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しってるの

わたしが、朝日を浴びながらじつは君を考えていること。
わたしが、帰りみち公園に寄り道したこと。
わたしが、そこで涙を拭って、水道で顔を洗って、水滴が夕闇に消えていったこと。
わたしが、家族の前では絶対に弱音を吐かないこと。
わたしが、何を言われても笑っていること。
わたしが、悲劇のヒロインぶってしまうこと。

ひとまえで涙を見せないこと。
そうしようとしてしまうこと。
人のことは痛いほどわかるのに、
自分のことだけはよく分からなくて
わかってしまいたくもないこと。

言葉だけじゃ表せないなにかで苦しんでること。
だけど言葉にしないとなにも解決できないということがわかること。
矛盾の中で潔癖なわたしはそれを許せないこと。変な正義感で本当の正義すらもどうでもいいこと。
どうでもいいことばかり気になって、
わたしの周りの人はどうでもいいのかもしれないということ。
それと同じかそれよりも、自分を守れないこと。

なにかをつかみたくてすがりたくて依存したいのに
何にも属したくないし、
人にやさしくしたいとか言う割に人の気持ちがよくわからんし、
もう全部気になるのにすぐ忘れるし、
それなのに捨てた記憶がふとわたしを横切るし


わたしはそういうわたしだっていうこと、
わたしとおなじようにあなたも、
そうなんだっていう、 
その一欠片の安心感と一粒の落胆。


わたしはわたしだけじゃないんだ、っていう
妙な納得と相容れない反発と…。



人が死ぬような冗談も昨日にはなんにも思ってなかった現実論も、
今日になれば、泣いちゃうのなんでだろう。


悟りたいのに、悟られないように必死なのはおかしい。本心は沈めて決して表に出さず。


いいひとでいたいのに、そうはできないことはもうわかっている。


正しいものを見つけたいけど、何も否定したくなくて、わたし、何してんだろう。


意志をくみ取ってもらわないといらいらするくせに、顔色を伺われるのはもっといらいらするんだなー。


可哀想な振りを演じて感傷に浸りたいのに、
「可哀想」と憐れるのは、なんか違う、ってなるんだよ。



わたしはもうしっているんだ。「しかたない」っていう呪文と、大抵の事は勢いと時間の経過によって終わっていくということを。
なのに、いつまで経っても、どうしたら、それをそうできるんだか、本当にわからないんだ。


アリみたいに窮屈な脳が段々としぼんでいく。
ゾウのごとく一丁前なプライドが徐々に膨らんでいく。


確かにそうだ、
切なさの中に美しさがあって、字足らずの中に歌があって。

生と死は表裏一体、バカと天才は紙一重、だとかさあ。


だけどもっと。
だけどもっと、知りたいよ。
あの子が見せた涙の理由、
明るい彼女が零した弱音、
不思議な同級生の秘密、
人がいちばん生まれる時間、
過去の悪党の正義。

ナイチンゲールの恋も
クレオパトラの欲しかったものも
アインシュタインの失敗も。 
それだって、ぜんぶ、ぜんぶ。
何もかも知ってから人生スタートしたいよ。

ほしいよ、ほしい。


手を見て、血管が見えて、自分に悔しくって、もう、うるさい。
気持ち悪いくらいわたしは生きようとしていて、もう、嫌になった。

わたし、おかしいから、今は、何も考えたくないんだ。

きっと誰かは言うでしょう。
優しすぎるんだよ、いい人だからだよ。と。
わたしもそう思いたいんだ。この患いは、GIFTだということ。
だけど。
実のところ、
ただ恐いんです。
わたしは怖いだけだ。
間違う勇気がないだけだ。



人を愛するのもおっかなくてできない。
結局のところ虚しくて、人は一人で生まれて一人で死ぬ、誰しもがみんな自分の幸福を祈っている、何にもおかしくはなくて、あたりまえだから、なんにも悪くはないんだ。
だけどそれはつまり、わたしもだれかも、人間は、守ったり愛したりできる、なのに、裏切ることも出来るし、置いてけぼりにだって出来る。

いとも簡単に離れ離れになっちゃうんだ、
たった一つの感情だけで直ぐに人を傷つけもできる。

わたしはその二面性が怖いっていっているんだ。

わたし、今の所、そういう思いは挑戦したことがないから、分からない。だから何を言ってるんだと鼻で笑っちゃう。だけど、周りの人のそういうものを見ているともう無理だと学習してしまう。
みんなが乗り越えているあいだもわたしは望んで取り残されている。


信じているものがあっという間にこぼれ落ちて残像になって、歯がゆい痛みと捉えようのない後悔だけが残るのが嫌なんだ。


恋だとか憧れだとか大嫌い。

人を好きになるのは罪だ、と言うのは、間違いですか?
ないものねだりとか言われるだろうけど…。
付き合うということは、相手に鎖をかけるということですか?
もう恋をしている人全員が敵に思えます。

きっとこう思っているうちはまともな恋なんか出来やしない。

全てを破棄する宣言。もうやーめた。


わたしはこうやって、
このとめどない思考の渦を
文字で飾り付けて、あるひとつの芸術作品にするほかないんだ。
そうすればまだ綺麗でいられるから。

頭が痛くて足が重くて、
もう何も考えたくなかった。



そんな日だった。 


そういう日もあったってだけだから。
それだけだから。

これはこれで、もう終わり。






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