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政治家に話を聞いてみよう! ~ 大河原雅子衆議院議員編 No.2 ~

 後半では、大河原さんの目指す社会像について、大河原さんの政策八項目と、カラフルメンバー周辺の若者約30人を対象に取った、興味のある社会問題についてのアンケートに則して聞いていく。

環境問題と電力

 若者の興味のある社会問題第1位は環境問題だった。大河原さんはご自身の政策の中で省エネ・再エネの拡大で原発ゼロを目指します、とかかげている。この点について詳しく伺った。

大河原さん 私は原子力発電には反対です。私は1953年、終戦の8年後に生まれました。私の生まれる前の年までアメリカが日本を占領していたっていう時代です。当時は原爆を落とされたけど、今度は核の平和利用という事で原子力を使っていこうという機運があって、原発は夢のエネルギーといわれていたの。私はチェルノブイリの原発事故の時に原発について疑問を持つようになりました。少し遠い国で起きたことだったけど、放射能の問題が自分たちと無関係でないことを実感したんです。私は当時世田谷に住んでいたんだけど、そこにアイソトープ研究所っていうのがあって、そこに放射線量がでるんですね。それが増えていた。
 それと先ほどお話していた生協で、共同購入していたお茶から放射能が検出されました。お茶って収穫してから一度も洗わずに製造するんですね。空気中に含まれていた放射能が付着したのでしょう。国の基準より低いんだけど、それをみんなで飲むか飲まないかっていう議論を私の先輩たちがしていました。その時から原子力エネルギーというものについてよく考えるようになりました。この原子力エネルギーっていうものをよく考えてみると、例えばウランを掘り出すところからすでに、掘り出す人が被爆をすることになっちゃうんですね。それを生成する段階でも作業をする人が被爆をしてしまう。そのうえ、強固な原子力発電所を作ってそこに原子力を閉じ込めて、エネルギーを作っていくときにも、一番怖いのは被爆ですよね。誰かの被爆を当てにしないとこの技術っていうのは使えないっていうのが2011年の福島の原発事故で明らかになったと思うんです。チェルノブイリの時にああ、原子力発電やめたいなって思ったんだけど、3.11で恐れていたことが起こった。原発っていうのは非倫理的なエネルギーだと思うんです。脱原発っていっていたけど、本当は禁原発なんじゃないかなっていう思いにも駆られています。ちょうど2011年の3月11日、私は与党の参議院議員でした。事の推移を見ていて、いろんないい環境政策とか、子育て政策とか、経済政策をやったところで、原発を使い続ける限り、1回事故がおきたら、あっという間にそれがご破算になるっていうのを目の前で見たのね。これは絶対エネルギー転換をしなければいけないと強く感じました。日本には資源がない、自前のエネルギーがないって言われてきたけど、再生可能エネルギーっていうのはどこにでもあるんですよね。大きなシステムの中で、遠くで電力を作って、大量のエネルギーを使って都会に持ってくるっていうシステムが私はもうだめだと思う。再生可能エネルギーは世界の潮流ですよね。パリ協定を実現していくためにもエネルギー転換が必要です。それにこの原発のエネルギーはほとんど経済的には破綻をしている。安くて安全でクリーンでっていうのが原発を推進してきた人たちの理屈なのね。でもこの小さな島に54基もの原発を並べて、地震があるは、台風もあるは、福島の原発事故で津波で電源喪失したっていうこの事実もある。これからさき安全に原子炉を後始末していくのにもどれだけお金がかかるかわからない。廃棄物の処理する場所も決まらない。これはもう使い続けてはいけないエネルギーだという事がはっきりしたと思っています。私は、原発を無くしていく私たちの政権を選んでもらうことで、再生可能エネルギー社会を作る国に転換したいとおもって、この政策は一番大事だと思っています。
 とにかく発想転換が必要なんです。ようするに戦争に負けた後に経済をよくしよう、大量生産して物を安くしよう、その為には大きなシステムが必要だっていって色々と進めたんだけれども、大きなシステムを作りすぎて、1回それが破綻したらたちゆかないような世の中になってしまった。だから、この再生可能エネルギーを作っていくときには小さな単位から始めて、積み上げていくっていう方式に変える。小さな単位で積み重ねていくと、そこであまりができたから隣に融通するというようなこともできるようになると思うんです。これからの時代の電力は、昔のように大きな単位で経済をつくっていこうとしてた時に採用された原子力じゃないよね、っていうことだと思います。

 大河原さんは新しい電力供給の形について、「みんなが電力会社の社長になるようなイメージかな?」という。更にその地域の電力エネルギー協同組合を作ることなどができれば、あたらしい仕事を作り出すこともできるのではないか、というのが大河原さんの考えだ。原発を無くしていくといっても、今まであった仕事を無くすのではなくて、あたらしい仕事に転換していく、という考え方なのだ。

 再生可能エネルギーの発電方法には、波を使った波発電、潮流を利用して海中に設置した水車を使って発電する潮流発電など面白い方法が沢山あると大河原さんは言う。

 一方、まだまだ技術に問題があるものも多い。ソーラーパネルは製造に有害物質を必要とする。また、パネルを設置するためにかえって森林開発が行われ、かえって自然破壊につながることもある。大河原さんは耕作放棄地に傾きを調整できるパネルを設置し、その下で枝豆やお茶を製造するソーラーシェアリングなど、それぞれの地域の実情にあった方法を検討しなくてはならないという。

 すぐにすべてのエネルギーを転換することはできない。それでも、政府がきちんと方針を打ち出せば必ず実現する、と大河原さんは言う。

ジェンダーと政治

 日本のジェンダーギャップ指数は154ヶ国中121位。特に政治分野での女性の進出が進んでいない。立憲民主党内ではジェンダー平等推進本部の本部長をお勤めの大河原さんにこのテーマについても伺った。

大河原さん 女性の議員って初めての総選挙の時が一番多かったの。ようするに憲法ができて女性に参政権ができて、初めての選挙が一番多かった。いまだに日本には女性議員が一人もいない議会ってたくさんあるんですよ。今衆議院って定数423人なんだけどそのうちの一割しか女性議員っていなくて、なかなか女性が議員になるのってハードルが高いんです。女性で議員なる人もお父さんやおじいちゃんが政治家とか、そういう人が多いのね。それから土井たか子先生のように憲法学者ですごく有名な人とかね。参議院だと女性の団体から組織的に送り出された人とかが多くて、普通のおばさんが議員になるのってすごく難しい。なんで難しいのかっていうと、地盤看板カバンっていう3セット、つまり、その地域の支持=地盤、看板=名前、カバン=お金を得るのが難しいの。大きな政党は候補者になる人に、じゃあ300人くらい講演会員を連れてきてくださいね、とか自前でいくらお金を用意できるんですか?とかそういう条件が沢山ある。もちろん能力的にも競争で勝ってきた人が議員になるんだけど、やっぱり往々にしてその地域で女性と男性の候補者だと、なんとなく男性の方が頼りがいがあるように、思われるのか、「いやー男にやらせなくてはだめだよ」って言われたり、男性だっていうだけどもう決まってしまったりする。それほど、政治は男性のものっていう意識が大きいし、女性が立候補したときに、「あんな子供が小さいのに、仕事ができるわけがない」「今は子育てすべきだろ」って言われたり、とにかくいろんな障害がある。家事や育児を放り出して政治をやってる女はけしからんっていうバッシングまであるんです。どんな集団の中でも三分の一考えが同じ人がいると、この集団の考え方が変わっていくんですよね。今は三分の一なんてとてもいないんです。だから少なくともまずは議会の中で三分の一にしていこうっていう考え方が大事なんですよね。そして、女性を議会の中で半分にしたいっていう思いがあります。
 政治は若者にとっても関わりづらい。そもそも満25歳以上にならないと衆議院とか普通の選挙立候補できませんよね。参議院の場合は満30歳以上ですよ。投票の事については私たちが20歳じゃなくて18歳に引き下げましょうっていう運動をずっとやってきてやっと18歳になっているわけ。皆さんはもうすぐですね。立候補できる年齢も18歳でいいと思います。
 今若者たちが本当に声を上げています。この前も若者たちの声を男女共同基本計画に入れてください、と陳情に来られた若者たちがいました。政治家の年齢って私が入ったときなんか高齢の人が多かったんですよね。今も30代40代がまだひよっこっていわれるような、そういう世界です。でも、もっと先の事を決めてるのに、未来の当事者ではない人たちが決めているっていう現実に若者に気付いてほしい。先の事は当事者である自分たちに決めさせて、って思ったら18歳で立候補させてよって思いません?ドイツの場合は18歳の国会議員がいるんですよね。ドイツではほとんどの党が青年部を持っていたりするんですよね。小さいころから政治を自分からものにして自分にあう政党を選び、そこから立候補するっていうのもハードルが低い。すごく日本とは違う。日本が遅れているのがわかりますよね。

政治と若者

 若者の政治参加は大きな課題だ。僕自身カラフルデモクラシーで活動をする中でその大切さと難しさをひしひしと感じている。同世代からは度々こんな声が聞こえてくる。「色々問題があるのはよくわかる。でもそれを自分でアクションを起こして変えていこうと思うかというとそうは思わない。世の中悪くなってしまったら困るけど、それが世の中の流れなら自分は受け入れるしかないかな」。そんな若者に向けて、政治の現場から世の中をより良い方向に向けていこうとされている大河原さんにメッセージをいただいた。

大河原さん 一人の人間の中にいろんな当事者性があると思うんです。女性であること、若いとか、受験期であるとか、お金がないとか、ちょー金持ちだとか・・・。それぞれなんか困ったことがあっても、それは自分だけの問題だと思っているかもしれない。でも見方を変えればそれぞれいろんなところで共通点があると思うんです。いろんなことを知ることでその共通点を見つけていって、自分だけのことじゃないって思ったとたんに、そのことがリアルな政治の課題になるんだと思うんです。
 この間、大学入試の英語の民間試験導入っていうのが話題になりましたよね。あれも本当の受験生たちがあっというまに4万5万筆、署名を集めて文科大臣のところに持ってこられたのね。自分に関係のあることだったらみんな気になるんですよね。とりあえずその人が関心ないやって思っているときには知らないことが多いんじゃないかなって思います。
 あらゆることが政治だと思ったらいいと思いますね。私が都議会議員になる活動に初めて触れた時に、政治っていうのはお味噌汁の中にも空き缶の中にもあるって言われたんです。いろんなところに考えれば考えるほど政治の中身があって、外交とか防衛とかそういう事だけを語るのが政治じゃない。政治を自分が使いこなす道具だって思えたらいいんじゃないかな。


 終了後、参加者からは「政治家が身近になった!」「普段は接することがないけど、意外と話をしてくれるんだね!」といった声が寄せられた。こういった取り組みを通して、少しでも政治が身近になり、少しづつ関わる人が増えることを願う。


 大河原雅子衆議院議員、ありがとうございました!

                       (記事作成:松浦 薫)

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