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vol.1 「楽しい!」という気持ちが繋いだ想いと伝統。お祭り復活の舞台裏。

こんにちは!神原沙耶です!
地域を愛し活動する【人】を通して、つながりたい地域に出会う「
信州心のふるさとMAP今回は天龍村を盛り上げる、豊村ゆかりさんにインタビューさせていただきました!

2020年に東京から天龍村に関わり始め、人不足で無くなってしまっていた村の夏祭りを15年ぶりに復活するプロセスで活躍されたゆかりさん。天龍村との出会いを通して、ご自身にどんな変化があったのか詳しく聞いてみました。

2020年   信州つなぐラボに参加
        1月の冬のお祭りに参加し、その後に会話した村の方と
        盆行事で踊られる「かけ踊り」を復活させようと意気投合
2020年2~3月  コロナ蔓延により往来が難しくなる
2021年夏    検査などで健康に注意を払いながら往来再開
2022年冬    冬のお祭りへの外部参加が許可され、活気を取り戻す
2022年夏    15年ぶりにお盆の「かけ踊り」が復活

お祭りの詳細についてや、復活までのプロセスについては信州つなぐラボさんの記事に載っているので、併せてご覧ください。


消費はなんだか物足りない。心を通わせ合えるおもしろさ


ー そもそもゆかりさんが天龍村に関わろうと思ったきっかけはなんだったんですか?

もともと民俗芸能とかが好きで結構全国を見て回っていたんですけど、
「1回限り」みたいなのがだんだん物足りなくなってきて、通い続けるところがあるといいなと思っていたんです。その時たまたま、信州つなぐラボでお祭りをテーマに地域に関わる募集を見つけたのがきっかけでした。

ー お祭りってゆかりさんにとってどんな魅力があったのですか?

もともと伝統的なものが好きというわけではなくて、ライブとかフェスとかに行くようなサブカルな人だったんですけど、消費者から抜け出せないような気がしてちょっと物足りなく感じて。
消費者でいると、ずっと同じ土俵に上がれないとうか、ずっと与えられ続けるみたいな感覚があるじゃないですか。そしてお金がなくなったら縁が切れる。なんかそれはちょっと悲しいなと。

でも、地域の民俗芸能というのは、もちろん踊り自体がかっこいいとか歌自体がすごくいいとかもあるし、心の交流もあるので、自分の中でこう積み上がってくような感じがすごく面白いなと思っていました。

楽しい!という雰囲気作りが作った勢い

ー かっこよさも、心の交流もある。というお祭りの見方、面白いですね!改めて、村外の方が関わってお祭りが復活するってすごい道のりだったのではないかと想像するのですが、そのプロセスで大変だったことはありますか?

向方のかけ踊りを実施するには15人いないとだめだったので、外の人を集めながらも地域の人の意向もちゃんと汲み取る。そのつなぎ役が結構大変でした。

例えば外の人に関わってもらうために、気軽に参加できる雰囲気作りには気をつけていました。

やっぱり全然知らない地域の全然知らない踊りをやるっていうのは普通不安になると思うんですけど、向方のかけ踊りは踊りの完成度よりもまずは取り組むことが重要だという考えだったので、「別に踊りができなくても自分のできる範囲でやれば大丈夫ですよ」と伝えて、気を張らずにいられる雰囲気作りを心がけてました。

ー 不安な気持ちを受け止めるのは、とても大切なことですね。一方天龍村のみなさんに対して気をつけていたことはありますか?

外の人が関わっているとしても、やっぱり「地域のお祭りにならないと」と思っていたので、お祭り好きな村民の方にも好きじゃない方たちにも感想を聞いたりとかしていました。

やっぱり復活前の話し合いの時も、できないという意見も結構あったんです。でも、冬のお祭りの時に外の人たちにも参加してもらって勢いが生まれたので、その流れにのったあとは勝手に動き出したような気がします。

「なんか楽しい」という雰囲気を作っていけば、楽しいから冬だけじゃなく夏も楽しいことが1個増えたらいいよね、という雰囲気になっていった感じです。

ー やらなきゃではなくて、楽しいからやる。シンプルですが人を動かすものですね。素敵です。実際にお祭りが復活したとき、ゆかりさんが嬉しかった体験はありますか?

地元の若い女の子がお祭りを楽しみにしてくれていたのはすごく嬉しかったです。

前に出るタイプではないかなと思っていたのですが、浴衣も衣装も着たいと言って笛も積極的に覚えてきてやる気まんまんだったのが印象的でした。

やっぱり地元の若い人が伝統を背負って祭をやるっていうのはめちゃくちゃ大変だと思うんです。ご先祖さんの時間の厚みもあるし、すごい覚悟とか背負わないといけないと思うんですけど、そういうのを抜きにしてもなんか楽しいと思ってもらえるのはいいなって思いました。

心を惹かれた、村の人の行動力と誠実さ


ー 天龍村内外の方が「楽しい」という気持ちで一体になっていく情景が浮かんできました。改めて、コロナ期間を挟みながらも2年以上かけて復活まで関わり続けられたのがすごいと思うのですが、ゆかりさんはなぜここまでやれたんですか?

信州つなぐラボという外から来ている人たちのコミュニティがあったので、みんなでモチベーション確かめ合い1人じゃなかったっていうのはまずあります。

でもやっぱり、天龍村のみなさんを尊敬しているっていうのが1番ですね。

私自身、年上の人にそこまで受け入れてもらった経験がなかったのですが、天龍村のみなさんはすごくまっすぐ受け答えしてくれるということも尊敬していますし、経験値も格段に違って面白いところも尊敬しています。

行動力半端ないんですよね 。思いついたことすぐやっちゃうんです。
例えばキノコ栽培をやってみたいって思ったら、ビニールハウスを3個ぐらい作ってもうその年に栽培始めちゃったり、

神楽を奉納する神楽殿の足(柱)がボロボロでいつ崩れてもおかしくない状態なのを見つけると、「お祭りで外から参加してくれる人もいるし直さなきゃ!」と言って、コンクリートを流し込んだり板全部張り替えたりとかを業者さん呼ばずに全部自前でやっちゃって、すごいびっくりした記憶があります(笑)

馴染みのある地域のある暮らし 

ー すごいですね(笑)
ゆかりさんはこうやってお祭りを通して、当初の思いだった"通える地域"ができたと思うのですが、そんな存在があることで変わったことはありますか?

馴染みのある地域ができたいうか、東京以外にも居場所ができたってところは大きいかなと思います。

東京にいたら東京で暮らす選択しか思いつかないと思うんですけど、天龍村のみなさんを通してこういう生き方もあるんだなと気づいて。東京じゃなくても生きていける、みたいな感覚を持てたという感じです。 

物事を見る視点も広がったような気もします。
東京に居ると東京の物差しでしか見れなかったんですけど、
例えば天龍村で山の仕事を知ったことをきっかけに東京の森林ボランティア団体に入ったことで、東京にもこんなに森林があるんだと知れたりとか、林業ってこういう仕事をしているんだという視点も増えたり。視点だけではなくてのこぎりとか色んな道具を使えるようになったりとか、なんか面白いですね。

ー 面白いですね!そんな天龍村って、ゆかりさんにとってどんな存在になっていると思いますか?

もう馴染んできて、空気みたいな場所になっています。
天龍村に住む方、移住されている方たちもすごい面白い人が多くて、すごく話が合うというというか、話していても価値観が合うなあと感じます。しっかり自分をもっていながら、自分以外の人のこともちゃんと考えられる人なんですよね。

ー その地域に住んでいるわけではないのに、馴染むことができるというのは私自身も勇気付けられた気がします。お話ありがとうございました!
最後に、天龍村と関わりたいと思った方が一歩踏み出す際のアドバイスはありますか?

お祭りに是非遊びに来ていただければと思いますし、天龍村は移住系のイベントを東京でも実施しているので、ぜひ参加してみてほしいです。

ー わたしも今年行われる向方のかけ踊りに参加したくなりました!ぜひ天龍村で会いましょう!ありがとうございました!

【編集後記】「楽しい!」気持ちは伝染する

今回ゆかりさんと直接お話させて頂いて最も伝わってきたのは、『お祭りや村の方のことが好きで、一緒にお祭りに取り組むことが楽しい』という純粋なお気持ちでした。お話を伺う前は"15年越しのお祭り復活"と聞いて「なんとかしよう」という危機感や問題意識で動かれたのかと想像していましたが、今は、こうした「楽しい」という純粋な気持ちでいらっしゃったからこそ人の心を動かし伝染していったのかもしれない、と感じています。
通える地域との出会いが欲しいけれど一歩踏み出せないという時は、「自分が行っても役に立てるかな?何かできることあるかな?」と考える前に、シンプルに「楽しそうだから行ってみよう!」と訪れて遠慮せず誰よりも楽しむということが自分も周りもハッピーになる一歩なのかもしれない、と勇気づけていただいた時間でした。ゆかりさん、ありがとうございました!

ゲスト|豊村由香理さん

東京在住の会社員。働き始めてから民俗芸能の奥深さに気付き、各地を訪れるようになる。見るだけではなく、自分でも踊ったり歌ったりして、気づいたらお祭りを手伝っていることがあります。民俗芸能の面白さや楽しさを多くの人に知ってもらうために、都内でもイベント「盆博」を企画しています。

聴き手&書き手|神原沙耶(さや)

92年生まれ広島生まれ東京育ち。新卒入社したリクルートで法人営業・社内の育成組織開発・事業企画を歴任。個人事業2年を経て、22年にHue-ish株式会社を創業。「家庭に対話の文化を作ることで、夫婦関係の悪化を予防する」ことを掲げ、夫婦間の「分かり合えない」を解消する事業と、首都圏夫婦に安心できるふるさとを作ることを目指した関係人口創出事業を展開。

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