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午前5時50分『2023.10.10』
「飲みの為に連勤頑張ってくるわー」
前職の同期から朝5:50に連絡があった。
「起きるの早いね、頑張って〜」
「今日は早めに出社しろってさ笑 ありがと」
連絡をくれたのは、私と同じく研修先とは違う部署に異動になった唯一の同期だ。
私は異動先は上手くいかなかったけれど、彼は異動先でメキメキと働いているらしい。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
明日、同期で飲み会がある。
「○日参加する?」
私が辞めてすぐ、彼から連絡があった。
私と、彼と、辞める上司の送別会の連絡だった。
「行かないよ。気まずいし」
半年間同じ部署でお世話になって、別部署配属ですぐに辞めた。
気まずくて、とてもじゃないけど参加出来ない。
私よりも何十年もベテランの社員様がいる中で、見せる顔はどこを探しても見つからない。
「そっか。じゃあ同期会開く?そっちで楽しもうぜ」
彼はアルコールをこよなく愛し、愛されている。私と彼と、もう一人の同期の女子は、圧倒的にアルコールに強かった。
しかし、彼が計画して飲み会を開催することは珍しくて驚いた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
彼はまだ薄暗い、朝5:50に起きて出掛けて行く。その前に私に返信をした。
私が同じ早さで返信が出来たのは、
まだ薄暗い、朝5:50に眠りにつこうとしていたからだ。
つい数日前まで、同じ会社で、同じ部署で働いていた彼と私。
[仕事]という柵からぬるっと抜けた私は、彼がいる世界とは程遠い場所に来てしまったみたいで、返信の手が少し止まった。
決して後悔ではない。
住む世界が変わっていくとは、こういうことなのだろうかと感じただけだ。
でも元々、大学も、高校も、出身地だって違う。
性別、家族構成、好きな食べ物も違う。
ただ一緒だったのは、働く場所だけだ。
そして、半年だけだ。
なのに、世界が一変した気持ちになったのは、それだけ同期という存在に支えられて来たからだろう。
上司が誰も来ず、早朝二人だけでやった作業も、連携プレーでやり遂げた仕事も、二人で編み出した暇潰しの方法も、私にとって大切な宝物だったのだろう。
今になって、同期が同期で良かったと思わされる。
私は柵から抜けてしまったから、もう仕事上で彼と関わることは無い。
彼と私は、違う道を歩んでいく。
決して後悔ではない。
後悔ではないし、迷いもない。
ただ、新たな道で立ち止まった時、
別ルートがたくさんある道で迷った時は、
またあの日々を思い出そう。
何があっても、何度も同期達で乗り越えたあの日々を。
明日、同期達を目に焼き付けて、
会うのは終わりにしよう。
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