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不動産投資における複数物件所有のメリット・リスク

不動産投資は、うまく運用することができれば多額の賃料収入を得ることができるため、不動産投資に慣れてくると、2戸以上の物件を所有する人は少なくありません。

今回は不動産投資で複数の物件を運用するメリットとデメリットを説明します。複数の物件への投資を考えている方は、参考にしてみてください。

複数の物件に投資をするメリット

■物件が増えるほど収入や資産が増える

当然ながら所有する物件が増えるほど、それに比例して家賃収入が増加します。
月8万円の家賃収入がある区分マンションを2戸持てば、月16万円、3戸持てば、月24万円の家賃収入が得られる計算です。

また、不動産は現物「資産」であるので物件を複数所有すればするほど、それだけ多くの現物資産を所有しているということになります。
例えば1部屋3,000万円の区分マンションを2部屋持っていれば、合計6,000万円の資産を有していることになります。

ただし、一括で支払える人はほとんどいないと思いますので、ローンを組んで購入した場合は、ローンを完済するまでは純資産とはいえません。ですが、ローンの支払いが完了に近づくほど、所有する純資産が増える、ということになります。

資産が増えるということは、融資を受けやすくなることにもつながり、3戸目、4戸目の物件購入の際のハードルが下がるのです。
このように、所有する不動産を徐々に増やしていくことで資産を増やし続けることができます。

■万が一のリスクを分散できる
物件の場所を分散して所有することは、何かあったときのリスク分散が可能になります。
何かあったときというのは、予期せぬ修繕工事が必要になった場合や、大地震などの自然災害が起きてしまった場合などさまざまです。
ではさらに詳しく、複数物件を持つことがどのようにリスク分散につながるのか見ていきましょう。

・自然災害リスク

大地震や台風、津波などといった自然災害はいつ起こるか分かりません。
どんな土地の物件でも、こうした災害に見舞われるリスクがあります。
万が一自然災害によって所有する物件が倒壊してしまったり、人が住めない状態になってしまったら、家賃収入はなくなってしまいます。
それどころか、家の修繕や建て直しに多額の費用がかかるかもしれません。
しかし別の場所にも物件を所有しておけば、そちらから通常通りの家賃収入を得られる可能性があり、収入が0になることを防げます。
万が一のことを考え、離れた場所に物件を所有することで、災害時のリスク分散につながります。

・需要減少のリスク

不動産を購入して年月が経つと、物件周辺の様子は変化しがちです。
なかでも地方や郊外のエリアでよく見られるのが、地域の過疎化です。
人口が少なくなり、入居者が減ってしまうという需要減少のリスクが考えられます。
もちろんこのリスクは購入時によく検討するべきですが、数十年も先のことを確実に予想することはできません。

そのため、意図せず需要が減少し、空室が増えてしまうことがあるのです。
このときに別の場所に物件を持っていれば、片方は需要が減ることなく収入を得続けることができるかもしれません。
もしくは需要が上がり、空室率が下がるという可能性もあります。

このように、2戸以上の物件を違う場所で購入すれば周辺環境の変化にも対応しやすくなります。

■ローン完済後の収入が倍増する

物件を購入すると、家賃収入の大半はローンの返済に充てることになります。
また、それ以外の収入は管理費や維持費に充てられ、手取りはあまり多くないことが多いでしょう。

しかしローンを返済し終えた後は、管理費や維持費の支出以外、すべての家賃収入が自分の収入になります。複数の物件を購入して無事にローンを払い終えることができれば、収入が純増するということです。

仮に1部屋月額10万円のマンション経営を複数していたら、月10万円、20万円、30万円と多くの収入を期待できるでしょう。

老後の資金を十分に貯めておきたい方にも、子どもの教育資金を積み立てたい方にも、万一に備えて生命保険効果としても、複数の物件を購入するのが進められる理由です。

■節税効果が期待できる

不動産投資は事業として認可が下りれば青色申告特別控除や青色事業専従者といった制度を利用することができるため、複数の物件を所有することで、より大きな節税効果が期待できます。

これらは収入から一定額を控除し、所得税を減税するといった制度です。
複数の物件を購入することは非常に支出が多く大変なようにも思えますが、こうした制度を利用することで節税対策に成り得ます。

■追加所有の際のローン見直しで管理がしやすくなる

不動産を追加して所有する際、より低金利なローンに乗り換えることで返済の負担を軽減させることができます。その際に、大手の金融機関に乗り換えれば自身の信用度を上げることにもつながります。
ただし、ローンを借り換えるには、元のローンの抵当権抹消登記や登録免許税、司法書士報酬がかかります。

具体的には、新たな借入先では以下のような諸費用がかかります。

  • 保証料(金額は金融機関による)

  • 印紙代(1万円)

  • 融資手数料(数万円もしくは借入額の約2%)

  • 抵当権設定登記費用(数万円)

異なる借入先で2つの物件のローンを組んだ場合、両方を乗り換えするにはこれらの諸費用が2倍かかることになります。
しかし同じ金融機関で2つ以上のローンを組んでいる場合、こうした諸費用をまとめることができます。

このように、追加で物件を所有する際にローン乗り換えの諸費用が最初はかかりますが、金融機関を一社にをまとめることで、今後運用を継続していくうえで、諸費用が抑えられるというメリットがあります。

複数の物件に投資をするリスク不動産投資がうまくいき、2つの物件に投資をすれば単純計算で収入が2倍になりますが、リスクもあるため、しっかり把握しましょう。

■修繕リスクがある

建物は一定の期間で修繕やメンテナンスを行う必要があり、一度に多額の費用がかかります。
大規模な修繕工事をする場合、万一、大修繕積立金が充分にストックされていないとキャッシュフローが一時的に赤字になってしまうことがあるかもしれません。
また複数物件を保有しているとエアコンや給湯器などのメンテナンスにも費用が重ねてかかることもあります。
このように、複数の物件を持つことで修繕やメンテナンスのタイミングが重なってしまわないように物件選定時に大規模修繕や設備交換コストなどを運用計画にいれて注意しておくことが必要です。

■キャッシュフローが悪化するリスクがある

複数の物件を所有すると、状況によってはキャッシュフローが悪化してしまうリスクもあります。

例えば、家賃収入が1か月に10万円の区分マンションを2部屋持っていたとしましょう。
いずれも月に1万円の管理費と、8万円の返済があるとします。
すると、毎月手元に残るのはそれぞれ1万円で、合計2万円です(10万円-1万円-8万円)。

この状態で、あるとき片方の物件が空室になってしまったとします。
基本的には入居者がいなくても管理費は支払う必要があり、ローンの返済は続くものです。

つまりこの場合、空室の物件は月に9万円の赤字になってしまいます(1万円+8万円)。
もう片方の物件の収入の残りは月に1万円で、9万円という赤字を補填できる額ではありません。

万が一、2部屋が同時に空室になり、赤字になってしまった場合はさらに大変です。月18万円の赤字で収入は0円になります。
このように、入居者がいれば収入が倍になる反面、空室ができると赤字も倍になるのが複数の不動産を持つリスクです。
キャッシュフローは常に満室の状態で計算するのではなく、周辺エリアの入居率などを加味して、空室ができたときのことを想定しながら考えましょう。
キャッシュフローの基本についてはこちらを参考にしてみてください。

まとめ

不動産投資で複数の物件を所有する場合のメリットとリスクについてご紹介しました。複数の物件を持つことはメリットが大きく、収益や資産を拡大することにもつながるためおすすめです。しかし、失敗してしまうリスクも潜んでいます。リスクは物件選びを慎重に行えば避けられることが多いため、慎重に行うようにしましょう。


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