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あなたも囚われているかもしれない、視野を狭くする○○思考

こんにちは!

こしあんです。

突然ですが、あなたは会社の同期の中で仕事を覚えるのが早い方ですか?
それとも遅い方でしょうか。


私は「普通は3ヶ月くらいで覚える」という作業を6ヶ月もかかって覚えるほど要領が悪い人物です(笑)
(ちなみに、その後その作業を私より早くできる人はいませんでした。)

この会社の基準でいくと、私は平均の2倍時間がかかっているので優秀だとは言えませんね。

平均より速く仕事を覚えられれば優秀で、それより下だと能力が足りないと思われることがあります。
あなたも「仕事を速くこなす人」や「覚えがいい人」を優秀だと感じた事はないでしょうか。

実際、「神童」がもてはやされるのは成長が速いほど利口だという文化的信念を反映していると心理学者トッド・ローズは言います。


たとえば、二人の生徒がテストで同じ点を取ったとします。
しかし、どちらか一方の生徒が回答を仕上げる時間が半分だった場合、そちらが優秀だと見なされます。
「同じ問題、同じ点数なら速く解けた方が頭がいい」と考えているわけです。

そのため、人の成長や学習、または目標へ到達するための方法や時間などは「人それぞれ違う」と頭では理解していても「平均値」の上をいけば優秀で、下回れば能力が劣ると判断しています。


このような思考の背景には何があるのか?

ローズは「平均的な人間は正しい進路を進むのものだという発想が大前提にある」と言います。
逆を言えば、集団の規範となる平均的なメンバーが歩んできた道が正解で、それ以外の人生の歩み方は問題があると考えているわけです。


実は、このような考え方は子育てにも当てはまります。
赤ん坊が歩き始める時期や話し始める時期、本を読み始める年齢など、子どもの発達にはあらかじめ定められた一里塚が存在していると考えています。
簡単に言えば、「この時期には○○できているはず」という前提を疑いもなく信じているわけです。

このように「そこにいたるまでの正しい答えは1つしかない」という考え方をローズは「規範的思考」と呼んでいます。


たとえば子育て中、祖父母や親戚などから「この子はまだ喋れないの?」とか「まだハイハイができないの?」と言われたことなどないでしょうか。
悪気はないのかもしれませんが、こちらの不安を煽るようなことを言う人がいますよね。

しかし、「この人たちは何を根拠にそんなことを言っているのか」と考えたことがありますか?

この人たちは自分の経験則や「生後○○か月には○○するようになる」といったよく聞く平均的な成長過程を信じているだけなんです。
その人たちは「その子の成長」を見ているわけではありません。
平均と比較して見ているだけなんです。


実は、ハイハイなどの幼児の発達に関する研究によると、ハイハイに至る正常な道など存在しないという結果が出ています。
ハイハイをすっ飛ばして”つかまり立ち”をする子もいれば、歩くようになったと思ったら、また元に戻ったりする子がいることがわかっています。


この28人の幼児を調査したものでは、子どもが辿る道は25種類もあり、どれもがユニークな動きのパターンを伴うが、最終的には全員が同じように歩いています。
このような違いは国や地域であり、成長経路はバラバラなんです。

しかし、私たちは「平均的」と言われる発育状態とどれだけ異なるかを比較して簡単に決めつけてしまいます。

もちろん、子どもの発達が妨げられ、医学的に介入しなければならないケースもありますが、「この時期はもう○○している」といった「平均」と比べるのは間違いなのかもしれません。


実は、この「規範的思考」は医者などのプロの視野をも狭めてしまうこともあります。
たとえば、うつ病の治療に当たってきた医師たちは、長い間認知療法を受けている患者は、回復に至るまで標準的な経路を辿るものだと考えていました。

簡単に言えば回復に至るパターンの正解は1つしかないと考えていたわけです。
標準的な経路によって患者は症状がいきなり軽くなり、そのあとは回復への歩みが遅くなるといったものが基準とされていました。

しかし、2013年、平均ではなく個人が回復する結果に注目したところ、回復までの標準的な経路が患者の30%にしか当てはまらないことがわかりました。
平均と比べて病状の経過を判断していたのに、その基準は当てにならなかったわけですね(笑)


あなたも「人間の体や精神がまったく同じように成長している」なんて考えてはいないでしょう。
しかし、正解がたった一つしかないように感じてしまうのがこの規範的思考の落とし穴でもあります。


ではこの思考から抜け出すにはどうしたらいいのか?


ここで大切なのは「迂回路の原理」になります。
この原理では

①人生のあらゆる側面において同じゴールにたどり着く道はいくつもあって、しかもどれも妥当な方法である。

②最適な経路は個性によって決定される。


というものです。

たとえば、車で遠出をするとします。
出発地点から目的地までの経路は常に複数存在していますよね。
ひたすら下道を走る人もいれば、高速道路を使う人もいるでしょう。

このように異なった道筋を辿っても同じ結果に至ることを「等結果性」と言います。
これは人の成長などにおいても同じことが言えます。

また、②に関しては人間の個性はバラツキがあり、これは状況や背景によって左右されるので進歩の速度、結果に至るまでの順序も異なるのが当然だと考えます。

誰もが同じ方法で同じ結果が出るわけではありません。
しかし、学校の学習などでは授業についていけない子を「理解度が低い」と考えています。
これは「この年齢ならこれくらいの事が理解できるはず」という前提があるわけですが、これは正しいのでしょうか?

その子はもしかしたら1年後、誰よりもその問題について理解しているかもしれません。
また、アプローチを変えればもっと早い段階で理解したかもしれません。

そもそも、「平均的と言われる成長や学習速度を個人に当てはめるやり方は正しいのか?」と考えなければいけません。
だって人の成長速度は違うんです。
大人はそれを忘れています。


最後に
「平均」は私たちの目を曇らせてしまいます。
誰かが勝手に作った基準を満たせば安心し、届かなければ劣等感を抱きます。
そんなことで一喜一憂するなんて馬鹿らしいですよね。

しかし、私たちは子供の頃から「誰かが決めた」基準で評価される人生を送っています。
そのため、深く考えずその基準を受け入れている現状があります。

その基準が「間違っているのでは?」とか「今の時代には合わないのでは?」という疑問を持たなければ、誤った方法で人を判断し、いろんな「個性」を潰してしまいます。

こんなにも人はバラバラなのに他人と比べて評価するシステムは意味があるのでしょうか。
規範的思考に陥って、人が作り出した基準に踊らされないように注意したいですね。


今回はここまで

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それではまた次回お会いしましょう。

※この記事は主に私のアウトプットを目的に書いているものです。
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