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春風に舞う少年 #3

あれから数日して、塾へ向かう途中で
犬の散歩へ行く詩織の姿を見つけた。

(モヤモヤしていても仕方がない…
     思いきって聞いてみよう。)

「詩織ちゃん」

「あっ、咲ちゃん!今から塾?」

「詩織ちゃん、八木先輩と付き合ってるって
    聞いたんだけど… 本当?」

「…うん、八木くんから付き合って欲しいと言われて。
   私も八木くん良いなって想ってたんだよね。
      咲ちゃんが好きなのは知ってたんだけど…」

「八木先輩、カッコイイもんね!
   詩織ちゃんも可愛いし!お似合いだよ!」

「うん、ありがとう。」

「じゃあまたね!」

そう言って自転車を走らせた。

朝が来て、夜が来る。

学校へ通い、夕方に帰宅する。

授業を受けて、給食を食べ
掃除をして、部活に励む。

そんな一日が、一気に色褪せて見える。

『八木』への想いを断ち切ると決めてから
学校生活に張りが無くなった。

リナが「美保と話してたけど、咲ちゃん最近
     元気が無くなっちゃったよね…って。
    また一緒にテニス部の追っかけしたいよねって。」

リナと美保は想いを寄せる先輩に彼女が
いると知っても、先輩への想いは変わらず
続いていた。

想いを寄せる人がいて、自分の想いは
たとへ届かないとしても

その姿を見つけては喜ぶ二人の純粋な
何かを見ていたら

想いを寄せる人がただ、いることへの
幸せさを感じた。

「元気だしなよぉ~、また夢中に
      なれる人が現れるかもよ!」

リナと美保が会う度に励ましてくれる。

また三人で恋する楽しい時間を過ごしたい…
そう思うようになり

咲の心も時間と共に少しずつ癒えていった。

ここまで読んでいただき、
ありがとうございます(^人^)

また続きは日を改めて投稿しますので
しばらくお待ちください。