神谷が待ち合わせ場所に遅刻して 来ることが、当たり前になっていた。 最初の頃は咲より前に来ていたり、 ほんの数分程度だったのが 次第に10分、15分、20分… そしてナゼ?か平田も時折、同行するようになった。 そんなある日、咲と園児の頃から仲が良い 『小百合』がテニス部で神谷と親しい 『五十嵐』に告白がしたい!と伝えられる。 前々から小百合が五十嵐に想いを寄せて いると話しは聞いていたが、 その想いが強くなり咲に協力して欲しいと…。 「わかった!神谷くんと仲も良い
互いの家から中間地点の小さな公園で 待ち合わせをした。 咲が公園に着くと神谷が待っていた。 「ごめんね、待った?」 「いや、さっき着いたところ」 「今日の午前中の部活は運動公園だったよね?」 「詳しいねぇ~(笑)」 それからしばらく、クラスの話しや もちろんこの二人には欠かせない 三人の話題も出た。 少しすると、同級生らが来たので 「場所を移動しようか…」 と、隣町の図書館まで移動し 噴水の前で座り話しをした。 平日、お互いの塾がない日には 電話をして 休日
翌日、リナと美保が咲のクラスを 尋ねて来た。 「ジンが電話で話しがしたいって! 電話番号を教えておくね(笑) 咲ちゃん塾の日は何曜日だった? 今日の夜は大丈夫?」 家の固定電話しかなかった時代。 男子生徒からの電話に他の家族が出ては いろいろと面倒なので 電話がかかってくる時間になると 電話番をするようになった。 挨拶程度くらいにしか話した事がない 神谷からの電話で 何を話したらいいのか… リナと美保や、平田がいない二人きりの 会話が続くのか…
給食が終わった昼休み、リナと美保が 咲を尋ねた。 「付き合ってと咲ちゃんが言ってたよ! と伝えたら、わかった。だって(笑) 今日の部活が終わったら4人で話しを するから西門を下った場所で待ち合わせね!」 リナと美保の段取りには驚くばかりだった。 実際、リナと美保がいなかったら この告白は上手くいかなかったのだろう… 想いが実を結んでも、それから先を どうしていけばいいのか… それも思い浮かばない咲には二人の 友人には感謝しかなかった。 部活が終わり
突然、告白せざる負えない状況に なったとはいえ この結果になるならば、好きです。 と言わなければ良かった… 咲は心の中で後悔した。 明日、顔を合わせる平田に 冷やかされるのではないか…と思うのも 後悔する一つの要因でもあった。 翌朝、平田を見たら何かを 今にも言いたげな表情をしていた。 咲は今日一日が早く終わることを切に願った。 二時間目の授業が終わった時、リナと美保が 息を切らし咲のクラスに走って来た。 「授業中に美保がジンと昨日の話しをしたら 好きです。
「あれ、ジンはどっちに行った?」 「あっ、見つけた!あっちの道だ!」 リナの力強い手に引っ張られながら走る。 美保も一緒に神谷を追いかける。 「ジーン、ジン!待ってー!」 その声に神谷が振り返り、足を止めた。 バタバタと三人が駆け寄る。 すると力強い手が離れ、リナと美保は 咲と神谷よりも距離を取って佇む。 神谷の前に立たされた咲は、息を整えるのと この状況を理解するのに必死だった。 (この場をどうしたらいいのか…) リナと美保に視線を送るが、知らぬ顔をしている
平田に神谷へ想いを寄せていると 打ち明けてから、しらばくして 夏休みに入った。 夏休み中、咲の部活とテニス部が 同じ時間帯になると 神谷の姿を探してしまうほど 咲の中で、神谷に対する想いは 日に日に強くなっていった。 夏休みも終わり、体育祭の練習が 夕方に始まり別の組で 神谷は応援団員になっていた。 広いグランドの端と端であっても 神谷をすぐに見つけられた。 強くなる想いの中で、この気持ちを もし神谷に伝えたとして その先はどうなるのか… また失恋するのだろう。
週末開けの月曜日、授業中に平田が小声で 「お前、よくテニス部の部活を見に あちこちにいるけど、誰見に来てるんだ?」 (ギクッ…) 平田には一番聞かれたくない事だった。 「あぁ、リナと美保ちゃんが見に行かないか? と誘ってくれるから、付き添いだよ!」 「本当はお前、好きなやつ見に来てるんだろ? 誰か教えろよ、協力してやるよ(笑)」 平田のおかげで私は気の強い変な女と 失笑されたので 今、一番お断りしたい協力者であった…。 「うん、あっ、あり
「ねぇねぇ、うちのクラスの神谷くんって 知ってる? 美保の隣の席でテニス部なんだけど。」 「えっ、神谷くん?」 「じゃあさぁ、給食終わったらうちのクラスに来てよ!」 「うん、わかった。」 そう言われて、咲はリナのクラスに向かった。 「ほらっ、美保の隣にいるのが神谷くん。 今うちのクラスの学級委員なんだよ!」 「へぇ~、そうなんだ。」 「さわやかな感じでしょ(笑) 性格も優しいしさぁ~、ねぇ、どお?」 (いや、どお?って言われても…
あれから数日して、塾へ向かう途中で 犬の散歩へ行く詩織の姿を見つけた。 (モヤモヤしていても仕方がない… 思いきって聞いてみよう。) 「詩織ちゃん」 「あっ、咲ちゃん!今から塾?」 「詩織ちゃん、八木先輩と付き合ってるって 聞いたんだけど… 本当?」 「…うん、八木くんから付き合って欲しいと言われて。 私も八木くん良いなって想ってたんだよね。 咲ちゃんが好きなのは知ってたんだけど…」 「八木先輩、カッコイイもんね! 詩織ち
月日は流れ、咲は中学二年になり リナと美保は同じクラスになった。 春の暖かな陽気が漂う日曜の昼下がり、 テニス部の練習を見に学校でリナと美保と 待ち合わせた。 三人で恋バナに花を咲かせながら それぞれが想いを寄せる先輩の姿を追う。 そんな時間を過ごしていたら、テニス部の 活動が終わりを告げる。 私たちは慌てて隠れるように自転車置き場で 身を隠しながら、テニス部の部室に視線をおくる。 (今日こそ八木先輩に話しかけてみよう!) そんな話しを三人でしていた。 咲の心は騒
これは一人の『咲』という少女が 出会った少年との物語である。 咲が通う中学校は、二つの小学区を 卒業した生徒が集まる学校であった。 少年『神谷』は咲と別の小学校に 在席していたので、中学校で初めて出会った。 神谷はテニス部に所属していて、咲は 彼の存在を知っていたのだが 一目見て以来、一つ年上の 先輩の存在に夢中になっていた。 その先輩『八木』は、咲ら同学年からはもちろん 八木と同年、その他の学年の生徒からも 恋い焦がれ、想いを寄せる 女子生徒が多くアイドル的な存在
今日から投稿をスタートします 『しずく』と申します! 私の名前の由来は 姪っこが、その当時とある作品を観ていて その作品中の登場人物の女の子が 『雫』という名前で 私に似ている! と言っていたのを思い出して お名前を拝借しました。 人生の約95%くらいはたいがい 雫さんと同じ髪型をしています! あと特に午前中に乗り物に乗ると 乗り物酔いをします。 ・車 ・電車、バス ・飛行機 ・フェリー 自分の運転や、乗り慣れた人の運転は 大丈夫です! そして子どもの頃から、夜