9 物理学と幾何学について
幾何学において、調和積分論は極めて重要である。コンパクト多様体のドラムコホモロジー群の有限次元性が、調和積分論から導かれることをご存じの読者も多いであろう。調和積分論を扱うテキストは多い。いずれも、ラプラス作用素の定義から始まり、理論展開されていくが、そもそもラプラス作用素がどうして幾何学の研究に結びつくのか、私の知る限り、テキストには明示的には書かれていない。ラプラス作用素の起源は、物理学の研究にある。したがって、ラプラス作用素が幾何学の研究に役立つということは、大まかには