さくらこ(映画好きの編集者)

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さくらこ(映画好きの編集者)

編集者/ライターの端くれ。修行のためにnoteはじめました。映画と海外ドラマとエンターテインメントが好きです。お手柔らかに。

最近の記事

大森靖子とリディア・ター

「大森靖子とリディア・ター」ここ最近はこのことばかり考えている。 「きゅるきゅる」が10年前で驚いた。私はあの時の戦士のような大森さんの姿に虜になり何度もライブに足を運んだ。 その当時見ていた大森さんと現在騒動の渦中にいる大森さんの変化を見ると、どうしても映画『TAR』を思い出す。 女性でレズビアンで労働階級。本来であれば茨の道を歩んできたターがオーケストラの世界で権威を手にしたら、自分が特例かのように錯覚し、過去の痛みを忘れ、権力を振り翳していく。そして教え子クリスタ

    • ゲースロ前日譚『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』第1話を見てきた

      『ゲーム・オブ・スローンズ』の200年前を舞台に描いた前日譚『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』が、8月22日(月)から、米HBOでの放送と同時刻に日本で独占配信される。 8月16日(火)にはTOHOシネマズ 六本木ヒルズのスクリーン7(!)で日本最速プレミア試写会も行われ、一足先に第1話がお披露目された。 1時間6分におよぶ第1話が幕を閉じ、スクリーンに再度明かりがついた際には、あまりの衝撃に拍手とどよめきが…。今回は、ネタバレなしで『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』第1話を解剖

      • ワンダ目線でたどるMCU 『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』のラストに嘆いてます

        「If you step out that door, you are an Avenger.(一歩外に出たら君はアベンジャーズだ)」 『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)で、ワンダ・マキシモフ(エリザベス・オルセン)がホークアイ(ジェレミー・レナー)にこう言われたシーンは、マーベル・シネマティック・ユニバースの作品の中でも、多くの人の記憶に残った名シーンだろう。 東ヨーロッパの架空の国ソコヴィアで双子として生まれたワンダは、10歳の時、襲撃を受け、両

        • 『牛首村』ラストシーンは必要だったのか【ネタバレあり】

          『牛首村』を見た。『犬鳴村』『樹海村』に続く"恐怖の村"シリーズ第三弾。監督は前2作に続き清水崇、主演はKōki,が映画初出演で初主演を飾った。 モデルに留まらず、作曲家としても活躍するKōki,は、今回の演技もすごく良かった。ホラー作品は、人間ドラマと違い、あまり感情の揺れを求められないので、デビューにもピッタリだったんじゃないだろうか。とにかくすらりと縦に長いスキニー姿や長い髪がスクリーンに映えた。おでこも理想系で、あれにするには100万円くらいかかりそうだ。とにかく小

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          パンフがないのはもったいない! 映画『ジャングル・クルーズ』小ネタ解説

          ディズニーランドのアトラクションから生まれた映画『ジャングル・クルーズ』が公開された。「これぞ夏休み映画!」と思えるほどのドキドキとワクワク展開で、『竜とそばかすの姫』のことなんかすっかり忘れるくらいの楽しさ。しかし、残念ながらパンフレット制作がないとのことで、家に帰っても楽しくなる小ネタ集をまとめます。 ①意外とヒットしていないアトラクション映画「カリブの海賊」をモチーフにした『パイレーツ・オブ・カリビアン』を除き、ディズニーのアトラクション映画はあまりヒットしてきません

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          “映さない”という美学 『プロミシング・ヤング・ウーマン』を見て

          『プロミシング・ヤング・ウーマン』を見た。『ドライヴ』『ワイルドライフ』などなど心のポーチに入れておきたい演技を見せてくれるキャリー・マリガンが主演の映画だ。監督のエメラルド・フェネルは、キャリーを"たくさんの作品に出演しているのに、役の中に消えてしまう女優"だと言っていたのはおもしろい。下記作品あらすじは公式から。 30歳を目前にしたキャシー(キャリー・マリガン)は、ある事件によって医大を中退し、今やカフェの店員として平凡な毎日を送っている。その一方、夜ごとバーで泥酔した

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          BL素人が感じた映画『窮鼠はチーズの夢を見る』への違和感

           9月11日(金)から映画『窮鼠はチーズの夢を見る』が公開された。関ジャニ∞の大倉忠義と成田凌が主演を務め、『劇場』や『リバーズ・エッジ』を手掛けた行定勲がメガホンを取った作品だ。  原作は、水城せとなによるコミック。 原作は、人を好きになることの喜びや痛みをどこまでも純粋に描き、圧倒的な共感を呼ぶ心理描写で、多くの女性から支持を得た水城せとなの傑作コミック「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」 (引用:チネチッタ)  だそうで、その人気は蚊帳の外から感じて

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          『TENET』ネタバレなしで率直にレビュー

           9月18日(金)日本公開のクリストファー・ノーラン監督最新作『TENET』を見てきた。コロナが拡大してから初めての試写。2席空けという贅沢な空間だった。  公式サイトから引用したあらすじは、以下の通り。 主人公のミッションは、人類がずっと信じ続けてきた、〈時間のルール〉から脱出すること。時間に隠された衝撃の秘密を解き明かし、第三次世界大戦を止めるのだ。ミッションのキーワードは〈 TENETテネット〉。 「その言葉の使い方次第で、未来が決まる」。突然、巨大な任務に巻き込ま

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          『事故物件 恐い間取り』感動したとこと惜しいとこ

           8月28日(金)公開の『事故物件 恐い間取り』を見た。お笑い芸人・松原タニシによるノンフィクション『事故物件怪談 恐い間取り』(二見書房)を基にしたホラー映画だ。  主演はKAT-TUNの亀梨和也。メガホンは、『女優霊』や『リング』シリーズ、最近でいうと『スマホを落としただけなのに』の中田秀夫が取った。  説明するまでもないが、日本の映画・ドラマ業界は、ホラーブームになりつつある。興行収入14億円超えの『犬鳴村』、Netflixの『呪怨:呪いの家』、中田も監督として参加

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          “香り”だけを知る叶わなかった恋のこと

          学生時代、とっても大きな会社でアルバイトをしていた。そこは日本人のほとんどが知っているような会社で、社長はTwitterでも有名な人。アグレッシブな発言から、時たま炎上していた。 そんな会社で、わたしが所属されたのは、わりかし端っこの部署。大きな会社の大きな利益を上げるような華やかな部署ではなく、よくできる人たちが頑張ってくれた恩恵を、これでもかと受けまくっていた部署だった。充実した福利厚生も、きれいすぎる設備も、わたしたちの仕事のおかげでは絶対ない。 とはいえ、広いフロ

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          Netflix『私の"初めて"日記』がアツい! 王道なのに革新的でダサくて愛おしい

          4月27日に配信されたNetflixの『私の"初めて"日記(Never have I ever)』が、アメリカで人気になっている。そしてめっちゃ、面白かった! 米レビューサイト「Rotten tomatoes」では、トマトメーター(批評家)が96%、オーディエンススコア(一般)が91%と文句なしの高評価だ(2020年5月18日現在)。 ■びっくりするほど王道だけど…主人公は、インド系アメリカ人のデービー。高校1年の時に、父が死に、そのショックからか両足が麻痺して車椅子

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          映画好きが選ぶ「売店が強い首都圏映画館ランキング」

          小さい頃から映画が好きで、大学で映画を学び、挫折した。拒絶反応が出るまで嫌いになったが、そのうち恋しくなり、映画好きを今の仕事にこじつけている。好きを仕事にするには強制されない(強制と思わない)環境作りが大切だ。 学生の頃より貰えるお金も増えて、昨年は映画館で見た新作が150本を超えた。特集上映や映画祭、マスコミ試写を除いて、やっとこのくらいになれた。嬉しい。まだまだ労働を映画に変えたい。 余談はさておき、今回は、コンセッション(売店)が強い映画館を3つ紹介したい。

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          『銀座ライオン』に入れない

          飛び出すように東京へ出てきて、東京でしかできない仕事をと思い、今の仕事を続けている。 それなりにオシャレな店も連れて行ってもらったし、“東京”への怖気づきはもはやほぼなくなってきた。 しかし『銀座ライオン』だけは入れない。しかも調べたら、東京だけじゃなくて地元にもある。通学路として使ってた駅にある。 仕事柄、ドアウェイな環境に行くことも多いが、『銀座ライオン』が醸し出す空気は、まさにそんな感じ。あの大量に並ぶ食品サンプルは暴力だ。店内も暗くて見えない。ああいう店はだいた

          『銀座ライオン』に入れない

          人生、詰む

          25歳。肌も仕事も曲がり角。 今まで大丈夫だったやり方が、みるみるうちに効かなくなる。 これまで通りじゃ、全然浸透しない。塗りたくっても、肌に入っていかない感覚を感じます。 19歳で編集見習いとして、この世界に入り、色んな仕事を経験して今、1段ハードルも上がり、責任と教育が伴うようになった。 1番嫌なのは、文章がつまらなくなったこと すべてが不安で死にたがってたあのときの敏感で攻撃的でむき出しの感情の篭った文才は、どこかにいってしまったような気がする。 今年はその

          『犬鳴村』感動したとこと惜しいとこ

          2月7日公開の『犬鳴村』を見た。 清水崇監督・三吉彩花主演で、2chのオカルト板を中心に話題になっていた犬鳴峠や旧犬鳴トンネル、日本国憲法が通じない伝説の村・犬鳴村の都市伝説を映画化した。 ●『犬鳴村』の感動したところこの映画は前半と後半でガラリと話が変わる。感動したのは大体前半部分に絞られる。 小説や漫画と異なり、あらかじめストーリーが確立していない都市伝説ベースなので、大幅な脚色が必要となってくるのだが、その肉付け部分がトゥーマッチだと感じた。 なので徐々に全容が

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