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レギュラーと控え、それぞれの想い

甲子園と高校野球に憧れ、中学校で入部した野球部。

最後の大会は、市内ベスト8という好結果で幕を下ろした。

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レギュラー背番号はもらえなかったが、最後の大会では不調のレギュラーに代わって試合に出続けることができた。

自分的には試合に出れることが嬉しくて、ヘッドスライディングなどでチームを盛り上げ、思う存分楽しめた。

塾通いをしていたため練習を休むことも多かったが、最後の最後で良い結果が残せた。

だから、もっと練習をしていたら、もっともっと上手くなっていたはずだと思うこともあった。

野球の技術的なことはまだまだ未熟ではあったが、最後の大会の印象があまりにも良かったため、それなりに充実した中学野球を終えることができた。

『終わり良ければすべて良し』という言葉があるように…

ただ、心残りなことがあった。

それは、セカンドのレギュラー選手のことだ。

最後の大会でエラーをしてから、控え選手であった私が代打として送られた。

私が同点打を放つなどの活躍をしたため、それ以降、レギュラー選手は試合に出ることがなかった。

当然、試合に出れる私はウキウキ・ワクワク状態。

試合中もヘッドスライディングでチームを盛り上げた。

そんな私の姿がレギュラー選手の目にはどのように映っていたのだろうか。

我ながら、野球の技術的には私の方が勝っていたと思うところがあった。

練習にさえ、もう少し行けていたらレギュラーをとれていたと思っていた。

しかし、練習への参加は圧倒的に劣っていたので、レギュラー背番号をもらえなかったと自分なりに納得していた。

もし、我がチームが初戦敗退をしていれば話は違ったかもしれない。

それが、強豪を立て続けに破り、ベスト8まで勝ち進む。

そして、控え選手であるはずの私が試合で活躍し、ムードメーカー的な目立ち方をしてしまった。

レギュラー選手は、さぞかし悔しかったと思う。

私が代打で出場してから以降、お互いに会話をすることはなかった。

おそらく目も合わせないようになっていたと記憶している。

完全に気まずくなっていたのだ。

私の中では『代打でタイムリーヒットを打って活躍したのだから自分が試合に出るのは当然だ。実力で掴み取ったんだ』と言う気持ちでありながら、レギュラー選手とは目も合わせない、声も掛けない状態が続いた。

この関係は、中学校を卒業するまで続いた。

当時、相手の気持ちが分からないこともなかったが『勝負の世界はそんなものだ』と自分に良いように言い聞かせていた。

ただ、レギュラー背番号をもらいながら試合に出れない辛さは分かるような気がしていた。

私は、二ケタ背番号ながら試合に起用してくれた監督に感謝をしている。

一方、レギュラー選手は監督に対してどのように感じていたのだろうか…そして、私に対しても。

部活動でともに流した汗と涙は青春の一コマでもある。

『一緒に頑張った部員たちと深い絆で結ばれる』という話は綺麗ごとではないだろうか。

中学生ながら、生意気にもそんな風に感じていた。

風の便りでは、このレギュラー選手は高校では野球部に入部しなかったそうだ。

反面、私はあまりにも最後の最後で良い思い出を作ってしまったので、高校野球への憧れが、自信に変わりつつあった。

中学時代に同じポジションでレギュラーを争った二人の分岐点がここにあったのかもしれない。

いよいよ、高校野球へと続く…


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