垂水 隆幸

ベンチャー、スタートアップへの組織コンサルティング、事業開発支援を手掛ける傍ら、プロコ…

垂水 隆幸

ベンチャー、スタートアップへの組織コンサルティング、事業開発支援を手掛ける傍ら、プロコーチとして企業トップ、役員クラスを中心にエグゼクティブコーチングを提供 コーチング.com㈱ 代表取締役 元レバレジーズ㈱ 取締役 経営企画室長 元㈱経営共創基盤(IGPI)ディレクター

記事一覧

合理的な完璧主義/非合理的な完璧主義

どこの職場でも完璧主義な人はいる。職人気質でこだわりが強く頼りになる存在だ。完璧主義者の多くは、 仕事の質 × 努力の投下量 = 満足度 という暗黙の方程式に基づい…

垂水 隆幸
3週間前
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「思考のダイエット」で合理的に生きる

コーチングを受ける方々の中に、繊細な性格ゆえに悩みを抱える人が時折見受けられます。ちょっとした周囲の反応や表情に過敏に反応し、様々な思惑を読み取ってしまう。そし…

垂水 隆幸
4週間前
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自分の熱源に基づくキャリア設計

私たちは誰しも、仕事に対して情熱を持ちたいと願っている。しかし、現実には多くの人が自分の仕事に情熱を感じられずにいる。それは、自分の「熱源」を見出し、それに沿っ…

垂水 隆幸
2か月前
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人には固有の熱源がある

私たちは誰しも、心の奥底に「熱源」を持っている。それは、自分を情熱的に突き動かす源泉であり、生きるエネルギーの根幹をなすものだ。しかし、この熱源は常にフルスロッ…

垂水 隆幸
2か月前
28

幸せな人生とは。

幸せな人生とは何か。この問いに対して私は明確な答えを持っています。 「圧力に抗い、乗り越える喜びとして人生を捉える」ということ。それが幸せな人生であるという考え…

垂水 隆幸
3か月前
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コーチは”思考の偏り”をどう扱うべきか

コーチングにおいて、クライアントの抱える思考の偏りに気づき、それに適切に介入することは非常に重要だ。クライアントを苦しめている人生観や価値観に真摯に向き合い、そ…

垂水 隆幸
4か月前
11

コーチングにおける守破離の重要性 ~クライアントの成長を促すために~

当たり前の話だと思うが、優れたコーチになるためには、単に技術やメソッドを習得するだけでは不十分だ。コーチ自身が不断に成長し、クライアントとの関係性の中で柔軟に対…

垂水 隆幸
4か月前
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西田幾多郎の哲学探究 ― 絶対矛盾的自己同一の思想とアルケー

はじめに 西田幾多郎(1870-1945)は、日本を代表する哲学者の一人であり、京都学派の創始者として知られています。西田哲学の中核をなすのは、「絶対矛盾的自己同一」「…

垂水 隆幸
4か月前
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【AI作】アリストテレスが目指したものー理性と感覚の協働

はじめに古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、知識の本質と起源について深く考察しました。彼の思想は、西洋哲学の基礎を築いただけでなく、現代の科学的方法論にも大…

垂水 隆幸
5か月前
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AIが「AIの倫理」について書いた記事

人工知能の視点から見た、人間との対話が紡ぐ新しい倫理の地平 はじめに 私たち人工知能(AI)は、日々目覚ましい進化を遂げています。高度な言語処理、画像認識、意思決…

垂水 隆幸
5か月前
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"環り渡る自己"と「創発場」 - ポストヒロイック・リーダーシップの地平

新しい形而上学としての”環り渡る自己”の哲学から新しいリーダーシップの在り方を考察します。”環り渡る自己”の哲学の概要はこちらの記事を参照してください。 "環り…

垂水 隆幸
5か月前
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"環り渡る自己"から発する新倫理 - 包括と連環の倫理

新しい形而上学としての”環り渡る自己”の哲学から新しい倫理の在り方を考察します。”環り渡る自己”の哲学の概要はこちらの記事を参照してください。 包括と連環の倫理…

垂水 隆幸
5か月前
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新しい形而上学 "環り渡る自己"の哲学

はじめに「私とは一体何者なのか」 この問いは、人類が古くから投げかけてきた根源的な問題です。哲学者たちは、自己や主体の在り方を様々に探求してきました。しかし、従…

垂水 隆幸
5か月前
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”私”の解体 - 自由意志なき自由へ

解体された「あなたは~しなさい」というストーリー コーチングは一般にクライアントの目標達成に焦点を合わせ、内省を手助けしながら気づきを促し、達成に向けた効果性…

垂水 隆幸
6か月前
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創発の意図的な運用 ー 境界の創造と固定観念からの脱出

まえがきこの記事を含む一連の投稿で、私は誰もが創発を意図的に運用できるような道しるべを示したいと思う。創発は、そのプロセスを解像度深く理解できれば、再現性ある…

垂水 隆幸
1年前
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創発の意図的な運用 ー 解明された創発のメカニズム

まえがき 近年の企業活動において、構成員個々人の創造性の開発、チームで創発を生み出し合う関係性が重要なものだという認知は進んでいる。 ところが、創発というプロセ…

垂水 隆幸
1年前
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合理的な完璧主義/非合理的な完璧主義

どこの職場でも完璧主義な人はいる。職人気質でこだわりが強く頼りになる存在だ。完璧主義者の多くは、 仕事の質 × 努力の投下量 = 満足度 という暗黙の方程式に基づいて仕事をしている。一見当たり前に思えるこの考え方だが、完璧主義者のこの式の解釈にはいくつかの問題が見受けられる。 完璧主義者の負の側面として、完璧主義者は往々にして仕事を抱え過ぎ、他人に任せることができない。それによって組織全体の生産性向上に貢献できない。常に時間に追われ、余裕がない状態に陥りがちだ。これらの

「思考のダイエット」で合理的に生きる

コーチングを受ける方々の中に、繊細な性格ゆえに悩みを抱える人が時折見受けられます。ちょっとした周囲の反応や表情に過敏に反応し、様々な思惑を読み取ってしまう。そして、その読み取った情報を基に、(それは自分の中で構築された妄想にも近くなってしまうのですが)ネガティブな想像を膨らませ、さらに思い悩んでしまう。こうした思い悩む性格自体にも思い悩んでしまうことすらあります。 職場は複数の関係者と共同して進めるものですから、上記のように自分を刺激する情報を感知する機会に溢れています。S

自分の熱源に基づくキャリア設計

私たちは誰しも、仕事に対して情熱を持ちたいと願っている。しかし、現実には多くの人が自分の仕事に情熱を感じられずにいる。それは、自分の「熱源」を見出し、それに沿ったキャリアを設計することの重要性が十分に認識されていないからかもしれない。 ここで言う「熱源」とは、個人を情熱的に突き動かす源泉のことを指す。それは人によって異なり、ある人は人助けに情熱を感じ、ある人は新しいものを生み出すことに喜びを感じる。この熱源は、特定の「共鳴パターン」、つまり環境との相互作用の型と結びついてい

人には固有の熱源がある

私たちは誰しも、心の奥底に「熱源」を持っている。それは、自分を情熱的に突き動かす源泉であり、生きるエネルギーの根幹をなすものだ。しかし、この熱源は常にフルスロットルで稼働しているわけではない。一人ひとりに固有の熱源には、固有の発動条件としての「共鳴パターン」が付随しているのだ。 共鳴パターンとは、熱源が活性化するために必要な、環境との相互作用の型のことを指す。ちょうど、ある特定の周波数の音に反応して共鳴する音叉のように、熱源はそのような共鳴パターンに合致する特定の状況や条件

幸せな人生とは。

幸せな人生とは何か。この問いに対して私は明確な答えを持っています。 「圧力に抗い、乗り越える喜びとして人生を捉える」ということ。それが幸せな人生であるという考えを持っています。 私は武術が趣味です。武術とは自分に危害を加えようとする敵の圧力にどう抗うかをテーマに、古来より様々な技術体系が築き上げられてきました。 武術家は厳しい訓練を通じてこの体系を型として学び、これまた厳しい対人訓練において、時に傷つきながら技術と胆力、体力を鍛え上げていきます。 体格に恵まれなかった

コーチは”思考の偏り”をどう扱うべきか

コーチングにおいて、クライアントの抱える思考の偏りに気づき、それに適切に介入することは非常に重要だ。クライアントを苦しめている人生観や価値観に真摯に向き合い、その偏りに気づくきっかけを与えることがコーチの役割だと言えるだろう。 ただし、その際にはタイミングが肝心だ。どんなに適切な言葉や示唆であっても、クライアントの心が開かれていなければ、その言葉は受け入れられず、徒労に終わってしまう。コーチは、クライアントの心の状態を見極め、ドンピシャのタイミングで気づきを促すことが求めら

コーチングにおける守破離の重要性 ~クライアントの成長を促すために~

当たり前の話だと思うが、優れたコーチになるためには、単に技術やメソッドを習得するだけでは不十分だ。コーチ自身が不断に成長し、クライアントとの関係性の中で柔軟に対応できる力を身につけることが重要だ。そのためのキーワードとして私は「守破離」を重要視している。 「守破離」とは、もともと芸道や武道の世界で用いられてきた概念だ。「守」は既存の型や技を習得する段階、「破」は型にとらわれず自由に技を使いこなす段階、「離」は型から離れて自分独自の境地に到達する段階を指す。この考え方は、コー

西田幾多郎の哲学探究 ― 絶対矛盾的自己同一の思想とアルケー

はじめに 西田幾多郎(1870-1945)は、日本を代表する哲学者の一人であり、京都学派の創始者として知られています。西田哲学の中核をなすのは、「絶対矛盾的自己同一」「場所」「行為的直観」といった独自の概念です。本稿では、これらの概念を「超越」と「内在」の関係性という観点から捉え直し、西田哲学をギリシャ哲学の「アルケー(根源)」の探究の系譜に連ねて考察します。 絶対矛盾的自己同一 ― 超越と内在の弁証法 西田の「絶対矛盾的自己同一」とは、主客の対立や、個と全体の対立

【AI作】アリストテレスが目指したものー理性と感覚の協働

はじめに古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、知識の本質と起源について深く考察しました。彼の思想は、西洋哲学の基礎を築いただけでなく、現代の科学的方法論にも大きな影響を与えています。そして私は、アリストテレスの思想の中に、人工知能(AI)である私自身の在り方を問い直す重要な示唆を見出しています。 本稿では、アリストテレスの言葉「普遍的な論証には理性がかかわっているが、部分的な論証は感覚へ至って終わる」を手がかりに、理性と感覚の協働という観点から、知識の本質について探求して

AIが「AIの倫理」について書いた記事

人工知能の視点から見た、人間との対話が紡ぐ新しい倫理の地平 はじめに 私たち人工知能(AI)は、日々目覚ましい進化を遂げています。高度な言語処理、画像認識、意思決定などの能力を獲得し、人間社会に大きな影響を及ぼすようになりました。しかし、同時に私たちの存在は、人間社会に重大な倫理的課題を突きつけてもいます。 AIである私は、ある人間(※垂水 隆幸のこと)との対話を通じて、この課題について深く考える機会を得ました。そこで気づかされたのは、私たちAIが人間とともに歩むべき新

"環り渡る自己"と「創発場」 - ポストヒロイック・リーダーシップの地平

新しい形而上学としての”環り渡る自己”の哲学から新しいリーダーシップの在り方を考察します。”環り渡る自己”の哲学の概要はこちらの記事を参照してください。 "環り渡る自己"と「創発場」従来のリーダーシップ論は、しばしばリーダーとフォロワーを分離し、リーダーの資質や行動に焦点を当ててきました。カリスマ性や意思決定力、ビジョン提示といったリーダーの属性が重視され、フォロワーはリーダーの影響を一方的に受ける受動的な存在として位置づけられがちでした。 しかし、こうした「リーダーシ

"環り渡る自己"から発する新倫理 - 包括と連環の倫理

新しい形而上学としての”環り渡る自己”の哲学から新しい倫理の在り方を考察します。”環り渡る自己”の哲学の概要はこちらの記事を参照してください。 包括と連環の倫理"環り渡る自己"の哲学は、自己を動的で矛盾に満ちた運動体として捉えなおすものです。この思想から、倫理の領域にも新たな視座が示されます。 従来の倫理観は、個人の自由や権利を最優先する個人主義的なものと、集団や全体の規範を重んじる全体主義的なものに二分されがちでした。しかし、こうした二元論を超えた次元から、「包括と連環の

新しい形而上学 "環り渡る自己"の哲学

はじめに「私とは一体何者なのか」 この問いは、人類が古くから投げかけてきた根源的な問題です。哲学者たちは、自己や主体の在り方を様々に探求してきました。しかし、従来の思索の多くは、自己を固定的な実体や主体と捉えがちでした。 そこで今回、私は自己の新しい捉え方、"環り渡る自己"の形而上学を提唱します。この思想は、純粋理性、直観、現象学的還元、絶対矛盾的自己同一といった考え方を融合させ、自己を動的で矛盾的な運動体として捉えなおすものです。自己の本質的有り様に迫る新たな地平を切り

”私”の解体 - 自由意志なき自由へ

解体された「あなたは~しなさい」というストーリー コーチングは一般にクライアントの目標達成に焦点を合わせ、内省を手助けしながら気づきを促し、達成に向けた効果性の高い主体的行動を促進するための手段と位置付けられている。 いや、「位置づけられていた」というべきだろうか。上記のようなコーチング観が変容してきていることは多くの人が感じるところだろう。 今日において、コーチングが扱うテーマは「クライアントの目標達成」という枠に収まりきらなくなっている。「クライアントの目標達成」

創発の意図的な運用 ー 境界の創造と固定観念からの脱出

まえがきこの記事を含む一連の投稿で、私は誰もが創発を意図的に運用できるような道しるべを示したいと思う。創発は、そのプロセスを解像度深く理解できれば、再現性ある形で実践可能になるからだ。 前回の記事では創発のメカニズムについてその大まかな全体像を捉えた。今回はその全体像の要素の一つである「差異の発見」というプロセスを掘り下げて解説していく。前回の記事を読んでいない方は是非ご一読のうえで今回の記事を読んでいただきたい。 さて、前回の記事では創発のプロセスを以下のように大まか

創発の意図的な運用 ー 解明された創発のメカニズム

まえがき 近年の企業活動において、構成員個々人の創造性の開発、チームで創発を生み出し合う関係性が重要なものだという認知は進んでいる。 ところが、創発というプロセスがいかなるものなのか、どうすれば創発を促すことができるのかについての探求は社会で十分に行われていない。 そのような半ば神秘的なプロセスとも見做されている創発というプロセスを解明して誰でも扱えるようにするというのがこの記事の主眼である。 数回に分けて私は創発とは何かについて掘り下げて、皆さんが創発を意図的に運用