2年連続最下位からの下剋上〜ヤクルト&オリックスの共通点を考えた
2021シーズンのプロ野球ペナントレースも残りあと1試合を残すのみ。セ・リーグは『東京ヤクルトスワローズ』が、パ・リーグは『オリックス・バファローズ』がそれぞれリーグ優勝を決めた。
セ・パ両リーグで、前年度最下位だったチームが優勝するのは史上初。ましてや両チームとも2年連続で最下位に沈んでいたことを思えば、奇跡と言ってもいい。
スワローズファンの私も、シーズン前には「なんとかAクラス入りしてCS進出して欲しい」くらいの期待度だったし、前半戦Aクラスターンした時ですら「あわよくば優勝!」程度に見ていた(笑)
今季この2チームの躍進は、期待はしても予想までは出来なかったように思う。
戦い方もチームカラーも全く違う両チーム。それぞれに優勝できた要因はあると思うが、"2年連続最下位"という以外にも、何かと共通点が多い気がしている。
なぜ奇跡は起きたのか?
今回はその"共通点"をベースに、私が今感じていることをnoteに残しておこうと思う。
◆チームの結束力と合言葉
正直、両チームともズバ抜けて強かったというわけじゃない。両リーグ共に、優勝争いは最後の最後までもつれた。
2チームに共通して、苦しい中盤から終盤にかけてライバル達が失速する中、チームの状態を維持できたこと。そして大型連勝で勢いに乗れたことはポイントとして挙げられるかなと思う。
この連勝の影には、チームの結束力を強くする出来事があった。
ヤクルトで言えば9月13日の中日戦、最終回で起きた2塁塁審の"ミスジャッジ"に対する高津監督の猛抗議だ。この翌日からチームは9連勝を成し遂げる。
一方のオリックス。将来を嘱望されながら難病を患い、志半ばで現役引退を決意した西浦颯大選手の存在。彼が引退を発表した翌日から、チームは8連勝で勢いに乗った。
ヤクルトは『絶対大丈夫』
オリックスは『西浦のために』『全員で勝つ』
それを合言葉にチームが一つにまとまり、優勝へと駆け上がる原動力となったのではないかと思う。
◆高津監督・中嶋監督の共通点
今季の躍進は、2人の優勝監督の手腕・采配によるところが大きい。現在52歳、同学年のお二人。ちなみに阪神の矢野監督も同級生だったはず。
監督として見た時、私が感じた共通点をまとめてみると…
✅"ブレない" でも "固執しない"
✅選手ファーストな起用とマネージメント
✅明確なビジョンと計画性
✅戦術面での引き出しの多さ
両監督とも若手選手を積極的に起用し、我慢強く使い続ける印象。実践経験を積ませながらの育成方針が功を奏し、着実にチーム力を上げた。
これは2年連続最下位というのが、逆にプラスに働いたとも言えるかもしれない。常に勝利が求められる巨人やソフトバンクでは、そこまで辛抱強く待てはしないだろう。
そして2人が元2軍監督であったことも大きい。2軍で見てきたからこそ、選手の適性を見極め、1人1人に合った指導を行い、その可能性を信じてトライ&エラーを繰り返せる。
一方で、選手のコンディションや疲労に対しては非常に敏感で、決して無理はさせない。ブルペン運用なども徹底した管理のもと、無駄に肩を作るようなこともない。時には目先の1勝より、選手の回復を優先する勇気と決断力があり、状況に応じて、軌道修正も柔軟に行える。
この辺の"選手起用"や"マネジメント"に関しては、メジャー仕込みなのかな?と。高津監督は選手として、中嶋監督はパドレスでコーチ修行した経験が、チーム作りに生かされている。
選手の能力やコーチ陣の指導力、自分の選手を見る目や戦術を信じ抜ける"ブレない"強さを持ちながら、それに"固執せず''臨機応変に対応出来るから、この波乱のシーズンを戦い抜けたのではないかと思う。
両チームとも、2020シーズン終了時点で課題は山積みだった。最大の課題はコレ⬇️
ヤクルトは『投手再建』
オリックスは『得点力UP』
※ヤクルトについては、こちらの記事でも少しまとめてます。
チーム改革を数字で見ていくとこんな感じ。
昨シーズンは試合数が異なるため、2019年の成績と比較してみた⬇️
ヤクルトの防御率は1ポイント以上UP⤴︎
狭い神宮を本拠地としているため、ランナーを溜めての一発が一番怖い。今季は要所で三振を取れるようになったことが、失点を抑える意味で大きなプラスとなった。
絶対的エース不在ながら、この数字を叩き出せたのは、投手全体の底上げと、捕手のリードによるところが大きい。
オリックスの場合、数字だけ見るとさほど違いはないが、順位として成果が見えるし、一番大きいのは交流戦以降1番〜4番を固定でき、安定して得点を重ねられたこと。
得点も上積みは多くはないが順位は上がり、得失点で見ると-93→51と大きく向上。投打が噛み合うようになったことが伺える。
本塁打は4番杉本を筆頭に大きく数字を伸ばした。
クリアすべき課題に対して、どのようにアプローチするか、目指すべき野球はどのようなものなのか。"明確なビジョン"があるから、チーム方針や戦術が浸透しやすく、チーム全員ベクトルを合わせて戦える。
目指すべきゴールと、そこへ向かうための"プラン"があるから、高いモチベーションを維持して戦うことが出来る。両監督ともその事をよく理解している。
戦術というところでは、両監督ともに相手の意表を突いた印象的な采配があった。高津監督はコレ⬇️
そして中嶋監督のコレ⬇️
どちらも、決して足の速くない助っ人に足を使わせるという"奇策"だ。
戦力で劣るチームが強者に勝負を挑む時には、どうしても+αが必要になる。大胆な作戦、思い切ったシフト、意外性のある起用、適正を見抜いた配置転換など、とにかく"アイデア豊富"なところにも、似たものを感じる。
◆勝ちへの執念、ハングリー精神
今季見ていて、両チームのベンチの雰囲気が良いことは、画面越しにも伝わってきた。若いチームは特に、結果が出ることが何よりの自信になる。ただ、例年は勝てているうちは良くても、一度負け始めるとガタガタと崩れてしまう脆さがあった。
しかし今季は負けている場面でも下を向かず、時に明るく、時に悔しさをにじませながら必死で立ち向かう気持ちの強さ、最後まで諦めずに戦う姿が印象的だった。
両チーム共に、567や怪我で主力選手の離脱を経験したが、みんなでカバーし合い、明るい雰囲気で苦境を乗り切った。
負けることの悔しさ、1勝の重みを知っているからこそ、貪欲に勝利への執念を燃やし続けた選手たち。彼らの全力プレーに、何度も胸を熱くしたシーズンだった。
◆一過性の強さにしないで…
ヤクルトもオリックスもまだまだ戦力は十分とは言えず、素人目にも課題は山積。主力とサブの能力差はかなりあるし、今季結果を残した選手が来年同じ働きが出来るかと言えば、それはわからない。チーム再建の道なかばと言っていいだろう。
加えて、今季は五輪でシーズンが伸びた分、オフの期間が極端に短い。今季熾烈な優勝争いで疲弊したであろう選手たちが、来季に向けて十分な休養を取れない可能性もある。故障中の吉田含め、山本・山田・村上ら侍メンバーが、酷使した身体をこのオフどれだけ回復できるか、心配なところはある。
それでもこの下剋上を成し遂げた経験は、大きな自信になったろうし、十分に戦えるという手応えと、目指してきた野球の正しさを、選手たちも感じたはずだ。
これを1シーズンだけの"ラッキーパンチ"にせず、継続して勝てるチームにするためにも、このオフをどう過ごすかに注目したい。
フロントによる補強、コーチングスタッフによる分析と新たな目標設定、そして選手の疲労回復と能力UPのための自主トレ。あまり時間がないだけに難しくはあるが、この短期間でチームを立て直した両チームのことだ、きっとやってくれると信じている。
CS→日本シリーズへ向けて
いよいよ、来週11/6(土)からはクライマックスシリーズが始まる。どのチームが勝ち上がって、20日からの日本シリーズへと駒を進めるのか…。まだまだ目が離せない‼️寒いよーみんな頑張ってー‼️
以前、こちらの記事の最後にこんな事を書いた。
⬆️これが実際現実味を帯びてきたことは、本当に嬉しい😆‼️
全く予想のつかないイレギュラー過ぎた2021シーズンの締めくくりに、どんな勝負が見られるのか?どんなドラマが待っているのか?
ヤクルトの日本一を信じて全力応燕‼️
それが叶わずとも、野球ファンとして、熱い気持ちで最後まで選手たちの勇姿を見届けたい!
長々とお付き合いいただき、ありがとうございました😊
それではまた👋
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?