-4/index.html
https://www.jaxa.jp/press/2024/07/20240701-1_j.html
https://www.prnewswire.com/news-releases/bryce-space-and-technology-announces-name-change-to-brycetech-301237516.html
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/space_industry/pdf/001_05_00.pdf


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