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元地方公務員が実践する、よく効くB2Bコピーライティング

私よく、経歴が変わっていると言われます。社会人キャリアのスタートは北海道職員、いわゆる地方公務員でした。27歳の時に周囲の反対をよそに公務員を辞め、北海道の広告会社でコピーライターに転職。そして30過ぎてから上京。東京の制作会社を経て、今ADKクリエイティブ・ワンでB2Bクリエイティブをコンセプトとするチームにいます。

はじめまして。
コピーライターの鹿野泰央と申します。ここでお話しするのは、ちょっと特殊なキャリアを持つ私がなぜ、このADK CREATIVE MALLで11もあるチームの中でもこれまたちょっと特殊なB2Bチームでコピーライターをやっているのか。何の脈略もない偶然かと思ったら、実はけっこう必然だった!というお話です。

北海道職員時代。私は、B2B取引の当事者だった。

北海道職員としての社会人生活の始まりは、根室市というところでした。晴れた日には北方領土もすぐそこに見える、カニとサンマがうますぎる最果ての漁師町。そこで私は高校の事務職員として、学校の備品を買ったり、燃料やエレベーター保守の契約をしたり、生徒たちの高校生活を支える裏方の仕事をしていました。

今思えば、この仕事はまさにB2B。学校という組織と業者さんとの取引の担当者であり、私自身の社会人キャリアのスタートがB2Bの当事者だったのです。

ですが、当時の私は未熟で意識も低い若造だったので、自分の仕事が何のためにあるのかあまり深く考えることもせず、ただ仕様書と見積書に従って機械的に契約書類にハンコを押すことを繰り返していました。当然、仕事に意義やワクワク感というものを見出すことができず、ビジネスマンとしてはイマイチ充実感のない日々を過ごしていました。(良い人ばっかりで魚がうますぎて、人生の時間としては最高でした!)

山脈を越えてコピーを学び、コピーライターに転職。

そんな物足りなさを抱えながら、20代前半という年頃に、最寄りの大手コンビニまで車で1時間という最果ての地でエネルギーをあり余らせていた私は、学生の頃の夢だったコピーライターへの転職を考えはじめました。

異動で根室市を離れ、今度は牛乳と肉と野菜がうますぎる十勝という町にいた私は、札幌で開催されているコピーライター養成講座の存在を知り、ここからなら通える!と、半年間毎週車で3時間、日高山脈を越えてコピーを学びました。(情熱って恐ろしい。北海道人の距離感覚って恐ろしい。)運良く十勝の広告会社が拾ってくれることになり、公務員の身分をえいやと辞し、十勝でコピーライターのキャリアをスタートさせました。

地元愛が強い地域だからこそ、心がけていた書き方。

十勝では、スイーツやワイン、温泉の広告、農家さんのブランディングなどいろんな仕事をやらせてもらいました。地方は人の距離が近いので、農場スタッフの方に取材をしたり、時には社長に直接プレゼンしたり、地域密着な経験をさせてもらう中で、一つだけ、十勝独特の特徴として感じたことがあります。

それは、めちゃくちゃ地元愛が強いということ。みんな十勝のことが大好き。どの企業のどんな商品も、それを買うお客さんも「十勝のために」という思いでつながっている。

そこで私がコピーライターとして心がけていたのは、その商品の魅力を表現することはもちろんですが、そのコピーに十勝の人々の「十勝愛」を込めるということ。その商品がこれから十勝をどんな風に素敵にしてくれるのか、それが伝わるようにすることでした。

貪欲に上京。しかし!東京は甘くなかった。

どうにも1箇所でじっとしていられない性格なのか、十勝でのコピーライターの仕事はすごく充実していたにも関わらず、俺はもっとデカイ仕事をするんだ!と意気込み、今度は上京。東京の制作会社を経て、このADKクリエイティブ・ワンに飛び込みました。

しかし、私はそこで巨大な壁にブチ当たります。大きなクリエイティブエージェンシーでは、地方や制作会社とは求められることが全て違う。何をやってもクリエイティブディレクターからダメ出しの連続。ADKクリエイティブ・ワンに来た1年目は、自分の経験値と求められるレベルの差を毎日1mmずつ埋めていくために、必死にもがく日々でした。ちなみに数々受けたダメ出しの中で、最も痛烈だったのはこちら。

お前のコピーは、コピーじゃなくて説明書だ。

ズーン。

俺のコピーそんなにつまんないっすか。
俺は東京に説明書を書きに来たってことっすか。

B2Bコピーライティングは、ともすれば説明書になりがちだ。

もがきながらも、少しずつ仕事が軌道に乗り始めた頃、配属になったのがB2Bチームでした。いくつもB2Bクリエイティブ案件を担当させていただく中で、先ほどのダメ出しがとても役に立っています。

どういうことかというと、実はB2B案件ほど、コピーが説明書に陥りがちなのです。もちろん案件によりますが、B2B案件は情報が専門的で訴求点も多岐に渡ることが多い。情報が複雑なだけに、ちゃんとアウトプットしようとするほど、どうしても説明書のように言いたいことの羅列になってしまう。実際、B2Bのコピーを書くにあたって私が大切にしていることは、こんなことです。

・オリエンシートを隅々まで徹底的に読み込むこと
・クライアントのHPはもちろん、関連資料を徹底的に頭に叩き込むこと

・これまでのCMや競合サービスの訴求表現をくまなくチェックすること
・あらゆる情報を、組み合わせては削ぎ落とし、再構築しながら表現の強さや過不足の検証を繰り返すこと

B2B案件に関わらず、広告づくりの基本とも言えますが、B2Bの場合、これらをきっちり全うした結果、一歩間違うと無機質に情報が並んだ説明書的な表現が出来上がってしまうことがあるのです。

説明書にしないためにどうするか。そのヒントは、十勝時代の経験にありました。

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企業と企業は同じ方向を向いている。
B2Cが「ギフト」だとしたら、B2Bは「握手」だと思う。

先ほど、十勝という地域では企業とお客さんの関係が独特だという話をしました。企業とお客さんの関係というのは、いわゆる一般的なB2Cの取引で考えると、売る側から買う側へ向く矢印です例えるなら、B2Cは企業からお客さんへのギフト。そしてそのギフトをいかに上手にラッピングしてあげるかが、B2Cのクリエイティブの仕事になります。

これが十勝の場合、企業もお客さんも「十勝のために」という、両者の矢印がおんなじ方向を向いちゃってるんですね。

これって、何かに似てると思ったんです。

そう、B2Bです。企業とは、どんな企業もそれぞれが何かしら「社会をよくする」ための使命を持って存在しています。だから、サービスを提供する企業も、サービスを受ける企業も、どちらも「社会をよくする」という同じ方向を向いている。B2B取引とは、企業と企業が同じ方向に向かって、これから一緒に歩いて行きましょうと、パートナーとして誓う「握手」だと思うのです。私は常にその視点で、企業と、企業が見据える先のイメージを考えるようにしています。

企業と企業に、熱い握手を交わしてもらうために。

そして、その握手をアシストをするのがB2Bクリエイティブの仕事です。スペックの書かれた説明書を超えて、そのコピーにどれだけ企業やサービスの心意気を込めることができるか。そこから企業同士がパートナーとして歩き出す道のりを、どれだけワクワクさせられるか。企業と企業がガッチリと熱い握手を交わすことができるかどうかは、ここにかかっている。それがB2Bクリエイティブの役割です。

・B2Bは握手だと考える
・コピーに企業の心意気を込める
・企業同士が共に歩む未来をイメージさせる

それはちょうど、かつて私が十勝のコピーライターだった時代に、コピーに十勝愛を込め、素敵な十勝の将来を表現しようとしていたのとよく似ていました。B2Bの仕事をさせてもらうようになって、十勝時代に心がけていたことが、大切なヒントだったことに気がつきました。

14年前の最果ての地方公務員に、
B2Bクリエイティブを教えてあげたい。

そんな私たちチームのB2Bクリエイティブを、もし14年前の最果ての事務職員が体験したとしたら、その業者さんの心意気とか、先生と生徒の学校生活をどんな風に素敵にしてあげられるかとか、そんなことを感じて仕事に楽しみを見出せたかもしれないな、と思います。少なくとも今の私には、そう思わせられる自信があります。そしたら、転職することなくいまだに北海道で公務員をやっていたかもしれません。

B2Bのお仕事、ぜひお声かけください!

鹿野の半生記に長々お付き合いいただき、ありがとうございました。B2B企業でブランディングや広報を担当されている皆さん、私たちADK CREATIVE MALLのB2Bチームが、御社の心意気を宿した体温あるクリエイティブで、取引先さまとの熱い「握手」を成功させてみせます。是非ともお声がけください。

そして、このADK CREATIVE MALLには、B2Bに限らず企業のあらゆる課題を解決するプロフェッショナルが揃っています。所属するクリエイターがリレー式でそれぞれの思いを語っていくこのnoteはきっと、悩みを持つ企業とクリエイターが熱い「握手」を交わすきっかけになるはずです。次週以降もどうぞお楽しみに!

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コピーライター
鹿野泰央 Yasuhiro Kano

SCC新人賞/FM香川CMコピー大賞2020協賛社賞/広告電通賞/SCC賞

こんなお仕事、やらせてください!
・B2Bのお仕事(お任せください!)
・行政のお仕事(お悩み共感できると思います)
・地方のお仕事(長距離移動は慣れっこです)
・競馬のお仕事(公務員時代に仕事より真剣に取り組んでいた)
・サウナのお仕事(コピーはサウナで考える)