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高品質なカーボン・クレジットを求めて

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誤解されやすい、カーボン・クレジット。適切に使用すれば、1.5℃目標も夢じゃない!正しい理解をお手伝いします。
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#ブルーカーボン

小坪ブルーカーボンPJ 着々

時折お届けしている、小坪ブルーカーボンPJの進捗状況。 前回は、生長している様子をお届けしました。 今回は、その収穫の様子を…と思っていたのですが、残念ながら、養殖場での収穫作業や収穫後の天日干し作業等々、都合がつかず参加叶わず。天候にも左右されるので、時期を合わせて九州からというのは、中々ハードルが高いことを痛感。やはり、移住すべきか?と悩むこの頃です。 前置きはこれくらいにして、今回は、ワカメの様子をお届けするのではありません。養殖は、11月末に種付けして、翌年2月

ブルーカーボンのおさらい(3)

皆さんの関心が高まってきたことを受けて、改めてブルーカーボンについて、簡単なおさらいをしております。 1回目は、ブルーカーボンの定義についてお話ししました。 2回目は、ブルーカーボンを取り巻く情勢について。 3回目の今回は、ブルーカーボンの登録・認証スキームである「Jブルークレジット」についてご案内していきます。 「Jブルークレジット」とは、パリ協定の発効に伴い、いわゆるブルーカーボン生態系のCO2吸収源としての役割その他の沿岸域・海洋における気候変動緩和と気候変動適

2023年のVCMを振り返ってみよう(3)

cCarbonのレビューを拝借して、2023年のVCMについて振り返って見るシリーズも3回目。2回目はクレジットの多様性について説明しました。 この4年を見るだけでも、方法論やプレーヤー、使用しているクレジットスキームなど、多様になっていることが、分かってきました。 今回は、発行量の時期的な移り変わりを、一緒に見ていきましょう。 1回目に、償却量(retirement)について見たときに、季節性を考慮しても、12月が突出して多かったことをお伝えしました。他方、発行量(is

ブルーカーボンのおさらい(2)

皆さんの関心が高まってきたことを受けて、改めてブルーカーボンについて、簡単なおさらいをしています。1回目はこちらです。 2回目は、ブルーカーボンを取り巻く情勢についてご案内します。 まずは、22年11月にエジプトのシャルム・アル・シェイクで開催されたCOP27の決定文書「Sharm el-Sheikh Implementation Plan」に、海域の保護に関する文章が盛りこまれたことが、エポックメイキングでした。 今年実施された、COP28におけるGSTの決定文書「O

ブルーカーボンのおさらい(1)

ブルーカーボンについては何度もご案内してきましたが、Jブルークレジットの試行事業が始まり、企業の取り組みが始まり、環境省・国交省(港湾局)・農水省(水産庁)及び自治体が推進し、それに伴いメディアでの露出も高まり、改めて問い合わせも多く受けるようになりました。 Jブルークレジットのエバンジェリスト(?!)として全国行脚している私としては嬉しい限りですが、だからこそ、これまた繰り返しご案内している「カーボン・クレジット」と同様、ウォッシュ批判されることのない「高品質なブルーカー

小坪ブルーカーボンPJ始動

今までは、相談に乗ったり支援したりという形が多かった、ブルーカーボン。 ようやく、直接的に関与して生み出すプロジェクトを開始します。 残念ながら、今年度の創出は叶いませんが、来年へ向けてキックオフ。 まずは、現場を視察してきました。 今回一緒に取り組んで行くのは、逗子市の小坪漁協さん。 水産庁が「海や漁村の地域資源の価値や魅力を活用する事業であって、国内外からの多様なニーズに応えることにより、地域のにぎわいや所得と雇用を生み出すことが期待されるもの」を「海業」と定義し推進

Jブルークレジットのスゝメ(10)

Jブルークレジットの申請説明シリーズ10回目。 前回までで、算定方法についての説明は終了していました。 最終回は、申請書の作成方法について見ていきましょう。 何よりもまず、申請するJブルークレジットの量を確定させます。 これまで見てきた算定方法の中から、申請するプロジェクトに対して適切な方法(式1、式2-1、式2-2がありましたよね)を選択。必要なデータを、現地調査及び文献から把握、算定を完了させましょう。 申請量は、算定量とは異なります。 3回目、4回目、5回目で

Jブルークレジットのスゝメ(9)

Jブルークレジットの申請説明シリーズ9回目。 前回から、吸収係数の説明をしております。 8回目では、「単位ロープ当たりの湿重量」のお話までで終わっていましたので、今回は、「ブルーカーボン残存率」に入ってきます。 「ブルーカーボン残存率」は「式2−1」「式2−2」において登場する要素で、藻場や養殖プロジェクトにおいて、現地調査を実施する場合に用います。 さて、「ブルーカーボン残存率」はそのものズバリが文献値として存在するのではありません。「式2」を採用する場合のCO2吸

Jブルークレジットのスゝメ(2)

前回は、「Jブルークレジット®」制度の現状と、取り組む意義についてご案内したところで終わってしまっていました。 今回は、具体的なモニタリング方法について見ていきたいと思います。 基本的には、スキームオーナーが発行している「Jブルークレジット®認証申請の手引き- ブルーカーボンを活用した気候変動対策 -Ver.2.2.1」にしたがって説明していきます。 まず、そもそもブルーカーボンは何を算定しているのか、つまり、どこに蓄えられた炭素量を認証するのかを理解してください。

Jブルークレジットのスゝメ(1)

何度もご案内してきたブルーカーボンですが、お陰様でご関心を持って頂ける方もボチボチと現れ始め、技術的な内容を尋ねられる機会も出始めました。 ですので、ざっくりとその流れをご紹介したいと思います。 「興味がある」→「やってみる」のインセンティブになれば幸いです。 今回は、令和2年度から試行事業として実施されている、「Jブルークレジット」を創生することを前提に、説明していきます。 「Jブルークレジット®」制度は、パリ協定の発効に伴い、いわゆるブルーカーボン生態系のCO2吸収

GHG削減待ったなしです

2023年に突入しました。 2022年は、4月にnoteを始めたのが、個人的に大きな進歩。 というのも、これまで、個人的な発信をほとんどしてこなかったからです。 もちろん単発的にはありましたが、継続したことがありませんでした。 ただ、お客様の脱二酸化炭素化、持続可能な研究開発、地域活性化等を支援していく中で、その活動のコアとなる部分はほとんど共通しており、繰り返しご説明する過程で、かなりの程度蓄積され、もっと活用できるようにしたいと思い、重い腰を上げたのでした。 具体的に

ブルーカーボン活用のススメ

11月に入ってからは、気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)を追っかけておりました。エジプトはシナイ半島の南端に位置する、一大リゾート地「シャルム・アル・シェイク」にて、11月6日から2週間の予定で開催されていました。 当然のように会期は延長され、週末にもつれ込み、日曜日の未明にようやく合意に達しました。今回のCOP27は、ホスト国が温暖化の影響に脆弱なアフリカ開催ということもあって、特に気候災害の「損失と損害」への対応が焦点となり、「損失と損害」に関する新基金の

ブルーカーボンのご案内

以前、ブルーカーボンを推進している旨、お伝えしたことがありました。 「ブルーカーボンとは何ぞや?」については、こちらを参照頂くのが一番良いです。国内の第一人者、港湾研究所の桑江先生が、こちらで説明されています。 そのなかで、このようにご自身の経験を交えて紹介されています。 具体的にはどんなことをやっているのか、どのような思いで実施されているのかは、こちらのブログが分かりやすく、共感できます。 もちろん、桑江先生も寄稿されています。 さて、ここで改めてご案内するのは、

ブルーカーボンを推進しています

4月13日の報道ステーションで、持続可能な社会を目指すSDGs企画13回シリーズの第1回としてブルーカーボンが紹介されました。 ブルーカーボンとは、「海洋生物によって大気中のCO2が取り込まれ、海域で貯留された炭素」のことです。森林など陸域で貯留される炭素であるグリーカーボンと区別して、このように呼ばれます。 陸域で生育する植物により固定されるグリーカーボンと比較して、ブルーカーボンは貯留期間が長期にわたるため、炭素貯蔵庫として特に重要です。 排出量算定方法のスタンダー