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2020年8月の記事一覧

売れない歌

ワルシャワでワルツを
眺めてる夢を見た夜に
毛皮を買い付けるザネリ
外は凍れて凍えそうな
表情に変わり待ち受ける
そんな事を歌にしても
誰も見向きやしないだろう
他に出来る事が無い僕は
売れない歌を書き続けた
今日も明日もその次も

スターティングフルード

曇りがかった
内面は見ないで
そうすれば当分は
上手くやれるから
弾け飛びそうな
心など保てず
僕は沈んで逝く
アスファルトの海に

心ちぎりて

ライターの中から
取り出した鳩では
世界を平和に
出来やしなかった
心ちぎりて
埋め尽くしても
それは空になり
満たされやしない
いつの世も人は
純粋に孤独なのだから

素知らぬ空

踵が減ったブーツで
ニンジャに乗る不良
単車が好きなんじゃない
ニンジャが好きなのさ
そう言って笑った
素知らぬ空の下で
誰もが変わっても
彼は其の儘なんだろう
僕はそんな気がして
少し嬉しくなったんだ

スズラン

咲き狂うまで
待てないと言って
貴方は笑った
子供みたいに
スズランは
好きじゃないと
言えずに僕は
遠くを眺め
さよならをした
無垢な貴方に

感動

安い言葉で
感動させて
少しだけ
騙されたい
其れが
嘘だと
明らかに
分かっても

ノイズ

目に見えない雑音が
夜と朝を越えて
弱い體を蝕んで逝く
傘の無い街には
幸せな振りをした
心無き人達が溢れ
それぞれの幸せを貪る
雑音から耳を伏せて

砕け散る心

貴方の心が
跡形も無く
砕け散る様に
僕は祈った
手を合わせて
星の無い夜は
少し危険で
とても綺麗さ
真夜中の
サーカスみたいだ

スロヴァキア

耐えられない痛みが
體に走り続けて
貴方は変わって逝く
それをただ眺めている
私は何も感じられず
酷く悲しい振りをして
今日から目を伏せる
いつの日にか見た
スロヴァキアの
国立放送交響楽団を
また眺める事すら叶わず
貴方は夜に祈って消えた

マテリアル

混ざり合う材料に
隠した本音は見えず
出来てしまっても
君は嘆かないだろう
その横顔が素敵で
何も言わず別れた
過ぎ去り逝く真夏に

絡まる棘

始まりの海へ向かう男
約束を破ってしまう女
忘れてしまった何かは
二人を待つ事など無く
朽ち果てて消えたんだ
淫らな棘に絡まる様に

early today

思い出が大切ならば
胸にしまって置こうか
此処からはきっと何も
残らずに消えるから
素敵な言葉を並べても
其れは唯の決まり事
だから言うよ何度でも
思い出が美しいなら
胸の奥で眠らせようぜ
さよならを隠した儘
僕は逝くその向こうへ
誰よりも早くにさ

B・B・B

白け飛んだ夜から
お前に見せてやる
弾け飛んだ瞬間
生きてる意味を感じた
退屈で綻んだ朝を
俺は求めないのさ
深く考えても
それを探せやしない
安いチェリーパイを
沢山頬張りながら
数字を数えなくて良い
俺が変えたからよ

お前の犬に為る

汚れ落ちる前に
馴れ合いの中で
お前の犬に為りたい
そんな事を
言いはしないのさ
どんなに辛くても
星が見えなくても