この布石は、「第3巻」から始まっていた?|私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!|第14巻
「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」の最新14巻が面白過ぎたので、感極まってAmazonに長文レビューを載せてしまった。以下に恥を晒す。
「修学旅行」を境に路線変更したという感想をよく目にするが、私は第3巻で生徒会長のめぐちゃんを登場させたときから、その布石は始まっていたと勝手に思っている。それまでは第2巻の巻末で作者が「干されているはずだった」と吐露しているように、ぼっち陰キャちんちんギャグ路線では限界が見えていたので、めぐちゃんを登場させ、早々に着ぐるみ越しながらも黒木を抱きしめたんだと思う。少しずつ黒木を無視できない気に掛ける人たちが登場することを暗示して。それが修学旅行という「強制コミュニケーション」で実り咲いた結果、この爆発した面白さではないだろうか。元々黒木のキャラは良くも悪くも無視できない強烈な設定なので、仮にリアル世界でも強制的に絡めば黒木みたいなのをヤベエ奴か面白い奴かで周囲が判断することは必至で、修学旅行を契機に黒木の生活に変化が生じるのは至極自然に感じる。ただ、未だに、黒木は決してリア充ではないと思っている。リア充のクソ嫌なところは、友だちぶって実は「面白いオモチャ」扱いしてくるところだ。ネモや加藤明日香はまさにその範疇の行動に見える。黒木が最近若干大人しいのは、その見定めの意味もあって戸惑いの中にまだ居るからだと思う。ゆりちゃんに対してはお互いに同族の意識があり黒木が思うように卒業しても切れない関係になったと思うが、ネモや加藤明日香はまだ信用できない。周囲は黒木に優しいのではなく、面白い特異なオモチャの段階だ。だからリア充になってつまらなくなったのではなくて、正しくはリア充たちを値踏みしている黒木がより一層面白い展開だろう。そして「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」の表題を実証するステップに進んでいる。黒木は絡めば面白いイカれた女で、黒木が変化したのではなく、周囲が見事に黒木に興味を持ち始めたこの展開は、「どう考えても今まで見向きもしなかったお前らが悪い!」わけで、もっと早くから黒木と仲良くすれば良かったなんて後悔する奴が出てくればそれこそ小気味良い。
生まれ持った根の性格なんて絶対に革命できないのだから、この漫画に求めるのは、基本はぼっち陰キャの黒木がどうやってこの社会を生き抜いていくかの奮闘を見続けさせてもらうこと。今は黒木に興味を持ったリア充に戸惑っているだけで、黒木がこのままリア充グループに収まることはないはずだ。ただ免疫的に普通に会話を交わせる程度に成長するだけで、尊い出会いながらも黒木自身の本来の性質は変わらないだろう。だからこそ、高校卒業後は、大学、バイト、就職など、描き続けるネタは多いのではないだろうか。基本はぼっち陰キャの黒木、バイト先での奮闘、就職先でのイザコザ、どうやって黒木は克服するのか、落とし所とするのか、ずっとずっと読んでいたい。それは少なくとも、同じ境遇で生きてきた私を含めた読者たちに勇気を与えていると思うからだ。
ところで、本巻のことで、加藤明日香が最高に好きなキャラになった。加藤明日香への「マリアさま(おかあさん)」という絶賛は私も同感で、もし学生時代に同級生だったら底なし沼くらいこの女にハマると思うのだが、反面、やはりこれも同じで彼女が眩しすぎて自分を必要以上に卑下してしまうだろう。黒木は明日香の好意は正直に心から有り難いと思っているはずだが絶対に同じ目線には並べない、それはおそらく「本当の友だち」にはなれない間柄だ。笑ってゲスを受け入れてくれる聖母だとしても、気を使うことを回避できず、この先も無意識に明日香を傷つけてしまって、黒木は狂っているだけで根は優しいから、最終的には悲しくもお互いを想って明日香を避けるようになる展開もあるんじゃないか。好きで憧れるからこそ、眩しすぎて避ける。このままホステスにデレデレする感じを続けられるだろうか。そこまでの図太さと無神経さは黒木にはないと思う。明日香には確かに全てを貢ぎたい。
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