Additionalityに基づくICVCMの判断
ICVCMが、既存の再生可能エネルギー方法論に基づいて発行されたクレジットに対して、CCPラベルを付与しないことを発表しました。
CCPラベルとは、「高品質なクレジット」の証左とも言えるラベルで、次の2つのレベルで認証が行われます。
簡単に言うと、CCP-Eligibleは、クレジットプログラム(VCS、GS、ARTのようなボラクレスキーム)を認証するものであり、CCP-Approvedは、方法論(森林吸収やバイオ炭などのプロジェクト)を認証するものです。
詳細については、正式リリースがされた際、3回シリーズでお届けしました。
「高品質なクレジット」が備えておくべき条件、品質については、こちらのnoteでレビューしていますので、ご参照下さい。
CCPラベルやクレジットの品質について理解頂いたところで、今回のICVCMの発表の意味を考えます。
ボラクレマーケットの約1/3を占める再エネクレジットに対して、CCPラベルを付与しないというのです。このように、メジャーな方法論を対象外にするという発表ですので、驚きを持って受け止められた方も多いかと思います。
引き続き、理由が述べられています。
8つの再エネクレジット方法論について、「CCPラベルが求める「Additionality」についての要求事項を満足しないため」とのこと。
「Additionality」は高品質なクレジットの基本原則であり、クレジット収益がなければ、そのプロジェクトが実施されなかったことを保証するもの。再エネが世界的にコスト競争力を増す中、本当に収益が必要なプロジェクトに認証ラベルを与えるべきというこという、ICVCMの意思の表れですね。
今回、クライテリアが変更され、再エネ導入でも、最も大きな障壁に直面している地域における新世代のプロジェクトに限定、化石燃料からの世界的なエネルギー転換を支援するとしています。クレジットは真に追加的で変革的なプロジェクトを確実に支援することになるのだと。
「Additionality」は分かっているようで分かっていない概念ですし、初めて聞いた方もいらっしゃるかもしれません。RE100で、設備要件に15年縛りが加わったのも「Additionality」を考慮したもの、とお伝えすると「なるほど」となる方も、いらっしゃるでしょう。
こちらは一言でお伝えできませんので、以前詳しく解説しているnoteを参照して頂けたらと思います。
技術は進歩し、退化することはありません。
クレジットのベースラインが見直されるように、Additionalityの判断基準も、適宜見直されるべき。
ですので、今回のICVCMの判断は、極めて妥当だと考えます。
なお、このことによって、再エネプロジェクトが下火になるかというと、そうではないと思います。海外では、自社所有やPPA、電力証書の形で、自社の排出量を控除している場合が多いと思いますので、クレジット化する動きに影響が出る程度なのではと推測します。
個人的には、今後、ICVCMによる見直しの方向性と、それに対する他のプロジェクトオーナーの動向に興味があります。
刻々と変化する、サステナ界隈。
リアルタイム、とまではいきませんが、タイムリーにお届けしていきたいと思っています。
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