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IWA42 Net Zero Guidelines ISO化へ

COP27開催中の2022年11月11日、ISOが「IWA42 Net Zero Guidelines」をリリースしたことは、皆さんもご承知のことかと思います。

「国家、地域、都市、組織レベルの関係者に対し、ネット・ゼロを調和、理解、計画するための世界的な基礎を提供する」ことを目的としており、具体的には、公式サイトにおいて、次のように説明しています。

・ネット・ゼロの定義と関連用語(温室効果ガス除去、オフセット、バリューチェーンなど)、スコープ1・2・3の範囲の違いを明確にすること。

・カーボンニュートラリティを達成しようとするすべての関係者のためにハイレベルな原則を示すこと

・できるだけ早く、遅くとも2050年までに達成するための実行可能なガイダンスとなること

・透明性のあるコミュニケーション、信頼できる主張、そして一貫した報告方法を提示すること

リリースウェブサイトより

大本営からの公表とあって、私もnoteでご案内しました。

当時は(といっても、つい1年半前ですが)、2020年に国連が開始した「Race to Zero」キャンペーンが話題に上がるようになった頃。

各イニシアチブで「ネット・ゼロ」の必要性が声高に叫ばれるようになった一方、ネット・ゼロ」に対する競合するアプローチやコンセプトが混乱を招いているという、混沌とした状態だったと思います。

他方、ネット・ゼロ同様、脱炭素化の取り組みの概念である「カーボン・ニュートラリティ」は、「カーボン・ニュートラリティ」は、「ISO14068−1 2023 Carbon neutrality」がリリースされたこともあり、安心して目標に掲げ、開示・公表していくことが可能になりました。

ISO14068-1およびカーボン・ニュートラリティについては、詳しくご案内していますので、よろしければ、参照下さい。

このように、カーボン・ニュートラリティに先を越された形となっていた「IWA42 Net Zero Guidelines」ですが、LCAFの稲葉先生によると、「ISO14060:Net zero aligned organizations」へと格上げされることが決まったそうです。

2025年11月のCOP30(ブラジル)に合わせて発行することが計画されています。これまた、話題を一気に持ち去りそうですね(笑)

なお、発行直前まで「ISO14068:2023 Greenhouse gas management and climate change management and related activities-Carbon neutrality」だったところ、説明無しに「ISO14068-1:2023 Climate change management-Transition to net zero-Part 1:Carbon neutrality」になったとか。

末尾に「-1」がついて「Carbon neutorality」が付されたことは、「-2」は「Net-zero」の伏線だとにらんでいたんでいたところ「当てが外れました」と、稲葉先生。

個人的には、ISSBが、IFRS S1・S2の続きとして、S3・S4・S5の開発を宣言、アジェンダについてのコンサルテーションをしていたように、「予測不可能性」を担保してほしいところです。

なお、規格の題名が「Net zero guideline」から「Net zero aligned organizations」に変更になっていることから、対象は「組織」。GHG算定方法における「ISO14064−1」のリエゾンになっているように思います。

ここで気になるのが、カーボン・ニュートラリティとネット・ゼロの折り合いをどう付けるか。noteでも書きましたが、IPCCの定義にしたがうと、タイムスケールが異なるので明確に異なると思うのですが、どのような書きぶりになるのでしょうか。

SBTiのNet-zero Standardは、ISOリリースを受けてどのような変更が加えられるのでしょうか。逆に、大本営が決めてくれたので、責任を転嫁しつつ、「安心」して「ネットゼロ達成のための中和の方法」をリリースできたりするかもですね。

ちなみに、今回利用させて頂いた稲葉先生の情報は、LCAFのメルマガ会員になるとゲットできます。

研修や検定試験も行われていますので、賛同会員もご検討ください。
(回し者ではありませんが、稲葉先生にはお世話になっておりますので)

ということで、ネット・ゼロのISO化について想いを馳せてみました。

検証をする人間としては、明確な「規格」「基準」ができることはwelcome。
開示を予定している企業にとっても、好ましい状況ですよね。
刻々と変化するサス界隈ですが、これからも、皆さんに有用な情報をお届けしていきます。ご期待下さい。


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