【創作BL小説】喫茶店

人気の少ない路地裏を入り少し歩いた所に質素で小さな喫茶店がある。
僕ら2人はその店へ入り、僕はホットココア、彼はホットカフェラテを注文する。
「追加で…ピザ食べる?」
「うん、構わないよ」
屈託の無い落ち着いた、微笑ましい笑顔を見せてくれる。
「大学受かったんだって?おめでとう。」
「おやおや、どこでその情報を…。まぁ、何れにせよ今から話す事だったんだけどね。」
音一つ立てず白いカップからカフェラテを飲む姿に僕は見惚れる。
「君も受かったんでしょ?大学。」
「うん、君の大学から駅3つ行った所だよ。」
ふふ、と彼は笑う。
「また会えるかな、大学生になっても。」
「?会うだろ。」
「そうか、ま…それで良いのなら…。」
瞼を少しだけ落として俯きがちに、横目で喫茶店の内部を見ている君を見て、僕は色気を感じ取った。
「僕は君の事大好きだよ。」
「フフフ、知っているよ。」
奥から出てきた店員がこちらのテーブルに向かって料理を運んでくる。ふわっと良い匂いのピザの上に乗っている赤色の具材が食欲を掻き立てる。
君も、見た目も中身も僕とはずっと違う人だけど、食欲が湧いたりするのだろう。
僕はその君のミステリアスで美しい光景を目に焼き付けて記憶したいと、じっと君を見ていた。

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