職人?作家?アーティスト?の考察①

先日、フェイスブックで

「作家がその作品を大量に受注した場合、その人は職人なのだろうか。
というところで色々逡巡している…」

というつぶやきをしたところ、思わぬほど多くの方々から多数のコメントを頂いた。当の職人や作家の方々からがほとんどだったが、それだけ当の皆さんにとっても考えておられるところだったのかもしれない。

コメントの内容も多様であり、置かれている立場や業種によってもかなり異なるということが見えてきた。

それにしてもなぜ、これだけ色んな議論を呼ぶのだろう、と思い、そもそも職人・作家・アーティストはどう違うのか、を考察したい。
それにあたって、単に「手仕事」とだけ呼ばれていたモノづくりに、明治以降に美術・工芸・工業、さらには民芸・クラフト・伝統的工芸といったような言葉があふれかえるようになってきているが、そもそもどういう変遷をしてきたのかをまずは考察せねば。

ということを考えていたら、弊社の優秀極まりないインターン生が歴史的な変遷についての論文を探してきてくれた。感謝。下の図は、変遷をまとめたもの。

これを見て分かることは「時代の状況によって、(特に明治以降)変化が激しい」ということ。

そしてそもそも、ウィーン万博出展時に「美術」という言葉が明治に初めて生み出されたときに論文内にあるように誤りの始まりがあったのである。以下抜粋。

「Kunstgewerbeは、Kunst(芸術)とgewerbe(工業)という二語を合成した単語であり、純粋芸術と意味する美術というより産業的な意味合いの強い『工芸美術』もしくは『美術工芸』という訳をあてなければならない」

「『今世ノ美術ノ事』として『美術』が登場しているが、ここでの原語は、BildendeKunst(造形美術)」である」

「ドイツ語の原語レベルでは『美術』について明確な分類がされていたにもかかわらず、日本が翻訳する際に、全て『美術』という一語で括ってしまった」

「分類・整備においても西欧の美術観である絵画中心主義をそのまま受容していくこととなった。そして、この『美術』の分類過程で、非『美術』とされた『工芸』が『美術』の下位概念として登場する」

ということで間違いから生まれたからこそ、広範な意味合いを持ち、色んな議論を巻き起こし続けることになったのが「工芸」という言葉であるということを念頭に、考察をしていきたい。
(時間ができたときに考えてるので、②がいつになるかは未定)

(出所はこちら)
http://www1.tcue.ac.jp/home1/c-gakkai/kikanshi/ronbun10-1/ichikawa.pdf

よろしければサポートお願いします。日本各地のリサーチ、世界への発信活動に活用して参ります。