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高品質なカーボン・クレジットを求めて

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誤解されやすい、カーボン・クレジット。適切に使用すれば、1.5℃目標も夢じゃない!正しい理解をお手伝いします。
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記事一覧

台湾のクレジット事情 現状確認

AlliedOffsetsの隔週発行ニュースレター「Policy Carbon Currents」 気になっていたイシューをタイムリーにレポートしてくれるので、非常に助かります。 今回は、台湾のクレジット動向がテーマ。 法規制関係は中国語のみが多いので、とかく情報収集に苦慮するので、めちゃくちゃ参考になりました。 昨年23年8月、台湾証券取引所と台湾当局系ファンドの国家発展基金が共同で、台湾初のカーボン・クレジット市場「台湾炭権交易所」を設立、関連する法整備などを行った後

小坪ブルーカーボンPJ 着々

時折お届けしている、小坪ブルーカーボンPJの進捗状況。 前回は、生長している様子をお届けしました。 今回は、その収穫の様子を…と思っていたのですが、残念ながら、養殖場での収穫作業や収穫後の天日干し作業等々、都合がつかず参加叶わず。天候にも左右されるので、時期を合わせて九州からというのは、中々ハードルが高いことを痛感。やはり、移住すべきか?と悩むこの頃です。 前置きはこれくらいにして、今回は、ワカメの様子をお届けするのではありません。養殖は、11月末に種付けして、翌年2月

世界銀行のCPレポート 斜め読み(1)

世界銀行(世銀)は、こちらのダッシュボードを通じて、世界のカーボン・プライシング(CP)の情報を発信しています。 説明をしておくと、CPには次の3つの種類に区分されます。 排出量取引(Emisssion Trading Scheme:ETS)のみであれば、ICAP(International Carbon Action Partnership)も重要な情報源です。 導入されている国・地域がマップやリストで示されますし、排出権価格(Allowance Price)のチャー

CDRの真実 マイクロソフトとバイオ炭

IPCC第6次報告書(AR6)において、1.5℃削減経路達成のためには。二酸化炭素除去(CDR)が必要不可欠であることが明らかにされたことは、皆さんもよくご存知のことでしょう。 AR5とAR6の間、2018年10月にリリースされた「1.5℃特別報告書」において、すでにCDRの重要性については明記されていたので、驚くべきことではありませんでしたが。 これを機会に、CDRの創生や利用を検討し始めた企業も多かったものと推測しますが、マイクロソフトもそのような企業の一つでした。

インドネシアのカーボン・クレジット市場(2)

隔月で、国・地域のクレジット市場を深掘りしたレポートをリリースしているACX。今回は注目していた「インドネシア」をフィーチャーしていましたので、その内容についてご案内しております。 前回は、セクター別まで説明しておりました。 このように、Waste DisposalとRenewable Energyで、CDMレジストリに登録された全クレジットの70%以上を占めていることが分かりました。 ですが、グラフから内訳は分かりませんので、UNFCCC CDMプロジェクト検索ツール

インドネシアのカーボン・クレジット市場(1)

ウェブ上で完結するカーボン・クレジット市場を提供しているACX。 毎週発行されるマーケットレポートでお世話になっており、noteでご紹介したことがあります。ご関心のある方は、こちらを参照下さい。 そのACXは隔月で、国・地域のクレジット市場を深掘りしたレポートをリリースしているのですが、今回は「インドネシア」でした。 昨年より、アジア、特にASEANのカーボン・クレジット及びサスティナビリティ情報開示熱が高まっていることから個人的にも注目し、noteでもご案内していまし

米国から目が離せない?!

4月9日、SBTiによるスコープ3削減に当たってクレジットの利用を認める旨の声明を発端として、サステナ界隈がざわつき始めたのは、皆さんご承知の通りでしょう。 実際問い合わせも多く、取り急ぎ、個人的な見解をご案内しました。 もしご覧になっておられないようでしたら、是非。 これに至る伏線は複数あり、さほど驚きではありませんでしたが、やはり、足元で起きている現象を俯瞰して、今何が起きているかを把握する「Insight」と、これらを解釈して将来何が起こりそうかを予測する「Fore

クレジットがお店に並び始めた?!

クレジットについては繰り返しご案内しているところですが、そもそも論として、次の欠点がありました。 あくまでも私の見解なのですが、こんな「商品」誰が買うのでしょうか? もちろん、J-クレジットを扱うプロバイダーやコンサルも複数存在していますし、私も利活用をご案内していましたが、やはり相対での取引となってしまい、「気軽に」購入できるものではなかったというのが現実です。 なので、はっきり言って、これまでは商品性(?)を十分に理解している「プロ」のみぞ扱う「商品」だったと言えま

追加性(Additionality)を理解しよう

皆さん、「追加性(Additionality)」という用語はご存知ですか? J-クレジットの実施規定において「プロジェクトが満たすべき要件」の一つとして挙げられていますので、クレジットに携わったことのある方なら、当たり前の概念ですよね。 何も国内に限ったものではなく、国際的な概念であり、ボランタリーなGHG排出削減プログラムを推進する非営利団体のICROA(International Carbon Reduction & offset Alliance)は、認証可能なクレ

クレジット動向を勝手予測

かれこれ10数年、国内のカーボン・クレジットに携わっていますが、海外のカーボン・クレジットのダイナミックさには、目を見張ります。 そもそも、国内のクレジットは「半」コンクレ(コンプライアンス・クレジット)の、J-クレジット一択。ただ、方法論が限られ、使い勝手も悪い。 今後、GXリーグから超過排出枠も生み出されるでしょうが、活況を呈する状態となるかは??? 完全なボラクレでは、例えば、フォレストック認証などもありますが、普及しているとはとても言えない状態。(応援したいです

クレジット化、必要ですか?

「カーボン・クレジット」という概念が、環境に携わる方々の間では浸透し始めてきていることは、私も含め、皆さんも実感されていることでしょう。 noteでは、その意味・意義や活用については繰り返しご案内しているという自負があり、喜ばしいとは思っています。 しかしながら、普及するに従い、問題が発生することは世の常。いつまでも、スタートアップで居続けられるとは限らないのです。 それを痛感するのが「クレジット作りたいんですけど」という問合せ。 noteでは、ブルーカーボンを推して

ブラジルのVCMが熱い?!

昨年、「アジアのカーボン・マーケットが熱い」というお話をしました。 既に稼働している中国や韓国はもとより、台湾やインドネシア、ベトナムで取引市場設立が予定され、インドでも模索しているというものでした。 また、気候変動だけでなく、サスティナビリティ情報開示のインフラを共通化し、統一したESG指標を導入するといった動きも出ていました。 個人的にも、台湾でブルーを創生しようと青図を描いていたところなのですが、地球の反対側、ブラジルでも「カーボン・マーケットが熱い」というお話をお

VCMに革命をもたらす10のイノベーション(4)

BeZero Carbonのレポートを、簡単な説明と、個人的見解を交えてご案内しているシリーズ、最終回。 前回までで1〜6まで紹介しましたので、今回は、残りの7〜10です。 よろしければ、こちらもご参照下さい。 10のイノベーションはこちらでした。 7. Insurance - giving the risk to people who want it クレジットを買う側からすると、これまでは、プロジェクトが実現するか、イニシャルのリスクが大きかったように思います。つ

クレジットと証書の違いを押さえておこう(2)

前回は、カーボン・クレジットと証書違いの、根本的なところをご案内しました。「まずは違うと言うことを知っておいて下さいね」と。 1回目はこちらです。 ただ、理屈ではそうだと思うのですが、個人的には、「高品質なクレジット」であれば、積極的に購入してほしいと思っています。 というのも、バリューチェーン内であれば、製品開発や購買行動、取引先へのエンゲージメント等を通じて、全体の排出削減を図ることができます。 しかしながら、バリューチェーン外では影響力を及ぼすことができないとこ